きょう８月15日は終戦記念日。
太平洋戦争が終わってちょうど75年が過ぎたということで、今回は東南アジアの視点、特にインドネシア人の見方に焦点を当ててあの戦争を見てみよう。
旧日本軍の陸軍二等兵だった渡辺恒雄氏が以前、「加害者、被害者はほとんど存在しなくなった」と指摘しつつこう書いていた。
歴史としては生々しい記憶が、日本国内はもとより、アジア近隣諸国には鮮明に残っているのも事実である。
先週の８月６日、日本に興味があったり日本語を学んでいる外国人が集まるグループに、「75年前のこの日に原子爆弾が投下され、10万人以上が犠牲になったと言われています。あなたは原爆投下をどう思いますか？」と投稿したところ、反応は「あの悲劇はくり返してはいけない」というものだけではなかった。
中国人：They killed 30 thousand people in one year in my country. But they never say sorry
（日本は中国で30万人を殺害した。でも、一度も謝罪しない）
フィリピン人：if this not happen japan will continue colonizing Philippines.
（もし原爆投下がなかったら、日本はいまもフィリピンを植民地支配していただろう。）
インドネシア人：Well. Japan was doing inhuman war crimes back then.
Glad for the bombing, so our country can free from their torture.
Thanks to it, now Japan become the Japan we know today.
（あの当時の日本は非人道的な戦争犯罪をした。原爆が落とされてよかった。そのおかげで、私たちの国は苦痛から解放されたのだから。あのおかげで、日本はわれわれの知るいまの日本になった）
フィリピンとインドネシアは国としてはとても親日的で、政府は日本に謝罪や賠償なんて求めていない。
でも個人の意見は人それぞれで、中にはこう言う人もいる。
＊中国政府も最近は謝罪を要求していない。
一番下の「Glad for the bombing」というインドネシア人のコメントがなかなか挑発的だったらしく、これにかみついた日本人が出てきた。
「日本はインドネシアを解放した。あの戦争はそのためのものだった」という日本人の書き込みを見て、「ふざけるな！」とインドネシア人が応酬してバトルに発展。
その日本人はインドネシアの独立宣言の年月日が皇紀で書かれていることを挙げて、日本はオランダと戦ってインドネシアを独立させたと主張する。
それに対してインドネシア人は、当時の日本はインドネシア人を苦しめたと一歩も引かない。
皇紀についてくわしいことはこの記事をどうぞ。
たしかに独立宣言は皇紀で記されているけど…
旅行情報サイト「タビジン」の記事で、インドネシアが日本を好きな理由についてこう書いてある。
インドネシアが親日国と言われるようになった最大の理由は、日本人がオランダによるインドネシアの再植民地化を防ぐ手助けをしたこと。
いままで同じ質問を何十人ものインドネシア人にしてみたけど、日本を好きになった理由で太平洋戦争のころの日本を挙げた人は記憶にない。
１～２人ぐらいはいたかも。
「日本人がオランダによるインドネシアの再植民地化を防ぐ手助けをした」ことが親日国となった最大の理由というが、もしそうなら嬉しいけど、ここではその根拠を示していないからこれをそのまま受け取れない。
太平洋戦争中、日本はインドネシアで郷土防衛義勇軍（インドネシア語でPETA「ペタ」）という軍事組織をつくって、インドネシア人に軍事訓練を行った。
それを経験したズルキフリ・ルビス元陸軍情報部長はこう話す。
厳しい教育を受けたが、「独立の時来たる」という強い自覚を持って、一生懸命がんばった。…
日本軍政の特徴は、魂を持ってきてくれたことです。われわれと苦楽を共にし、農作業や各種技術の初歩を教えてくれ、軍事訓練まで施してくれました。
日本の敗戦と同時にPETAも解散。
でもオランダが再びインドネシアを植民地にしようと戻ってきたとき、これと戦って独立を守った中心勢力はPETA出身のインドネシア人だった。
このとき数千人の日本人がインドネシア人と一緒に独立戦争を戦った。
「日本はインドネシアを解放した」という日本人はこれらのことを指していると思うけど、今回のインドネシア人には何も通じず。
インドネシア人全体を見れば、そういう認識が一般的だと思う。
前に見たインドネシアの歴史教科書には、独立戦争で戦った日本人なんてまったく出てこなかったし、日本にいるインドネシア人に「PETA」について聞いたら、「知ってますよ。地図ですよね」と答えて郷土防衛義勇軍なんて１ミリも知らない人が何人もいた。
＊インドネシア語で地図もPETAという。
これまで話を聞いたほとんどのインドネシア人は、太平洋戦争のときの日本はひどいことをしたけど、戦後の日本はインドネシアの発展を支援してくれたし、いまではアニメや日本食などの文化の面で日本に親しんでいると話す。
日本の謝罪が必要なんて意見は聞いたことがなくて、もっと多くの日本企業がインドネシアに進出して一緒に発展したいという人ばかり。
ちなみに原爆投下を「Glad for」「Thanks to」なんて表現したインドネシア人は知らない。あの見方は本当に例外的。
例外といえば、「わたしのおじいちゃんが日本人（インドネシアに残った元日本兵）で、あのとき日本はインドネシアのことを考えて活動していたと聞いた」と言うインドネシア人の女の子もいた。
日本は太平洋戦争のときアジアで悪いことをしたけど、それはもう過去のことで、いまは共に発展するべきパートナー、という見方はいまのほとんどの日本人と同じだろう。
いつまでも被害者・加害者という枠組みで見ていたら、現在を無駄にして未来に進めない。
さらに飛躍して、「あのときの日本は解放者だった」という認識で東南アジアの人と話しても、きっと分かり合えないし下手すればケンカになる。
おまけ
平成29年に安倍首相がフィリピンを訪問したときの様子
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インドネシア人を困らせる日本人。上から目線で戦争の歴史を語る。
＞いままで同じ質問を何十人ものインドネシア人にしてみたけど、日本を好きになった理由で太平洋戦争のころの日本を挙げた人は記憶にない。
＞１～２人ぐらいはいたかも。
＞「日本人がオランダによるインドネシアの再植民地化を防ぐ手助けをした」ことが親日国となった最大の理由というが、もしそうなら嬉しいけど、ここではその根拠を示していないからこれをそのまま受け取れない。
ははは、インドネシアの、ネットを利用するような若い世代にそんなことを聞いたら、そのような返答が当たり前ですよ。若い世代であるほど、戦争当時の実態を知らず、それと関係なく自国の独立に対する誇りを持ちたいものだし、また中国や韓国のプロパガンダ「日本人はアジアを侵略して人々を苦しめた、いいことなんか一つもなかった、残虐な支配者だった」に影響されやすいですからね。
そもそも、日本軍がインドネシアからオランダを撃退した戦争中と、戦後になって独立してからのインドネシア国内の分裂・対立というゴタゴタの双方の時代を、肌で感じたことのある人はもうほとんど残っていないでしょ？ そういう人たちにでも話を聞かない限り水掛け論になるのは目に見えてますよ。
中国・韓国からのプロパガンダもずっと日本は放置していましたしね。
なんだっけ、今でも海外で悪いことをしてつかまると「スミマセン」と言って日本人のフリをするニセ日本人とか、それをTV番組でコメディアンが笑いのネタにして奨励する芸人とか、恥ずかしい行動を取る国民がいるのですよね？