中国人と日本人の価値観の違い。商売で大事なのは自分?信用?

 

中国人の欠点はなにか?

それを知りたかったら、中国人に聞いてみるのが一番。
サーチナにそんな記事(2017-07-28)がのっている。

団結できない、口ばっかりで動かない・・・中国人が考える、中国人の「10大欠点」=中国メディア

 

中国メディアが中国人の10大欠点をあげている。
それはこのようなもの。

・団結しない
・私利私欲に走る
・衛生習慣が悪い
・列に並ぼうとしない
・地域間の差別が激しい
・地元民が非地元民をバカにする
・都会人が農民をバカにする
・他人からの恩や義理を忘れる
・廉恥の心がない
・お金を持っている者になびき、お金のない者を見下す
・口ばかり達者で、行動が少ない

 

この10大欠点のうち、次の4につには共通点がある。

・団結しない
・私利私欲に走る
・列に並ぼうとしない
・他人からの恩や義理を忘れる

この4つを一言であらわしたら「自己中心的」になる。
悪い言い方になって申し訳ないけど、自分のことを第一に考えて他人のことは後回しにしてしまう。

「私利私欲に走る」という言葉が象徴するように、中国人の価値観として「自分の利益を何よりも最優先する」という傾向が強い。
これは中国人の日本語ガイドや友人の中国人も「中国人の重大な欠点」だと言っていた。

でも、だからこそ中国には過労死なんて社会問題がないのだろうけど。

 

 

この記事にはこうも書いてある。

個を強調する傾向にある中国では日本ほど団体意識が強くなく、いざという時に団結ができないとのことである。

個を強調する傾向が強かったら、自己中心的になるし私利私欲にも走るだろう。
中国人の一人ひとりが自分の利益だけを考えて行動したら、中国全体としては発展しなくなる。

この記事を書いた日本人も、中国のいろいろな産業を発展させるためには、「個人個人が目先の利益優先で私利私欲に走ってはいけない」と指摘している。

 

それで思い出したことがある。
中国で働いていた知り合いの日本人がこんなことをなげいていた。

「中国人は会社より自分を大切にする考え方がとても強い。会社で中国人社員にトレーニングを積ませて『やっとウチの会社の戦力になる』と思ったら、同業他社へ転職してしまう。こんなことがよくあるんだよ」

中国人の価値観からしたら、会社より自分のほうがはるかに大事。
10大欠点の「他人からの恩や義理を忘れる」がこれだろう。

だから、会社としてはなかなか発展しないらしい。
これは中国人と中国という国全体についても当てはまると思う。

まあ、日本人の愛社精神は世界的にも珍しいけど。

 

上の記事では、これから中国が発展するために、このような考え方が必要だと述べている。

「今は直接自分の利益にならなくても、長い目で見れば最終的に自分に利益がもたらされる」という考え方ができるかどうかだ。

 

上のことを言いかえたら、「中国人は個人では強い」ということにもなる。

中国旅行でお世話になった日本語ガイドもこんなことを言っていた。

中国人は一人だと竜です。でも3人になると豚になってしまいます。
日本人は一人だと豚です。でも3人になると竜になります。

日本人と中国人を比べた場合、日本人は個人では弱いけど協調性がある。
だから集団になると強さを発揮する。

これが中国人とは正反対だという。

 

 

「長い目で見れば最終的に自分に利益がもたらされる」ということを信じて商売をすることが、中国人にはむずかしいという。

でもそれはインド人も同じ。

インドのエキスパートの島田卓氏が、日本の商売では常識だけどインド人には通じないものがあると書いている。
日本の「損して得取れ」という考え方が、インドでは受け入れられないという。

インド人が最も理解できないのが、日本人の「損して得取れ」の発想だ。日本人は、将来のビジネスに有利に働くならば、現時点で少しばかり損してもいいと考える。これが、インド人には理解できない。

最初から得を取ろうとする。初めに損するなら、やらない方がましなのだ。契約相手と同様に、将来も信用しない。だって、明日何があるかわからない。そうとらえるのが、インド人である。

「日本を救うインド人 (島田卓)」

この中の「インド人」を「中国人」に置き換えても、そのまま通じると思う。

 

 

はじめは、自分が損をしても信用を築く。
人から信頼を得られたら、仕事はうまくいく。
日本での商売としてはこれは常識だ。

日本でこんな考え方が当たり前になったのはいつごろからか?

