日本に興味のある外国人なら、カッパや天狗といった妖怪を知ってる人は珍しくない。
それで前に、1日5度のお祈りよりアニメが好きで(しらんけど)、日本語を勉強しているというイスラーム教徒のエジプト人に、エジプトにもカッパみたいな妖怪がいるかきいてみた。
その返事がこれ。
「Can I simply say that the yokai is a type of spirit and ghost?」
まず「妖怪」というものがよく分からないらしい。
民俗学者の柳田國男に言わせると妖怪は神が零落したものなんだが、まあゴーストやスピリットでもいいとしよう。
それで話を進めると、アラブやエジプトには伝説や神話に出てくる生き物がたくさんいるけど、エジプトならこれだという。
「There are many Arab and Egyptian mythical creatures
The Phoenix is one of them」
フェニックス!
エジプト人に妖怪をたずねたら、不死鳥という答えが返ってくるとは思わなかったぞ。
そもそもフェニックスは西洋のものと思っていたから、エジプト神話に出てくる生き物だったというのも初耳。
調べてみると、フェニックスはエジプト神話に出てくる聖なる鳥「ベンヌ」がモデルになったという。
古代エジプト人が描いたベンヌ
数千年前のエジプト人は、ベンヌは夜になると太陽神ラーの神殿にある炎へ飛び込んで死んで、次の朝、その炎の中から生まれると信じていた。
つまりベンヌは炎に突っ込んでは死に、翌朝よみがえるということを繰り返していた。
なるほど、だから火の鳥か。
でも毎日死んでいるのなら、「いい加減学習しろよ」と突っ込みたくなるけど、古代エジプト人はベンヌを沈んでは昇る太陽の象徴と考えていたからこれに終わりはない。
フェニックスとは小野寺キョウヤのような絶対死なないキャラと思っていたが、実際には毎日死んでいたらしい。
とにかくこんなエジプトの神話を聞いて、その存在を広めたのが古代ギリシアの歴史家ヘロドトス(紀元前485年頃 – 紀元前420年頃)。
ヘロドトスは『歴史』という本の中でフェニックスをエジプトの東、アラビアに住む鳥として紹介した。
そこでのフェニックスは、鷲に似た体型の、金色と赤で彩られた羽毛を持つ鳥で、父親の鳥が死ぬとその遺骸を雛鳥が没薬で出来た入れ物に入れてヘリオポリスに運ぶ習性があるとされた。
*フェニックスはラテン語で、英語ならフィーニクスになる。
このあとヨーロッパ(ローマ帝国)では不死のフェニックスは繁栄の象徴となり、コインにその姿が描かれるようになる。
また、死んでも再びよみがえるフェニックスは、キリスト教徒にはイエスの復活を象徴するものとなった。
こんな感じにエジプト神話の不死鳥ベンヌは、ヨーロッパに伝わったあと現地化されて「フェニックス」となり、いつごろか日本にも伝わって現在ではいろいろなところで使われている。
手塚治虫の「火の鳥」は名作だし、先ほどのアニメ好きのエジプト人は「ワンピース」でフェニックスが出てきて感動したという。
「聖闘士星矢」のフェニックス一輝とか、日本のアニメやマンガ、ゲームではこの不死鳥がよく使われる。
フェニックスと聞けばエジプトではなく欧米をイメージする人は多いと思うけど、その起源は古代エジプトの聖なる鳥「ベンヌ」だった。
なるほど。それは分かったのだけどフェニックスを、カッパや海坊主と同じような「妖怪カテゴリー」に入れていいのかは新しい謎。
ちなみに中国の鳳凰とフェニックスはまったく別の存在ですよ。
こちらの記事もいかがですか?
コメント
コメント一覧 (1件)
ゴーストやスピリットは、どちらかと言えば形が無くもやーっとした感じのものです。
これに対して妖怪はあくまで形を備えたもの。もっとも近いのは「ゴブリン」とか「妖精」の類じゃないですかね。
ただし欧米はじめ諸外国では、厳しく正義を貫く至上の神様が存在する場合が多いので、妖怪やゴブリンのような「多少は悪さをする程度の小物」が生きていける余地は少ないように思います。悪の存在で生き残れるのは、サタンやルシファーのように「神様に匹敵する力を備えた悪魔」みたいな奴等だけ。そういう善悪2強の対立構造って、伝統的日本の価値観とは相いれない。
神様も悪魔も妖怪も、みんな仲良く、和の精神でね。