【LGBTと日本社会】困った“昭和脳”・性別欄の廃止・法の制定

 

女性同性愛者のレズビアン、男性同性愛者のゲイ、男女問わず両性愛者のバイセクシャル、そして身体の性と自分の認識が一致しないトランスジェンダー。
LGBTという言葉はその頭文字を組み合わせてできた。

昭和の教科書には男女2つの性しかなかったけど(平成は知らない)、いまの教科書にはLGBTという用語が標準装備されている。
そんな社会の変化に真っ向から挑戦し、当然のように敗北した議員が東京にいたらしい。
ことし足立区の議員が公の場でこんな言葉を言い放つ。

「日本人がL(レズビアン)やG(ゲイ)ばかりになると、足立区が滅んでしまう!」

子供が生まれなくなると、足立区が滅亡するというトンデモ理論。
この差別発言がふくむ燃料は膨大で、すぐに全国レベルの問題となって議員は「お詫びを申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

 

この足立区“滅亡”発言についてネットの反応を見ていたら、「まさに昭和脳」という批判があった。
ボクも昭和の時代に生まれ育った「脳」の持ち主だけど、さすがにあの言葉には1ミリも擁護の余地はない。
少子高齢化社会の懸念を訴えたいのなら、もっとスマートな表現があったはず。

でも、男女以外の性を「悪」とする認識がいまの日本社会にあるらしく、LGBTの人たちがそれを理由に就職を断られたり、別の支店に飛ばされたといった事例が報告されている。

こうした事案に先ほどの議員の発言が大きなきっかけとなって、あるグループが「LGBT平等法」の制定を求めて署名を始めた。
そのグループによると、先進国G7の中でこうした法整備がないのは日本だけ。

LGBTをめぐるこんな動きに対してネットの反応は?

・G7は、キリスト教の国ばかり
日本とは、まったく違う
・まるでLGBTを守らなきゃいけないような感じやん?なんで?
・LGBTを守るというより
平等にしましょうってお話
・そもそもいじめや不当解雇はLGBT相手じゃなくてもやったらあかんやつ
・差別禁止法があるのは
差別がある国だけ

 

LGBTのシンボルとなっているレインボーフラッグ

 

LGBTをめぐっていま日本ではいろいろな変化があって、たとえばこれからは性別欄のない履歴書が登場するという。

NHKニュース(2020年10月2日)

トランスジェンダーの人たちが履歴書記載の性別と外見が異なることを理由に内定を取り消されたりするケースがあるとして、ことし、性別欄をなくすよう求める署名活動が行われました。

履歴書から性別欄が消えるか 規格協会が様式例を削除

 

こういう要望に応えて日本規格協会は、これまで性別欄が記載された履歴書をJIS規格の様式例としてきたけど、この様式例自体を削除した。
これでコクヨが動く。
性別欄のある従来の履歴書とは別に、今後は性別欄のない履歴書も販売することをきめたというから、来年あたりコンビニに行ったらそんな履歴書があるかも。
そんな履歴書を見て、昭和の完全終了を実感する人事担当者がいるかもしれない。

「LGBT平等法」も来年あたりには成立すると思うし、「性」に対する認識でいま日本社会は大きな過渡期にありそうだ。
足立区の議員は結果的にそれを加速化したことになる。

 

 

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5 件のコメント

  • > いまの教科書にはLGBTという用語が標準装備されている。
    それ、本当ですか? どこの出版社の、何と言う科目の、どんな学年用の教科書に?
    大げさな表現と承知しつつも嘘を書いたとしたら、感心しませんね。これもSNSによる扇動となり得る。

    LGBTの人を平等に扱おうという考え方は理解できますが、「男性」と「女性」という「性別」は人間含め多くの生物に自然と備わっている仕組みであり、それをあたかも「無いものであるかのようにふるまえ」という一部の人の考え方には賛同できません。現実から目を背けても決して問題は解決しないと思う。

  • これは3年前の朝日新聞の記事です。(2017年4月21日)

    多様な性、教科書掲載広がる 「LGBT」世界史などに

    高校ではこの時点で家庭科、政治・経済、世界史、倫理、英語の教科書に載っています。
    これがいま中学、小学校の教科書に広がっています。
    いま図書館で教科書を見られないでしょうか?
    ご自身で確認できますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。