韓国にかわいそうな高校生がいた。
その高校生はテストで0点をとってしまった。
それ自体なら珍しくもない。
日本にもそんな高校生はいくらでもいる。
この韓国の高校生がかわいそうなのは、”答えは正しかったけれど、間違いにされた”ということだ。
彼が0点をとってしまったのは漢字のテスト。
空欄に正しい漢字を書く問題で、彼は韓国の漢字ではなくて日本の漢字を書いてしまう。
その高校生は日本語を学んでいて、韓国式の漢字を忘れてしまった。
それで、「空欄で答案用紙を出すよりは、日本の漢字を書いたほうがマシだ」と思って、彼は日本の漢字を書いてテストを提出する。
具体的には、「争」「対」「点」「与党」という漢字を空欄に書きこむ。
日本人ならすぐわかるけど、これは日本人が使っている漢字だ。
韓国の漢字だと、それぞれ「爭」「對」「點」「與黨」になる。
韓国で使っている漢字は、日本でいうと旧字体の漢字。
日本もむかしは「爭」「對」「點」「與黨」の漢字をつかっていたけど、簡略化して今では「争」「対」「点」「与党」という漢字をつかっている。
この高校生が書いた漢字は簡略化された漢字だから、漢字そのものは間違ってはいない。
でも、「空欄で出すよりは日本の漢字を書いた方がまだマシだ!」という高校生の判断が担当教師を激怒させる。
こうなると反日感情もからんでくるから、漢字だけの問題でもない。
Record chinaの記事(2017年8月26日)によると、その教師の様子はこんな感じ。
教師はこれにますます怒りを募らせ「おまえは日本人か?正気じゃないな。空欄のまま出せばいいのに、生意気に日本の漢字なんか書きやがって。おまえみたいなやつらが後々国を売り払うようになるんだ」と暴言をまき散らし、手まで出しそうになったところで、周りにいた教師らが止めに入ってようやく落ち着いたという。
これでこの後、「日本式の漢字を書いたらテストで0点にされちゃった」とその高校生がネットに書きこむ。
ネットでは「その教師に問題がある」と、教師を非難する声が多かったらしい。
まあ、ネットに書きこんでもテストの点は変わらないわけだが。
何の占いだよ。
それにしても、教師が職員室で生徒に向かって「おまえみたいなやつらが後々国を売り払うようになるんだ」と言うのは行き過ぎだ。
と思ってしまうのは日本の感覚で、韓国ではこれがふつうかも。
さすがに、生徒に殴りかかる前には止められているけど。
教師も”反日愛国”というのはどうなんだ?
このかわいそうな高校生の場合、彼が「漢字クラス」を選んだために漢字のテストを受けている。
今の韓国では、ふつうの高校生が漢字を習うことはないだろう。
現代の韓国社会はハングル文字だけで生活できる。
一般の韓国人なら、漢字より英語を身につけたいと思うはず。
後から書くけど、韓国では1970年ごろに漢字を廃止してしまった。
數は日本の漢字だと数。
「いまーす」というのは、元気があってよろしい。
インドを旅している時にこんなことがあった。
コルカタの宿で、一人の韓国人の女の子と出会う。
その韓国人の子と宿にいた中国人といっしょにご飯を食べに行く。
別れ際、それぞれの連絡先を紙に書いて渡すことになった。
でも、韓国人の女の子の手が止まっている。
彼女は自分の名前の漢字を忘れてしまって、書けなくなってしまったのだ。
それで、何とか思い出そうとがんばっていた。
忘れたといっても、名前のすべての文字ではなくて、一文字だけだったと思う。
「漢字で書く必要はないし、英語で書けばいいよ」とボクと中国人が言ったけど、彼女は聞かない。
日本人のボクと中国人の彼が漢字で名前を書いているのを見て、何とか自分も漢字で名前を書きたかったらしい。
でも結局、思い出せなかった。
ローマ字で書いた名前をボクたちにわたすことになる。
後からこの中国人がこのことに驚いていた。
「韓国が漢字を廃止したことは知っていたけど、まさか自分の名前も書けないとは思わなかったよ。今、世界で漢字を使っているのは中国と日本だけだね」
このとき日中友好の光がたしかに見えた。
でも後日、友人の韓国人に話を聞いたら、その韓国人も驚いていた。
どうやらこの女の子は例外で、ふつうは自分の名前ぐらいは漢字で書けるらしい。
前は韓国人も漢字を使っていた。
けれど、朴正熙(1917-1979)大統領のときに「ハングル・ナショナリズム」がおきて、漢字をハングル文字に書きかえるようになる。
朴 正煕(パク・チョンヒ、ぼくせいき)
職業軍人だったが、1961年の軍事クーデターで国家再建最高会議議長に就任し、1963年から1979年まで大統領(第5代から第9代)を務めた。彼の時代に『漢江の奇跡』と呼ばれる高度経済成長が実現されて韓国は世界最貧国の層から脱した。
「ウィキペディア」
韓国で漢字が廃止されたのはこの時代。
日本で活躍している作家で大学教授の呉善花(オ・ソンファ)という人がいる。
この人が小学6年生のときに、韓国の学校教育で漢字が廃止された。
そのときのことをこう書いている。
六年生になると、教師から「これからは漢字を勉強しなくてもよろしい」と言い渡され、教室中が私たち生徒の歓声でどよめいたのをよく覚えている。そして中学に入り、一九七〇年の春からすべての教科書から漢字が消えていった。
「漢字廃止で韓国に何が起きたか (呉善花)」
こうして、自分の名前を漢字で書けずに困ってしまう韓国人が生まれることになる。
ソウル駅
驛は日本の漢字だと”駅”。
ソウルは漢字で書けないから、ハングル文字表記になっている。
ソウルの漢字として、「京都」という漢字を当てていたこともあった。
実は”ソウル”も”京都”も意味は同じ。英語にしたら「capital」だ。
くわしくはこの記事を↓
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
名古屋駅のレストラン
“驛”を使っているのは、むかし風に見せたかったのだろう。
この漢字を読めない日本人も多い気がする。
北朝鮮のミサイル VS 日本の迎撃態勢←日本にいる外国人の感想は?
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今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?
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