日韓関係と書いて「ぜつぼうてき」とか「むかんけい」と読んでも違和感がないほど、いまの両国関係は冷えてこんでいる。
でも菅新首相が誕生し、ムンジェイン大統領から電話会談の希望があって、日韓の両首脳が9カ月ぶりに言葉をかわした。
それで韓国寄りの日本のメディアはこれを関係改善につなげていきたいと考え、沖縄タイムスは社説で対話の重要性を訴えた。(9/26)
[日韓首脳電話会談]関係改善へ対話重ねよ
冷え切った日韓関係をみれば20分という短い時間だったけど、「首脳同士の対話が実現したことは一歩前進だ」と評価する。
でも内容は相変わらずのすれ違いで、元徴用工訴訟問題などを念頭に菅首相は「非常に厳しい状況にある両国関係を、このまま放置してはならない」と韓国側に解決を求めたのに対し、文大統領は、両政府と全ての当事者が受け入れられる「最適解を一緒に探していくことを願う」と言ったという。
両国の関係がここまでひどくなったのは、元徴用工訴訟問題で韓国最高裁が2018年に日本企業へ賠償を命じらからだ。ではなくて、これによって生まれた国際法違反の状態を、韓国政府が何の対策も取らず黙認してきたから。
ちなみに沖縄タイムスは「強制労働」と韓国メディアと同じ表現を使っていることから、その立ち位置がわかる。
日韓関係はいまでもじゅうぶん「最低」だけど、韓国側が差し押さえた日本企業の資産を現金化したら、その底が抜けて奈落に落ちる。
日本企業に実害をあたえられたら、政府も黙っているわけにはいかない。
対抗措置はもはやまったなしだけど、でもそうすると韓国側も報復措置をとって、日韓関係は誰も見たことのないステージに突入する。
それを危惧する沖縄タイムスはまず文政権に行動を求めるのだけど、それが手ぬるかった。
それぞれの最適解を目指すというのであれば、文大統領はひとまず何らかの形で現金化の手続きを凍結すべきだ。立場の異なる関係者が冷静に話し合える時間や場を設け、具体的な案を示してほしい。
凍結すればいま以上の関係悪化を防ぐことができるけど、それはしょせん対処療法で根本的な解決にはならない。
これは「日韓のどっちも悪い」ではなくて、日本との合意(1965年の請求権協定)を破って国際法に違反した韓国側が悪いのだから、解決の責任もあちら側にある。
だから国のトップが、「最適解を一緒に探していくことを願う」なんて七夕みたいなことを言ってる場合じゃない。
沖縄タイムスは韓国に話し合いの場の設定を求め、日本政府にはそれに応じるよう訴える。
悪化する米中関係や、挑発行動を繰り返す北朝鮮への対応を考える上でも、日韓の関係改善は欠かせない。
菅首相は対話を続け、一歩ずつでも前に進める外交に努めてもらいたい。
そうは言うけど、元徴用工問題も慰安婦問題も話し合いで解決を確認したのに、お金を受け取ったあとにその両方をひっくり返したのは韓国だ。
「日韓合意は両政府が問題解決へ向け歩み寄ってなし得たものである。大切にしなければならない」と沖縄タイムスは書くけど、この慰安婦合意は5年ももたずに韓国政府が実質的に破棄した。
数年後に約束を破るような相手と対話を重ねて合意しても意味がない。
まずは「両国関係をこのまま放置してはならない」という呼びかけに文大統領がこたえ、国際法違反の状態を是正して失った信頼を取り戻すことが大事で、話し合いが始まるのはそのあとだ。
合意を破ったまま「対話の準備がある」と言うのは、関係改善のために日本が譲歩しろと言うのと同じで、これはとても受け入れられない。
沖縄タイムスの社説に対するヤフコメの反応
「関係改善へ対話重ねよ」と訴える沖縄タイムスに対して、日本政府は、自分の言葉を守ることもできない文政権に完全に突き放している。
産経新聞の記事(9/24)
日韓首脳の初会談、関係悪化の影「あの人と長く話しても…」
文大統領を「あの人」と呼び、「長くしゃべっても仕方ない」と言ったのは政府高官だけど、これは韓国に対するいまの日本政府の空気だろう。
自民党総裁選で日韓関係の改善は争点にならなかった。
これはつまり、元徴用工問題で日本が譲歩することはなく、韓国に対しては厳しい姿勢で臨むという自民党の総意の表れだ。
関係改善は日本政府も望んでいるけど、その土台は韓国文政権が作らないといけない。
韓国に合意や国際法を守らせることなく、日本に対話や歩み寄りを求める日本の一部メディアのやり方はもう通用しないだろう。
それは韓国に間違った希望をもたせるから、関係がさらに悪化する未来しか見えない。
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