作家の三島由紀夫が言うには、人はインドに行くのではなくて「インドに呼ばれる」のであって、「呼ばれた人しかインドに行けない」ということだ。
この「インドに呼ばれる」という言葉は旅行者の間で広く知られていて、ボクも25年ほど前にインド旅行をして以来、いままでに何度かこの言葉を耳にした。
そして日本からインドへ召喚された“人”がまたひとり。
時事通信の記事(2020年08月03日)
インドに「ココイチ」オープン カレー本場、独自ソースで挑戦
世界一のカレー大国インドに、ココイチが乗り込んで日本カレーで勝負を挑む。
人間ではなくて企業だけど、これを決定したのは日本人のはず。まあ細かいことはいいんでよ。
ココイチは日本式のカレーを提供するけど、最低限の現地化は必要だ。
インド人を相手に商売するなら、ヒンドゥー教やイスラーム教の価値観に合った料理にしないと、店に入ってくるのは野良牛だけになってしまう。
それで牛肉や豚肉は使用しないで、トッピングには鶏肉やヤギ肉を用意するという。
さらにインドにはベジタリアン(菜食主義者)が多いから、ココイチは肉や魚介類を含まないソースを使い、肉を使わないカツなどを提供するという。
これぐらいのインド化をしないと勝負はできない。
はたして日本カレーはインドで通用するか?
ネットでもこの成り行きに期待している人は多い。
・下剋上開始
・知ってるか?
インド人がみんなナンを食べるわけじゃないんだぜ
ぼ~っと生きてんなよな
・アメリカ人はココイチ大好きだよな
トッピングしまくりで2000円超えたりしてるけど
・流石はエスキモーに冷蔵庫を売った実績のある日本の商魂よ!
・ココイチは美味すぎないのが人気の秘密
・大阪に広島風お好み焼屋ができるようなもんか
記念すべきココイチのインド1号店は、首都ニューデリーから約30㎞離れた都市グルガオンにオープンする。
グルガオンは1970年代に、スズキの現地法人「マルチ・スズキ・インディア」が自動車工場を建てたことから急激に開発が進んで、いまでは上の写真のような高層ビルが並ぶ近代都市となった。
グルガオンにはインドで最も多くの日本人が住んでいて(約6000人)、同じ出身地の人が集まる県人会はもちろん、同じ大学の人が集まる同窓会があるし、趣味に応じてバレーやサッカー、合唱などのサークル活動も行われている。
このへんの日本人事情に興味があったら、「デリー日本人会」のサークルご案内をどうぞ。
きょねんユニクロがインドに初上陸して、首都圏に3店を同時期にオープンしたときには、グルガオンもふくまれていた。
ここには「日本人街」の面が強くあるから、ココイチが1号店をここにした理由もきっとそれに関係している。
いまネットを見たら、日本人旅行者(ただしバックパッカー)がインドで食べるカレーは200円ぐらいだから、ココイチの税抜き価格で約480円~約700円という設定はかなり強気だわかる。
これは現地日本人やインドの「上級国民」を対象に考えているはずだ。
日本にいるインド人をココイチに連れて行って感想を聞くと、ほとんどの人は日本カレーの味を気に入るし、「店員のサービスが素晴らしい」と評価も高い。
でもインド人にとって、スパイスの入っていないカレーなんてカレーじゃない。味噌のない味噌汁のようなものだ。(は?)
だからココイチのカレーについて「これはカレーではなくて、それに似た別の料理だ」と言う人が多い。
でもその方が現地のカレーとかぶらないから、勝機や商機があるかも。
三島由紀夫は「インドには行くべき時期がある。その時期はインドが決める」とも言ったという。
ココイチのこのタイミングも、きっとインドによって決められていたのだ。
次は、サイゼリヤがイタリアに殴り込みをかける番か。
聖地ヴァラナシにいる野良牛
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ココイチにしても、サイゼリヤにしても、しばしばメニューやオーダーシステムなど仕組みが修正・改善されており、経営努力の跡が見られます。今回のコロナ対応を見てもそれが言えます。
さすが本場へ殴り込みをかける、かけようとしている(?)だけのことはあるなぁ。
はま寿司の「ペッパー君」も本当によく働きますよね。確か、静岡県が本拠地ではなかったかな?
はま寿司は東京発みたいですね。
静岡は「さわやか」です。