コロナ対策で現れた、日本人と韓国人の価値観の違い

韓国の全国紙・朝鮮日報日本語版が、日本の心配をしてくれている（のか）。（2021/03/08）

注射器足りない日本…「このままではワクチン接種に126年かかる」

何でも日本は、新型コロナのワクチン接種のスピードがとにかく遅いようで、いまのペースでは日本の人口１億２６００万人が接種するのに１２６年かかってしまうという。
一方、接種した日が日本より９日遅れた韓国では、３月１０日の時点で、日本の接種済み約15万人に対して、約50万人が打ち終えている。
スピードにして、韓国は日本の７倍も早くワクチン接種が進んでいるらしい。

日本と韓国…どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。

それもあると思われるが、韓国では国内でのワクチン生産がスタートしているし、１瓶のワクチンを無駄なく使い切る注射器も開発した。
でもそれ以外に、日本人と韓国人の価値観の違いもある、と東スポウェブの記事が指摘。（2021年03月11日）

韓国「日本はワクチン接種に１２６年かかる」勝ち誇るウラで浮き彫りとなった“価値観の違い”

日韓事情に精通した龍谷大学の李相哲教授は、「韓国は安全性のハードルが日本より低い。日本は安全性を重視するからスロースタート」と言う。
それといまの韓国政府にはあせりがあるようだ。
ちょっと前まで、韓国の「Ｋ防疫」が成功したと世界に向けて「自慢していた文在寅大統領が、第２波が起き国民から大バッシングを浴びた」というあり様。

さらにワクチン接種でも日本に後れを取ってしまったということで、李教授に言わせると、「韓国は巻き返そうとしているからスピードアップしているが、それが正解かは分からない。とにかく早ければいいという考え方」で日々まい進している。

結局、「速さ重視」の韓国人と「安全性第一」の日本人では根本的な価値観が違うから、発想や行動も自然と異なり、今回はスピードという形でそれが現れたということだ。
ただ、コロナの感染拡大という同じ危機への対応で現れたということは、これは国民性の違いと言っていい。

このまえ記事で日本人の「復旧力」について書いた。
東日本大震災で壊滅的なダメージをうけた高速道路が１週間もたたないうちに、車両が通行できるまでに復旧し、その様子を見た外国人が「信じられない…」「フォトショップだろ？」という反応を見せる。

東日本大震災から10年。外国人の反応と日本人の「復旧力」

この記事にある韓国人さんがこんなコメントをくれた。

「この写真や記事、ニュースで視聴した事がありますね。韓国も速度戦には強いです。」

この「速度戦」ということばは本当に韓国人らしい発想だと思う。

韓国には「急げ急げ・速く速く」のパリパリ文化というか、パリパリ気質があって、これが日本人とは対照的だから、両国の国民性の違いとしてよく指摘されるのだ。
個人的にもこれまで、日本に住んだ経験のある韓国人に日本人との考え方や価値観の違いをきくと、パリパリということばは出てこなくても、韓国人はとにかくスピード、日本人は正確さを重視するという答えがよく返ってきた。

知人の韓国人が言うには、インターネットでサイトにつながる速度が遅いことには、韓国人は絶対に耐えられない。
そんなことで、韓国のインターネット通信速度は「世界最速」だ。
聯合ニュースの記事（2016年８月23日）

ルートメトリックスの幹部は「ソウルはインターネット速度が世界１位レベル。ソウルのネットワーク性能はアジアだけでなく全世界の主要都市に新たなスタンダードを提示している」と評価した。

ソウルのモバイル通信速度「世界１位」　東京の約２倍

いや日本と比較しなくていいから。
こうやってなんでも「韓日戦」にしてしまうところにも、日本人との価値観の違いを感じる。

ただ速さには正確さがともなわないから「やっつけ仕事」になりがちで、クオリティーの低さはよく問題になる。

でも韓国社会で早さは武器。
釜山に引っ越した西日本新聞の日本人記者が、通販でも出前でも配達がとにかく早いことには、大きな助けになったと書いている。
韓国では郵便局で配達が予定より遅れると、送料が返金されるルールがあるという。
それについて釜山郵便集中センターのナム局長は、「韓国にはパリパリ文化があるので、常に早く届ける努力をしている」と話す。

くわしいことは西日本新聞のコラムをどうぞ。（2018/4/30）

パリパリ生活裏表　通販も出前も超特急　癒やし空間街に続々

最近ドイツ人と話をしたときも、日本はオリンピックを開催したいと熱望しているわりには、ワクチン接種のスピードが遅いと意外そうに言う。
「ロックダウンしないといけないヨーロッパと違って、日本は優秀だから。コロナの感染拡大をうまくおさえているからだね」と称賛してくれるのだが、日本にいると「成功しているっ」なんて実感はあまりしない。
やっぱり安全第一の価値観が大きいのだろう。