【ストックス】人に屈辱と苦痛を与える、英米のムゴイやり方

 

フランスに植民地支配されていたベトナムで、フランス軍に対して蜂起しようとしたけれど、結局未遂に終わった事件についてきのう書いた。

「ハノイ投毒事件」にみる日本とベトナムの歴史の違い

その中で紹介したのが、容疑者として捕まったベトナム人を写したこの一枚。

 

 

この足かせに注目してもらいたい。
これはストックスという、罪人を拘束しておくための道具。

これで両足を固定されたら、脱走はおろか移動することも、立つことさえ不可能になる。
この刑具のストックスという名称は知らなかったが、この足かせはどこかで見たことがあって、この状態で囚人を牢獄にぶち込んでいたのだろうと思っていた。
でも実はそれだけではなかった。
昔の欧米人(正確には英米人か)にはかなり悪い”趣味”があったらしい。

 

 

この道具はについてキリスト教の聖書に出てくるというから、囚人を拘束するものとして古くから使われていたのだろう。
でも、ストックスが使用されたのは建物の中だけじゃない。

参照した英語版ウィキペディアの説明を読むと、この刑具が使われていたのは主にイギリス・アメリカ・カナダのようだ。

イギリスやアメリカの村や都市、教会の庭にストックスがあって、悪いことをした人間はこれで足を拘束され、身動きがとれない状態で放置された。

 

イギリスの村

 

これを見た通行人はどうしたか?

彼らは足をのばして地面に座っている(または寝転がる?)人間をくすぐったり、バカにするような屈辱的なことを言う。という甘いものだけでなく、ツバを吐きかける、蹴とばす、ムチや棒でたたくといった侮辱や苦痛を与えた。

ストックスは植民地だったアメリカやカナダをふくめ、イギリス各地で採用された。
この足かせを使った公の場での処罰(もはやリンチ)は、1500年から少なくとも1748年までは一般的に行われていたという。

The stocks were employed by civil and military authorities from medieval to early modern times including Colonial America. Public punishment in the stocks was a common occurrence from around 1500 until at least 1748.

Stocks 

「下層階級」の人間を罰するために、初期のアメリカのピューリタンの間で特に人気があったとか。

 

以下、イギリスにあるストックス

 

 

 

きょねんコロンビアで、コロナ対策に関するルールを破った住民に対してストックスが使われた。
違反したらこうなるゾという「見せしめ」の意味があるのだろうけど、まぁ日本じゃありえませんわ。

 

 

大航海時代にスペインの征服者が南米にやってきたとき、現地の人に罰や屈辱を与えるためにストックスをもたらした。
19世紀になっても南アメリカでは、反抗する先住民に対してこれを使っていたというから、この辱しめはその”名残り”かも。

 

 

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1 個のコメント

  • > きょねんコロンビアで、コロナ対策に関するルールを破った住民に対してストックスが使われた。
    > 違反したらこうなるゾという「見せしめ」の意味があるのだろうけど、まぁ日本じゃありえませんわ。

    今の日本ではね。
    安土桃山時代までは、大賀弥四郎を初めとする「鋸引き刑」とかあったわけですし。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。