ホントに嫌い?インド人が日本で中国を”身近”に感じる理由

 

最近なんどか書いているんだが、インド人の家族と一緒に浜名湖ガーデンパークへピクニックに行ってきた。
そこで話をしていると、「日本に来てから中国料理をよく食べるようになった」と1人が言うのを聞いて、ちょっと引っかかる。
話を聞くとインドでは、少なくとも彼が住んでいるところでは中国料理店がほとんどなかったから、料理を食べる機会もなかった。
別のインド人も同じで、ネパール料理の「モモ」なら食べたことあるけど中国料理は一度もないと言う。

 

モモは餃子や小さな肉まんのような、中国由来のチベット料理

 

ネットで検索すると、首都ニューデリーでは中国料理店がいくつも出てくる。
でも5つ星ホテルにあるレストランは主に外国人向けだろうし、「アジア料理」とか「寿司」と書いてある店も多いから、中国料理だけを提供する店はかなり少なそうだ。
そういえばインドを旅行していて、街中で中国料理店を見た記憶がない。

インド東部の大都市コルカタに行った時は中国料理に由来する「チョウミン」という麵料理、日本でいえば焼きそばがあって、「エブリデー・カレー」の生活に飽きたからよくこれを食べたもんだ。

 

インドらしくスパイスの効いた麵料理、つまり”カレー焼きそば”だ。

米を炒めると炒飯(チャーハン)で、麺を炒めると炒麺(チャーメン)になる。
Chow mein」という発音が中国語とそっくりだったから、ひょっとしたらと思ってコルカタの宿のインド人スタッフにたずねると、この麵料理はむかし中国人がもたらしたものだと言う。

 

ピクニックにいたインド人は日本に来てから、中国を身近に感じるようになったと言う。
街中では赤や黄色の中国料理店を見かけるし、日本人と一緒にスーパーに行ったら、麻婆豆腐や野菜の炒め物、肉料理などなどいろいろな中国料理が販売されているのを知って驚いた。
インドと中国は政治的な対立があって、仕事ではなく定住している中国人は本当に少ない。
昔から中国人の人口は少なかったから、インドにはチャイナタウンがない。(これはちょっと正確ではない)
このときいたインド人夫婦は横浜に行って生まれて初めてチャイナタウンを見て、そのあと長崎を旅行したら、そこにもあってビックリしたという。
ただ彼らは日常生活で中国を感じる機会が多くなっただけで、親しみを感じるようになったワケではない。

 

いま現在、日本人の中国に対する印象は控えめに言ってかなり悪い。
昨年末に行われた世論調査では90%の人が中国を否定的に見ているから、ほぼ国民全員じゃん。

朝日新聞の記事(2020年11月19日)

中国の印象「良くない」9割に でも中国から見る日本は

でも日本に比べたら、中国側は日本を好意的に見ているらしい。

中国関連のニュースはこういうネガティブなものが多いから、日本で中国を身近に感じるようになったというインド人の感想はかなり意外。

でもこのときいたインド人に言わせると、そんな日本人の反応こそ意外らしい。
まわりの日本人もどちらかというと中国が嫌いな人がほとんどだけど、日本の社会にはいろんなところで中国の要素がある。
中国が嫌いと言うのなら、なんでチャイナタウンが2つもあるのか?(神戸にもありまっせ)
インドにも中国製のスマホや服、おもちゃなどがあってそれを使っている人はたくさんいる。
この状況は日本も同じとしても、インドでは何か対立が起こるとすぐに反中感情が高まってボイコット運動が始まったり、街中で中国製品を燃やす抗議運動が行われる。
でも、日本でそんな具体的な怒りを見たことがない。
だから日本人の”嫌い”は、実は大したことないと思う。

というのが彼らの感想。
もしインドに日本のようなチャイナタウンがあって政治対立が発生したら、暴徒によって滅ぼされるかもしれない。

 

日本人が反発しているのは政治問題であって、文化はまったく別。
三国志や水滸伝といった古典や料理などの中国文化はすっかり日本社会に定着しているから、それについてどうこう言う人はいないだろう。

インドと中国の関係が悪化した最大の原因は1962年の戦争だとか。
*日本でこれは戦争ではなく、紛争(中印国境紛争)と呼ばれている。
これについてはまた別の記事で書こうと思う。

 

 

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4 件のコメント

  • この前ヤフトピで「アウンサンコンサルティング」というところが調査した日本が好きか嫌いかという記事を読みました。 韓国・中国はわかるのですが親日と言われているタイ・インドネシア・インドで嫌いが多くなっていました。 日本に働きに来ている人が多い国です。 日本で働いた人たちから労働環境や差別とか悪いところを聞かされているのかもしれませんね。

  • インド人の中国人に対する感覚、これはなかなか複雑怪奇でして。少なくとも、日本から海一つ隔てた隣国に対する感覚とは、だいぶ違います。
    まずインドにとって中国とは、陸続きで北方の隣国ではあるものの、両国の間にはヒマラヤ山脈とかネパールやブータンなど第三国が挟まっている領域が多いという事情があります。しかも、それらを超えた「山の向こうの」中国は本当に中国か? と言うと、実はチベットだったり西域諸国だったりして、「真の中国」とは違う民族だったりします。こちらのルートで本当に中国人と接触した経験のあるインド人は、おそらく、軍隊関係者だけでしょう。そんな彼らにとって中国とは、間違いなく「敵国」です。
    それ以外の一般的インド人(←民族も文化も宗教もカーストも千差万別なインド人にこんな言い方成立するのか分かりませんが)にとって、中国とは、インド洋経由で船に乗って工業製品とともにやって来る「経済的侵入者/侵略者」のイメージが強いように思います。話をしたことのある何人かのインド人はそんな感じでした。彼らにとっては、さほど明確な「敵」ではないかもしれないが、人によっては、経済的優位性を傘に着た中国人の「傍若無人な態度」が反発心を招くこともあるでしょうね。
    でも大半のインド人にとっては、中国は「ヒマラヤの向こうか海の向こうかどこだか知らんけど、遠い大国」であるのではないかな。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。