OLはNG:仕事や広告、イギリス社会から消える「男女の性差」

 

日本の小中学校で3年ほど英語を教えていて、いまは母国に戻っているイギリス人女性とこの前スカイプで話をしていたとき、11月25日は日本で「OLの日」という記念日と知った彼女は爆笑する。

*むかしは働く女性を「BG(ビジネス・ガール)」と呼んでいたけど、アメリカでこの言葉には「売春婦」といったネガティブな意味があることが発覚し、NHKが放送禁止用語に指定して日本社会から追放された。
その後、『女性自身』がBGに代わる「新しい時代の働く女性」にふさわしい言葉を募集して「OL(オフィス・レディー)」が選ばれ、この言葉が1963年の『女性自身』11月25日号に登場したことから、この日が「OLの日」となった。

 

別のイギリス人女性は「オフィス・レディー」という響きを侮辱的で差別的と毛嫌いしていたけど、この人にはそこまでの嫌悪感はなく、「もちろんその言葉は好きじゃないし、イギリスならダメだけど、日本で日本人がOLを使っていることは私には関係ない」と言う。

そのイギリス人の感覚では「OL」という言葉には、仕事と性別を結びつける古いイメージがある。
イギリスでも2、30年前は日本でいうサラリーマンがビジネスマンと呼ばれていたけど、いまではビジネスパーソンになっている。
ほかにもポリス・マンやポリスウー・マンがポリス・オフィサー(警察官)になったように、イギリス社会にあるいろんな職業の呼称から性別が消えた。

仕事に大事なことは性別ではなく能力。
オフィスで働く人間に男女の性別は関係ないから、イギリスで「OL」に相当する言葉は思い浮かばず、セクレタリーやアドミニストレーターなど仕事の内容で呼び方がきまると言う。
その点、「ティーチャー」は問題ない。

 

1960年代にBGの代わりに登場したOLだけど、最近はこの言葉も「性差別を助長する」と日本で使われなくなっている。
でもOLに代わる言葉はたぶんないからこの“進化”はここで途絶えて、日本でもこれからは秘書、事務員、オフィス・ワーカーといった呼び方になるんでしょ。

 

このときは性差にのどかな時代だった。

 

イギリス社会では近ごろ、「男(女)は~という人たち」といった性別によるステレオタイプが形成されないような配慮が重視されていて、例えばきょねん広告基準協議会が、こうしたイメージを連想させる広告は「人の可能性を狭める」として禁止した。

英BBCの記事で会長がこう話す。(2019年6月17日)

「調査の結果、広告内の有害な性別ステレオタイプが社会の不平等を助長し、皆がその影響を受けることが分かった。簡潔に言えば、広告の表現の一部が、長い年月をかけて人々の可能性を狭めてしまう可能性がある」

「有害な」男女のステレオタイプ描く広告、イギリスで禁止

 

具体的には男性がテレビを見ている後ろで女性が掃除をするとか、男性がおむつ替えに失敗したりするといった場面がNGになり、CMで表現できなくなる。

日本のCMで、男性が女性に「私作る人、僕食べる人」と言って「性別役割分担の固定化につながる!」と批判が殺到して放送中止となったのが昭和50年。
まぁ日本もそのうちイギリスみたいになりますよ。

 

 

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1 個のコメント

  • >日本のCMで、男性が女性に「私作る人、僕食べる人」と言って「性別役割分担の固定化につながる!」と批判が殺到して放送中止となったのが昭和50年。まぁ日本もそのうちイギリスみたいになりますよ。

    ははは、日本の方が、イギリスなんかよりも既にずっと進んでいますよ。
    日本で職業や職種に関して性差の表現があるのは、OLの他にも、以前に使われていた看護婦とか、女医とか、スチュワーデスとか、婦人警官とか。全て欧米からもたらされた分類です。もともと日本語には性差を表す用語が少ないのです。欧米のように家畜を養っていた民族ではなく、日本人は農耕民族ですから。牛や鹿に対してまで雄雌の区別をつけて異なる単語を使うのは、たぶん、遊牧民生活としての必要性からのことでしょうね。
    日本語では、出世魚のように成長度合いで区別したりとか、相手との上下関係によって「私」「おれ」「わたくし」「朕」「俺様」「あたし」など代名詞を区別したりとか、そういうのはありますが、原則として性差で区別したりはしません。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。