歴史をずっとずっとず~っとたどっていくと、ヒト・オランウータン・チンパンジー・ゴリラなどの先祖は同じ生き物だったことがわかる。
そんな共通の祖先から1000万年ほど前を契機に、だんだんとオランウータン、ゴリラ、チンパンジーに分かれていき、そして二足歩行する「ヒト」が誕生した。
そんな進化論に決定的な影響をあたえたのが、19世紀に生まれたイギリスの自然学者ダーウィン。
彼の書いた「種の起源」は、人間は神から創造されたというそれまでキリスト教の価値観を否定する内容で世界的に大きな反響や批判を呼ぶ。
ちなみにダーウィンは「人は猿から進化した」なんて言ってないから。
11月24日は、1859年のこの日に『種の起源』が刊行されたことから、進化の日(Evolution Day)になっている。
ところで、ダーウィンの提唱した進化論を「カネ」で表すとしたら、一体いくらぐらいになるのか?
正確な金額なんて分かるわけないのだけど、イギリスのケンブリッジ大学図書館からなくなった、「進化論」に関するダーウィン直筆のノートの価値から察してほしい。
時事通信の記事(2020年11月25日)
ノートは非常に貴重なもので、金銭的価値は「恐らく数百万ポンド(数億円)」に上るという。
ダーウィンのノート、盗難か 英大学図書館、数億円の価値
人類の歴史に名を残したダーウィンさん
ダーウィンと彼の唱えた進化論は日本でも有名なわけだが、「日本のダーウィン」というべき日本人がいるのはご存じだろうか。
それが江戸時代の医者で学者だった鎌田 柳泓(かまた りゅうおう:1754年 – 1821年)という人物。
鎌田の書いた「心学奥の桟」という書物に、彼の考え出した独自の進化論がある。
「一種の草木変じて千草万木となり、一種の禽獣虫魚変じて千万種の禽獣虫魚となるの説」という章の中で、松の木が場所によって違っていることや、朝顔が品種改良されていろんな種類が作られたことに注目して、「是を以て推すにおよそ天下にあらゆる千草万木みな一種の植物より変化し出せりというも可なり」と書く。
さらに「みな一種の植物より変化し出せり」という考え方を、生き物にも当てはめて鎌田はこう言う。
「これを以てみれば、天下の生物・有情非情ともに、みな一種より散じて万種となる者なるべし。人身の如きも其の初め、ただ禽獣胎中より展転変化して生じ来たるものなるべし」
人間も「禽獣胎中より展転変化して」生まれてきたという説は、もうヨーロッパの進化論とそっくり。
しかも鎌田柳泓は、ダーウィンが進化論を提唱する40年ほど前にこの“発見”をしたのだ。
これはダーウィンの『種の起源』(1859年)よりも早く出版され、ラマルクの『動物哲学』(1809年)よりも総括的であったと評価される。
ただ鎌田はダーウィンなどとは違って、「唯一虚の中より天地・日月・星宿・水火・禽獣・虫魚・草木・人類まで変化し来たる者なるべし」と空や大地、自然さえも同じものから生じたと考えた。
まぁ鎌田柳泓のノートに数億円の価値はないだろうけど、日本人なら、ご先祖さまの業績を知っておいた方がいい。
人類で初めて進化論を唱えたのはダーウィンではないのだ。
こちらの記事もいかがですか?
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
イギリス人が見た日本・日本が世界の歴史で初めてした誇っていいこと
日本人による進化論と言えば、京都大学の「今西の進化論」、およびその発展形である「ウィルス進化論」が世界的には有名ですね。今西進化論の理屈を簡単に言うと、「個体に生じる小さな進化の積み重ねだけでは、現存する生物の多様性を説明できない。進化は、徐々にではなく、ある段階で複数の個体において飛躍的に生じる」とする考え方です。また、さらに、ウィルス進化論では、そのような「複数個体における同時の飛躍的進化」が生じる原因は、ウィルスに「感染」することで、遺伝子DNAの「固まり」が他の生物から多くの個体へ同時に持ち込まれることによるとした理論です。
世界の生物学会では「進化は病気なのか?」と大きな話題とされました。現在、必ずしも進化論における主流の考えとはなっていませんが。