このまえ複数の外国人と伊勢神宮へ参拝に行ったあと、「おかげ横丁」で名物の伊勢うどんを食った。
伊勢うどんは、この地方の農民が食べていたうどんを食べやすく改良したものと言われていて、江戸時代、お伊勢参りに訪れた人へ提供したのが現在の伊勢うどんのはじまりだ。
(伊勢うどん)
「このうどん、汁がないですね」と言うベトナム人に、「これは「ぶっかけうどん」といって、濃い味の汁だから大量にはいらないんだ」とボクが説明すると、横にいたアメリカ人が笑い出す。
「なんか変な説明したか?」と思ったら実はそうではない。
最近は海外でも「ブッカケ(Bukkake)」という日本語が知られるようになったけど、その一般的な意味は日本とまったく違うから彼は思わす噴き出したらしい。
そのアメリカ人いわく、海外で「ブッカケ」というと日本発の変態プレイの意味として有名で、成人動画では「Bukkake」というジャンルが確立している。
アメリカ版ヤフーで検索したら、彼の言った通り。
日本の検索サイトで「ぶっかけ」と入力すると、うどんのことばかり出てくるけど外国ではまるで違う。
英語版Wikipediaにはこの項目が作られていて、意味としてはエロ系の説明がメインで、日本語では「ぶっかけうどん」のように性的な意味を持たない言葉として広く使われている、とオマケのように簡単に紹介されているだけ。
In Japanese, the word bukkake has extensive non-sexual use, such as this food tent advertising bukkake udon noodles.
日本で「Bukkake」の意味はあとから付けられた隠語のようなものなのに、外国ではこちらがメインストリーム(主流)となっている。
なんという主客転倒。
知人のフィリピン人は夕食で、うどんの上に焼き肉をのせた食べ物の写真と「dinner❤️❤️ bbq beef bukkake udon!」(焼き肉ぶっかけうどん)というメッセージをSNSに投稿した。
では、英語で「ぶっかけうどん」を表記するにはどうしたらいいのか?
日本語にくわしいアメリカ人は「Bukkake-udon」と書いて、どんな料理か説明するのがいちばんいいと言う。
ネットを見てみたら、「a sort of a bowl of Japanese noodles on top of which the toppings are poured.It is easy to prepare and can be eaten up quickly.」とまさに伊勢うどんのような説明がある。
タイ東北部に「ウドンタニー」という地名があって、タイ人は略して「ウドン」と呼んでいるから、日本のうどんを知って面白がるタイ人はいた。
英語表記だと「Udon Thani」。
「タイのうどん県」と呼ぶ日本人もいたけど、香川県のさぬき市と姉妹関係はまだ結んでいない。
ことし1月、マクドナルドが販売した「大人のクリームパイ」が(とても美味しいのだけど)、アメリカ人やイギリス人など英語ネイティブからすると、とんでもなく下品な言葉に意味になるということで話題となった。
知り合いの外国人は「小学生も利用する店のメニューに付ける名前じゃない!」と言う。
ここにその画像を載せるとグーグルからペナルティーをくらうから、「性行為のあと」をヒントにクリームパイを想像してほしい。
くわしいことはこの記事を。
「大人のクリームパイ」も「ぶっかけうどん」も見方によっては恐ろしく卑わいな言葉になり、それが食べ物のばあい、食欲が一瞬で消え失せるレベル。
「ぶっかけうどん」で笑い出したアメリカ人は、伊勢神宮が日本で最高の格式を誇る神社で、伊勢うどんが巡礼者のための食事だったから、「ブッカケ」とのギャップが面白かった。
このとき一緒にいたベトナム人とインド人は英語の「ブッカケ」の意味は知らず、東ヨーロッパのリトアニア人はそれを知っていたから、アメリカ人と同じように“変態プレイ”が頭に浮かんだらしい。
国際化のいま、特に国境のないネットの世界では日本語がいつの間にか英語になっていて、日本とは違った意味やニュアンスで使われているケースもある。
伊勢のぶっかけうどんでそれがよく分かった。
余談
伊勢神宮に行ったアメリカ人から、英語圏ではゲームの『ポケットモンスター』の正式名称は『ポケモン』になっていると聞いた。
「Pocket Monster」は実は男性器、つまり「おち〇ちん」を意味するスラングだから、子供用ゲームにこんな堂々とした名前は付けられなかったという。
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あはははは。それは災難でしたね。
最初にこのうどん名を聞いた時、「なんだかな~」とは思いましたけど。
私もまさかそこまで一般的に卑猥語として拡がっているとは、予想できませんでした。