日本と海外の「島流し」:世界的に無名・有名な流刑地あれこれ

 

このまえインド人とバングラデシュ人、それとタンザニア出身のアフリカ人と一緒に富士山を見に、富士市にある公園へ行った。
そこは北を見ると雄大な富士山、南には悠久の駿河湾が見える絶好のロケーション。
その公園で上の写真に見える伊豆半島を指さして、日本の歴史に興味のあるインド人にこんな話をする。

「山に囲まれた伊豆はねえ、昔は罪を犯した者が行かされる“天然の刑務所”だったんだ。伊豆に流された人で有名なのは、そこから脱出して鎌倉幕府をつくり武家政権を築いた源頼朝だね」

伊豆が古代日本の律令法で、流刑地になっていたことはここをクリック。

これは伊豆諸島が隠岐・佐渡と並んで辺境の島であると考えられ、伊豆半島はその入り口とされた事が背景にあると言われている。

伊豆国

*伊豆の語源には、半島が海面からつき出ている様子から「海から出づ(いづ)」となり、それが「いず」(伊豆)になったという説がある。

 

そんな話をすると、「そういう流刑はウチの国にもありましたよー」とインド人。
このとき聞いた具体的な地名は忘れたけど、植民地時代にイギリスが政治犯をどしどし送ったアンダマン諸島だったと思う。

 

右端にある赤いところがアンダマン・ニコバル諸島

 

そんなことならタンザニアにもあったぜ、とアフリカ人が言う。

「伊豆は半島だから(頼朝は)簡単に脱出できたんだよ。タンザニアだったらそうはいかない。犯罪者は無人島に連れて行かれて、そこに“捨てられた”んだよ。むかしの話だけどね」

いやいや島国ニッポンをなめるなよ。
日本でも四方を海に囲まれた島に流されることはよくあって、きのうは承久の乱に負けて佐渡島に流された順徳天皇の話を書いたばかり。

海に面しているタンザニアにはいくつか島があって、犯罪者は山盛りいたから、その2つが自然とマリアージュした結果、「島流し」の刑罰がおこなわれていたらしい。

 

94.5万平方キロメートル(日本の約2.5倍)に約5,632万人が住むタンザニア

 

彼の話によるとタンザニアでの島流しの場合、受刑者は水も食べ物も渡されないで無人島に残されるから、餓死か病気か水不足かわからないけど、待っているのは100%確実なDEATH。

日本でも奈良時代の律令の五刑のひとつとして制度化される前は、犯罪者を何もない島に放り出して、自然に“処分”をまかせることがあったらしい。

無人島に取り残されても何とかなるのは「鎖部葉風」のような最強の魔法使いとか、タフな女子高生がでてくる『僧なんですか?』じゃねーや、『ソウナンですか?』のようなアニメの世界の話で、タンザニアのガチ流刑はきっとそんな甘いものじゃない。

 

「流刑」の発想は世界中にある。
お隣の韓国では済州島と江華島が朝鮮時代の2大流刑地で、政争に負けた王族・貴族(両班)がこの島に流されていた。
ただ日本・インド・タンザニア・韓国で知られている流刑地は、きっと国内限定で海外では無名のはず。

世界的・歴史的に有名な流刑地といえば、ナポレオンが生涯を終えたセントヘレナ島がある。
隠岐島(島根)に流されたあと、そこから奇跡の復活をとげた後醍醐天皇みたいに、ナポレオンは一度エルバ島に配流されるものの、そこを脱出して再びフランス皇帝となった。
でもその後、ジェットコースターのように真っ逆さまに転落して、セントヘレナ島に流されてさみしく亡くなった。

 

エルバ島から復活したというミラクルを起こしたせいか、今度はアフリカ南部まで飛ばされた。

 

それとこの島もかつては流刑地、いまは観光スポットとして世界的に知られている。

 

 

アメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島は、1963年まで連邦刑務所として使われていて、「ザ・ロック」「監獄島」なんて別称もある。

この海に浮かぶ刑務所にはギャングのアル・カポネも収容されていた。

他の刑務所で規則を遵守しない者、暴力的行為を行った者、脱走の危険があると考えられた者などがここに送られた。

アルカトラズ島

アルカトラズ島の独房

 

これを「島」というのは反則だけど、オーストラリア大陸もイギリスの流刑地として超有名。
知人のアメリカ人は、「オーストラリアは刑務所が独立してできた世界で唯一の国」と称賛(?)していた。

そしてこれは番外編。
日本以外でもそう呼ばれているか知らないが、モルディブではいまでも「島流し」が行われている。しかも外国人観光客に対して。

モルディブのホテルを予約しても現地に着いてから確認すると、オーバーブッキングで泊まれないことがある。
そんな場合、「今日ここは一杯です。なのであなたは〇〇島へ行って、そこのホテルに泊まってください」と言われることがあるという。
「モルディブ 島流し」で検索すれば、すぐにその被害にあった人の体験談がでてくる。

 

まぁボクが島流しの目にあうことはないだろうど、万が一そうなった場合はガラパゴス諸島かニューカレドニアがいい。(どちらも流刑地だった)
最期にゾウガメの背中に乗って遊ぶか、世界屈指の美しいビーチを見てから朽ちたいと思う。

 

 

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1 個のコメント

  • もう一つ、世界的・歴史的に有名な流刑地として、南アフリカの「ロベン島監獄」がありますね。アパルトヘイト(人種差別政策)に反対する黒人の政治犯を収容するのに使われました。あのネルソン・マンデラも収監されたことがあります。劇画「ゴルゴ13」にも登場します。
    ロベン島監獄は1996年に閉鎖され、1999年にはユネスコ世界文化遺産(負の歴史遺産)として登録されているとのことです。その間の期間が3年と極めて短いことから、政治体制が急激に変化したことがわかります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。