韓国紙も「恥ずかしい」となげく、歴史のでたらめ・フェイク

 

韓国の港町プサンには「国立日帝強制動員歴史館」という歴史博物館があるらしい。
ボクは行ったことないのだけど、これを建てた趣旨が、

「日帝強占期強制動員の実相を究明することで成熟した歴史意識を鼓吹し、人権と世界平和についての国民教育の場を提供する」

というのは簡単に想像できる。
当時の韓国統治をいまの日本は「正しかった」とは言わないが「合法だった」と主張していて、それを「強占期強制動員」と表現する韓国との立場の違いはもはや埋められない。
日本が治めていた期間という意味で台湾の人たちが使う「日治時代」という表現なら、日本の考え方にかなり近い。

2015年にオープンしたこの博物館には約50億円の税金が投じられたというから、こういうお金の使い方なら韓国の人たちは基本的に文句を言わないようだ。
にもかかわらず、ここが「恥ずかしい」と韓国の全国紙・朝鮮日報が嘆いているのはどういうワケなのか。(2021/01/16)

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国立日帝強制動員歴史館は丘の上にあってアクセスが悪いらしい。
それはあちらの問題だから日本には関係ないとして、「専門の研究人材がいない点が問題になった」というからビックリだ。
歴史専門の研究人材がいない歴史博物館なんて、坊さんのいないお寺のようなもので、それはただの巨大なハコでは?
だから4年前、こんな恥をかいてしまった。

この歴史館は2017年に「フェイク写真」を展示し、日本の右翼団体に恥をかかされた前歴もある。朝鮮人強制動員被害者だとして展示していた写真が、実は日本人の写真だったのだ。

 

「日帝(大日本帝国・日本帝国主義)による強制動員の被害者となった朝鮮人」という名目で展示していた写真は、まったく関係ない日本人のものだった。
博物館の外にある追慕塔もこんなあり様だ。

「骨と皮だけの労働者の写真も、朝鮮人徴用被害者ではなく1926年に北海道開拓の過程で「奴隷労働」に苦しんだ日本人だと判明」したことで、「あたふたと展示物を取り換えた」という。
確かにこんな騒動は日本の国立博物館では起こりそうにない。
全国紙が「恥ずかしい」と指摘するのももっともだ。

韓国の歴史学者は「日本人も訪れる場所なのだから、こういう博物館ほどファクトが正確であるべき。それを検証する専門人材がいないというのが最大の問題」と現状をなげく。

こういう“情けない”国立博物館がほかにいくつかあるというが、日本と無関係ならこちらが口出すすることはない。
ただ「国立テコンドー博物館」に約234億4000万円をかけたというのは単純にすごいと思う。
日本で「国立空手博物館」にそんな税金を使うとなったら、あちこちから非難の声が上がって大問題となって、そんな計画はきっとつぶされる。
韓国と日本では「歴史」や「国威」に関する考え方が大きく違うようだ。

 

同じような「恥ずかしい事例」はほかにもある。
数年前、「世界の交差点」と呼ばれていて、世界的に注目度の高いニューヨークのタイムズスクエアで、「日本による強制動員の被害者」として紹介した人物がじつは朝鮮人ではなく、無関係の日本人だったことが判明して韓国側はあわててそれを撤去した。

これが当時の全国紙・中央日報の反応。(2017.07.28)

日本と日本人はディテールに強い。嫌韓に没頭したネット右翼は誤謬や失敗を逃さない。強制労役のような日帝侵略期の蛮行を否認するのにそのような誤謬を動員する。

【取材日記】韓国が日本の歴史歪曲に対抗する道

 

「日本の右翼団体に恥をかかされた」と書く朝鮮日報もそうなんだが、悪いのは「フェイク写真」を展示した韓国側だろう。
事実にもとづいて間違いを指摘するのに右翼も左翼もあるものか。
それにしても、タイムズスクエアで広告を出すにはばく大な金がかかるはずだけど、「日本の蛮行を世界に伝える」と宣伝すると必要な寄付金が集まってしまうシステムが恐ろしい。

歴史資料をしっかり検証しないため韓国では、「国内の公共施設でさえもでたらめな説明をつけてこの写真を展示している」ということを中央日報も認めている。
「国立日帝強制動員歴史館」はそんな有象無象のひとつ。

「根本的な問題は日本の強制動員に関する研究と史料がかなり不足している」という指摘もさっきの朝鮮日報と同じだ。
「日本の歴史歪曲に対抗する」のなら、まずは博物館レベルで横行している「フェイク写真」や「でたらめな説明」をなくさなきゃ。
こういう歴史認識から謝罪や反省、さらには裁判所で賠償を命じられる側になって考えてほしい。
現在の「被害者」は一体どっちなのか。

 

以下、余談

韓国と同じく日本統治を受けた台湾では、こんな歴史認識をめぐる問題はまったくない。

 

 

これは台湾で販売されている「ウーロン茶羊羹」だ。
窪田という日本人が明治時代に、羊羹を食べる文化を台湾に持ち込んだという。
戦後、窪田から製法を教わった現地の人たちが羊羹販売を始めて、いまではこの地方(玉里)の銘菓になった。

画像は台湾情報を発信している Hsu Hsu さんのもの。
「日本人のお口には合いますかね?」とHsu Hsuさんは控えめに言うけれど、ウーロン茶と羊羹、台湾と日本のコラボが日本人に合わないワケがない。

日韓関係の理想は日台関係にある。
台湾は客観的に歴史を把握しようとするから、でたらめやフェイクがない。とは言い切れないとしても、かなり少ないのは確かだ。
だから日本と台湾はいつも良好・安泰だ。

 

 

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1 個のコメント

  • > 台湾は客観的に歴史を把握しようとするから、でたらめやフェイクがない。

    他方の韓国は、客観的に歴史を把握しようとしないばかりか、主観的・意図的な歴史を一般人に向けて喧伝し、また子供の教育に取り込んでいる。
    これではいつまで経ってもまともに相手などできる訳がないですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。