そりゃ分かりません。

でも、信用第一で商売をはじめて大成功した日本人なら知っている。
それが三井高利(みついたかとし)という江戸時代の人。

この人は高校の日本史で習うぐらい、日本にとって重要な人物だ。
日本人なら知ってもおいていい。

この三井高利は優れた経営の才能で、越後呉服屋を大繁盛させている。

越後呉服屋

三井高利が1673年に江戸に開いた呉服店。「現金掛け値なし」と切売り商法で繁盛。両替商も兼業。幕府の御用(達)商人。明治期になって分立し、現在の三越百貨店につながる。

「日本史用語集 (山川出版)」

ここに書いてあるように、今の三越百貨店の前身がこの越後呉服屋だ。

 

タイのデパート

 

三井高利は「現金掛け値なし」という画期的な商売法をはじめて大成功を収めている。

「掛け値」とは、悪い言い方をしたら「ぼったくり価格」のこと。

かけね【掛け値・掛値】

物を売るときに実際より値段を高くつけること。また、その値段。

(大辞林 第三版の解説)

中国やインドや東南アジアの国には、店の商品に値札がないことがある。
そんな場合は、店員が値段を教えてくれる。

でも店員の言い値が「良い値」であるはずがない。

100円のものを200円や300円と吹っかけるのは当たり前。
この言い値が「掛け値」になる。
「吹っかける」の「かけ」だ。

 

江戸時代の日本でも、こうした値段交渉での買い物が当たり前だった。
三井高利みついたかとしがそれを変える。

三井高利は、掛け値というぼったくりをなくして、定価(適正価格)で商品を売り出すことにした。

今の日本では常識になっている「定価で物を売る」という定価制をはじめたのは、三井高利が世界で初めてだという。

現在では当たり前になっている正札販売を世界で初めて実現し

(ウィキペディア)

三井高利の商売の基本的な発想に、「お客様第一」がある。
掛け値というぼったくりを廃止して、客からの信用を第一にして店を大成功させた。

今でいう「カスタマーファースト」で、三井高利の考え方は今の日本の常識になっている。

 

中国やインドで、三井高利のような人物はいつ現れたのだろう?
「こうした人物が早くに現れて、その国の商売の常識や価値観を変えてしまう」ということは、その後の社会にとても大きな影響をあたえると思う。

 

 

でも、むかしは中国でも信用は大切にされていた。

そんな中国の言葉は今の日本でもたくさんある。
たとえば、小泉純一郎元首相は「信なくば立たたず」という言葉を座右の銘にしている。

小泉総理の好きな格言のひとつに「無信不立(信無くば立たず)」があります。

小泉総理プロフィール

 

孔子がこう言う。
政治では、食料を十分にし軍備を十分にして人民には信頼を持たせることが大事だ。
この3つの中で、孔子は「信」をもっとも重視していた。

人民は信頼がなければ安定しない(民無信不立)」と語ったといいます。

中国からはすばらしい言葉が日本に伝わって来ているのに、今の中国を見ると偉人の言葉がほぼ絶滅している。

「中国の良いところは、みんな日本へ行ってしまいましたから」なんて中国人のガイドが笑って言っていたぐらい。

でも中国人が自分の利益より信用を優先するようになったら、とても強くなるはず。
「中国人は一人だと竜です。でも3人になると豚になってしまいます」というのが、「一人だと竜で、3人集まると黄竜になる」かもしれない。

 

 

孔子は政治について「人民は信頼がなければ安定しない(民無信不立)」と語っている。

でも今の中国共産党は、「人民の信頼」を捨ててしまっているように見える。
中国人にこっそり聞いたら、きっと同意してくれる。

信がないにもかかわらず成り立っていられるのが、中国共産党のすごいところでもある。
共産党という個の強さによるものだろう。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。