漢字の歴史と範囲:中国の簡体字と台湾の繁体字、日本の漢字

 

まずはクエスチョンですよ。
中学校で習った世界四大文明ってなんだっけ?

 

答えはメソポタミア、エジプト、インダスと中国文明。
ではつづいて第二問。
この世界四大文明のなかで、現在でも使用されている文字はなに?

 

その答えはここまで何度もでてきた文字、漢字だ。

漢字は古代中国人による画期的な発明で日本人もどっぷりお世話になっていて、日本語もこの文字がなかったら成立しない。

中国の歴史教科書をみると、やっぱりこれは中国人にとって誇らしくて自慢のタネだった。

わが国の漢字は今に至るも世界で広く使われている唯一の古めかしい文字で、大体において原始社会末期から奴隷社会初期に生まれ、商代の甲骨文の時代にはすでに比較的成熟した文字になっていた。

「中国の歴史 (明石書店)」

 

ことしも残すところ、あと10日ほど。
年末年始、謹賀新年といろいろ漢字を使う機会が多いので、ここらで漢字の歴史や現在の使用範囲を知っておこうか。
強引っ、という批判は甘受しよう。

 

さっき中国の歴史教科書に「商代の甲骨文の時代にはすでに比較的成熟した文字になっていた」と書いてあった。
日本では中国最古の王朝を「殷」と呼んでいるけど、中国では「商」が正式名称で殷は「商の別称」という位置づけになっている。
つまり「商=殷」と考えていいことを踏まえて次に進もう。

はるか昔、中国の人たちが亀の甲羅(こうら)や獣の骨に刻んだ甲骨文(甲骨文字)が、時代とともに現在の漢字へと変化していった。
漢字がうまれたのは紀元前1300年ごろと言われているから、東アジアの人たちは3000年以上も昔の文字を使っていることになる。

 

 

その漢字は数千年の時をへて、現在では大きく次の2つに分けることができる。

・伝統的で複雑な字体の繁体字(はんたいじ)

・繁体字を分かりやすくシンプルにした簡体字(かんたいじ)

 

その使用範囲がわかるものがないかな~と悩んでいたとき、出会ったのがこの地図です。

 

 

いちばん濃い緑が繁体字を用いる地域(台湾、香港、マカオ)
次に濃い緑が簡体字と繁体字を用いる地域(シンガポール、マレーシア)
明るい緑が簡体字を使う地域(中国)
漢字と別の文字がミックスしているのが日本と韓国
*でも韓国ではいま漢字はほとんど使われていない。

モンゴル、北朝鮮、ベトナムはかつて公用語として漢字が用いられていた地域

 

グループを表す「団体」の繁体字はこんなに複雑

 

日本の漢字は簡体字でも繁体字でもない独自に変化した文字で、言ってみれば「日本漢字」。
でも一般的には「信じたい」じゃねーや、「新字体」と呼ばれることが多い。

たとえば日本の漢字「広」は台湾や香港の繁体字では「廣」、中国の簡体字だと「广」になる。
「竜」は繁体字で「龍」、簡体字で「龙」となる。
「気」は繁体字で「氣」、簡体字で「气」となる。
「楽」は樂と乐、繁体字の「學」は日本・中国の漢字で同じく「学」となる。

日本でも昭和のはじめごろまでは台湾や香港と同じく、廣、龍、氣などの伝統的な漢字を使っていた。
いまでもそれが社会のなかで、簡略化された漢字と仲良く同居しているから時々ややこしくなる。

ということで約3000年前、中国でうまれた漢字はここまで進化・変化した。

 

韓国・ソウルの地下鉄
簡体字・繁体字・日本の漢字の3種類で案内している。

 

 

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5 件のコメント

  • >伝統的で複雑な字体の繁体字(へんたいじ)
    「はんたいじ」では? いくら難しいからと言っても、ヘンタイ文字じゃあまりに中国に失礼です。
    ただし、日本語の「かな」には「ヘンタイ(変体)仮名」ってありますけどね。もしかしてそれと間違えた?

    中国(および韓国)では地下鉄のことを「地鉄」と書くのですね。勉強になりました。

  • >「気」は繁体字で「氣」、簡体字で「龙」

    簡体字が違くない?「气」だったと思うけど。台湾の人は日本の書籍、余裕で読めるけど中国人は苦労するようで。しかも同じ字で日本と向こうでは意味が違ったりするし。鮪とか。

  • 日本語の特徴としてもう一つ、「縦書き横書きが両方とも自由」というのがありますよね。
    これがもし、縦書き以外は不可とか、アラビア語みたいに右から左へ横書きだったら、明治期の近代化とかコンピューターの普及とか、今よりずっと時間がかかったことでしょう。
    よかったよかった。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。