日本に住んでいる外国人と知り合うと、「あなたの好きな日本料理ナンバーワンは?」という質問をよくする。
最近タイ人から聞いた答えは天ぷら。
ラーメンや寿司が好きと言うタイ人はたくさんいたけど、天ぷらのチョイスはちょっと珍しい。
ここ10年ほどタイでは日本料理が大人気で、バンコクならお金さえ出せば日本と同じレベルのラーメンや寿司を味わうことができる。
だからすでにおいしい日本食はいろいろ食べていた。
でも日本にきてから、日本人に連れて行ってもらったお店で、揚げたての天ぷらを食べたときはかつてない衝撃をうけた。
味も良かったけど、あの衣のサクサク感はタイで経験したことがなかった。
ただ彼の好きな店で出すものに限るから、天ぷらなら何でもいいというわけではないという。
天ぷらはもともとは、戦国時代にやって来たヨーロッパ人の宣教師が伝えた南蛮料理だった。
それまでの日本には米粉などを衣にした揚げ物ならあったけど、小麦粉を使ったものはnew。
この西洋式の揚げ物料理は日本人の舌をとらえて、江戸時代以降に全国へ広がっていった。
宣教師が伝えたかったキリスト教は禁止されて、彼らにとっては、きっとどうでもよかったこの西洋料理が日本人に受け入れられたというオチ。
さて昨日は、イエス=キリストが3日後に復活したことを祝うイースターだった。
キリスト教で最も重要な祭りであるこの復活祭は毎年日曜日にあって、その3日前の金曜日はキリストが処刑された「聖金曜日」になる。
キリストが殺されたけど(だからこそ)、英語でこの日は「Good Friday」と言う。
ちなみにこれに由来して、アメリカやドイツなどでは「13日の金曜日」を不吉と考えるという説もあり。
キリストの死を記念するこの聖金曜日、カトリックでは肉食をひかえる習慣がある。
大事な祭りを前に心身を備える日を斎日(さいじつ)と言い、キリスト教でそういう日は一年で何回かある。
でもなぜか魚は肉とみなされていないから、これは食ってもOKだ。
ちょうど聖金曜日の翌日に会ったアメリカ人やイギリス人もきいてもその理由は知らず、日本の歴史をよく知るアメリカ人は、「江戸時代の日本人だって肉食は禁止されていたのに、魚や鳥は食べることができたじゃないか」と言い返す。
何にでも”抜け道”はあるらしい。
肉食を絶って祈りを行う斎日をポルトガル語で「テンポーラ(temporas)」と言い、これが天ぷらの語源になったという説がある。
テンポーラの期間中、キリスト教徒は野菜や魚に小麦粉をつけた揚げ物を食べていたという。
天ぷらの由来にはほかにもポルトガル語のtempêro(調味料)とか、テンピユラリ(天火揺らり)とか諸説あって正確なところはわからない。
でもこの食べ物がアジアの島国で独自の進化をとげて、日本料理を代表する一品になって外国人の舌を満足させているのはたしかだ。
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