【ワンダフル!】日本文化の鵜飼い。その歴史と外国人の感想

 

3年ぐらいまえに京都旅行をしたときに、宿泊していたゲストハウスでイタリア人の旅行者と知り合った。
20代の女性2人で、東京から京都へ移動するまでにいろいろな観光名所に寄ったと話すから、特に印象的だったものをたずねたら、岐阜で見た鵜飼いと言う。

「静かな夜、炎であたりを照らす船に民族衣装を着た男性が乗ってきた。彼が鵜を放って魚を取る様子は舞台芸術を見る思いで、日本でしか見られない独特の雰囲気にとても感動した。川に潜る鳥もかわいかった」

ボクは鵜飼いを生で見たことがないからよくわからんが、イタリアやヨーロッパにはない日本的な幽玄の世界だったと思われ。
こちらとしては鵜飼いという答えは予想外で、それが印象に残ったと話すイタリア人が印象的だった。

 

 

浮世絵に描かれた鵜飼い(江戸時代)
松尾芭蕉はこれを見て「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」という句を詠んだ。

 

ほんじつ5月11日は鵜飼い開きの日。
岐阜県の長良川ではきょうから10月15日まで鵜飼いが行われる。
この伝統文化の歴史はとても長く、8世紀にできた『日本書紀』には、鵜を使って魚を取る様子を見た天皇があれは何かとたずねたという記述がある。
また7世の中国の歴史書『隋書』では、日本を訪れた隋の使者が『以小環挂鸕鷀項、令入水捕魚、日得百餘頭』(小さな輪を鳥にかけ日に100匹は魚を捕る)と記している。

鵜を使って魚を取る漁は世界各地にある。
英語版ウィキペディアによると、歴史的には日本と中国のほか、ギリシャ、北マケドニア、そしてイギリスとフランスで行われてきた。
ただその初めての記録としては、636年に成立した中国の「隋書」の中で、古代の日本人がこの方法を採用していたという記述がある。

Historically, cormorant fishing has taken place in Japan and China, as well as Greece, North Macedonia, and, briefly, England and France. It is first attested as a method used by the ancient Japanese in the Book of Sui, the official history of the Sui Dynasty of China, completed in 636 CE.

Cormorant fishing

「Cormorant」は鵜のこと。また「貪欲な人」という意味もあるらしい。

 

岐阜県長良川の鵜飼いについていえば、1300年以上の歴史がある。
1922(大正11)年には、イギリスのエドワード皇太子が長良川にまで足を延ばしてこれを観覧したし、喜劇王のチャップリンは昭和11年と昭和36年の2回も長良川の鵜飼いを見て、「ワンダフル!」を連呼し、鵜匠を「アーティスト」と呼んだという。

では、現代の外国人はこの日本の伝統文化を見てどう思うのか?
それを確認しようと「ukai」で検索したら、まずアニメ『ハイキュー!!』の烏養繋心(うかいけいしん)の情報が出てきてビックリ。
それとインドのグジャラート州に「Ukai」という地名があることも初めて知った。

トリップアドバイザーで実際に鵜飼いを見た人の感想を見てみると、あるシンガポール人はこう言う。

「If you are into understanding the culture of Cormorant Fishing, this is a great place to see.」

あなたが鵜飼いの文化を理解しているのなら、ここは見るべき素晴らしい場所です。

オーストラリア人

「Once again please book ahead. This was a amazing show and it was an experience we will talk about for a long time. Highly recommended」

もう一度言いますが、予約をしてください。これは素晴らしいショーだったし、私たちはこの経験をずっと話していくでしょう。強くおススメします。

国籍不明

「That was a real spectacle! Really wonderful! We did enjoy the great show which gave us more insights of the awesome Japanese culture.」

本当に素晴らしい光景でした!本当にワンダフルです!わたしたちはそのショーをとても楽しみましたし、日本文化の素晴らしさをより深く知ることができました。

香港人

「Very interesting night fishing with fire and birds and I think it is a must see of the city.」

火と鳥によるとても興味深いナイトフィッシング。この街では必見だと思います。

こういう賞賛とは違って、鵜飼いの船がたくさんあって混雑していた、説明が日本語だけだったなどの不満もある。
でも、この日本の伝統文化に対する総合的な評価はきわめて高し。
これは日本人として一度は行かなきゃ。

 

中国の鵜飼いなら見たことアリ。

 

 

 

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1 個のコメント

  • > 鵜を使って魚を取る漁は世界各地にある。
    > 英語版ウィキペディアによると、歴史的には日本と中国のほか、ギリシャ、北マケドニア、そしてイギリスとフランスで行われてきた。
    > ただその初めての記録としては、636年に成立した中国の「隋書」の中で、古代の日本人がこの方法を採用していたという記述がある。

    Historically, cormorant fishing has taken place in Japan and China, as well as Greece, North Macedonia, and, briefly, England and France. It is first attested as a method used by the ancient Japanese in the Book of Sui, the official history of the Sui Dynasty of China, completed in 636 CE.

    うーん、そうですね。この英文は上記の日本語の第1文「・・・世界各地にある。」の直後に移動して、それに続けて、「上記に示す英語版ウィキペディアによると・・・」と記述する方が、ずいぶんと分かりやすくなるように思います。現在の記述の順序だと、「英語版ウィキペディア・・・」のくだりが、その直後の英文を翻訳したものであるということが読者には分かりづらいですね。
    このような文章構成は、理数系の論文では「不可」とされます。特に英語論文を書くのが苦手な年配の日本人研究者にありがち。自分の頭の中に残っているから読者もそうであると、思い込んでいるのですよね。
    そこが大きな間違い。いつの時代でも年寄りは自分本意なものですが。

    このコメントだって、3回は見直してその後に投稿したのですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。