いま台湾がピンチだ。
台湾産パイナップルの95%超を輸出していた中国に、最近「NO」を突き付けられて輸入が止められ、台湾のパイナップル業者が悲鳴を上げている。
それで蔡総統が先頭に立ち、台湾のパイナップルを買って農民を支援しようと動き出した。
台湾ではパイナップルを「凰梨」と書く。
この隣人には東日本大震災のとき、全力で日本を支援してもらった恩義がある。
いまこそれを(少しでも)返すべきと、ネットをみると「凰梨を食べて応援」という日本人がたくさんいる。
・台湾は兄弟。
兄弟のためなら、何でもやります!
・隣人を助けるのは当たり前の事ですよw
・芯まで食べられるってマジか
・値段見てびっくりしたが、他のもの我慢して買おうと思う
・こんなんで恩返せるとは到底思えないが買うわ
しかもうめーとか最高か
芯については、台湾で食べたパイナップルはOKだったから、輸入品でも大丈夫でしょ。
いまのところ台湾産凰梨は、有名スーパーでは「西友」で購入できるらしい。
きっとこれから増えるはず。
さて、話はここまで何度も出てきた「凰梨」だ。
台湾で本格的なパイナップル栽培がはじまったのは日本統治時代で、1930年代には、台湾は世界のトップスリーに入る「パイナップル天国」だった。
いまでもこの果物は有名で、「鳳梨酥(パイナップルケーキ)」は日本人観光客にとっては京都の八つ橋並みの定番土産だ。
そのせいか、日本にやって来る知人の台湾人もプレゼントでよくこれを買ってくる。
このお菓子を見る機会がよくあるから、前々から「鳳」の字が気になっていた。
「これは中国の伝説の霊鳥で、日本でも有名な鳳凰のことでは?なんでそれがパイナップルの名称に。これは偶然とは思えぬ」という疑問をもっていて、最近その理由がわかったから、これからそれを紹介しよう。
鳳梨酥
古代中国では、この鳥が現れると良いことが起こると言われ、鳳凰は瑞獣(ずいじゅう)のひとつと考えられていた。
でも現代の日本人なら、「瑞獣」よりも軽薄な感じになるけど、英語の「ラッキー・アニマル(lucky animals)」のほうが分かりやすいでしょ。
鳳凰はいろんな生き物のパーツを組み合わせてつくられた。
中国の鳳凰は一般的に、頭が金鶏、くちばしはオウム、首は龍、胴体の前部がオシドリ(後部はキリン)、足はツル、翼はツバメ、尾は孔雀でできている。
鳳凰は幸せの予兆で、これが現れると近くめでたいことが起きる。
そんなとても縁起の良い鳥だから、昔から中国人や日本人から好かれてきた。
北京の紫禁城にある鳳凰の像
そんな鳳凰とパイナップルにはどんな関係があるのか?
それを台湾人にきいたら「え?しりません」と言われ、「なにこの無能」と思ったら、その場で調べてくれた。
「鳳梨」という漢字なったワケは、パイナップルの葉の形が鳳凰の尾羽に似ているからという。
上に広がる葉の形が鳳凰の尾羽を連想させることから、パイナップルに「鳳梨」という漢字があてられた。
鳳凰が全日本人から愛される理由が、おわかりいただけただろうか
ほかにも由来はあるらしいのだけど、「慈済(ツーチー)」というメディアで台湾人記者もこう書いているから「鳳凰の尾羽説」で正解だろう。(2010年8月01日)
その赤みがかったオレンジ色の皮、鳳凰(ほうおう)の尾羽のような冠芽、金色の果肉がめでたい象徴として台湾では大変重宝がられている。
パイナップルはめでたい兆しの果物・上
台湾ではパイナップルにめでたいイメージがあって、こから事業を始める人や受験生に前祝いとしてこれをプレゼントするという。
また、神仏やご先祖さまへのお供え物としても使われる。
ラッキー・アニマルの鳳凰に由来するこの果物は、台湾の「ラッキー・フルーツ」だった。
ということでこれを食べたらきっと良いことがある。
鳳梨を食べて応援、恩返しするのはいま。
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明日、街の中華屋で酢豚を食べることにします。