6月1日が「写真の日」というのは前回書いたとおり。
でもってこの日は「チーズの日」でもある。
写真を撮るときのかけ声「はい、チーズ!」にちなんでこの記念日がつくられた。
つまり「6・1」の語呂合わせではないし、この日に日本で初めてチーズが作られたワケでもないから、チーズ製品の便乗キャンペーンだろう。
「チーズの日」は11月11日にもある。
日本に住む外国人、特に欧米人には「日本にはうまいチーズがない!それに基本的にチーズがめちゃ高い!」という不満をたまに聞く。
古代の日本では「蘇(そ)」というチーズに近い乳製品を作っていた記録はあるものの、乳製品が日本人の一般的な食品になることはなく、チーズを作る技術は発展していなかった。
だからそれは仕方がない。
まえに、「日本においしいチーズがない問題」に悩むリトアニア人(ヨーロッパの国)とトルコ人と話をしているときに「ゲテモノ料理」が話題になった。
ゲテモノといってもヘビやカエルならボクも食べたことあるし、これぐらいならチャレンジできる日本人は多いと思われ。
イナゴや蜂の子なら長野や岐阜のスーパーで普通に売っている。
ゲテモノ界のラスボスといえば、ゴキブリとウジ虫だろう。
これを口の中に入れ、嚙んでのみ込むことのできる日本人はかなりレアのはず。
リトアニア人が挑戦した、人生で最も“ゲテ”な食べ物は「カース・マルツゥ」というイタリアのチーズだと言う。
サルデーニャ語で「腐ったチーズ」を意味するカース・マルツゥにはウジ虫が入っている。
もう一度言いますね。
生きたウジ虫がウジャウジャと蠢(うごめ)いているチーズですよ。
この話を聞いただけでトルコ人の顔が青ざめた。
イタリアでは「ウジ虫チーズ」や「虫入りチーズ」として知られているらしい。
安心してください。
このカース・マルツゥは、ウジ虫が取り除かれていますよ。
まずハエがこのチーズに卵を産み、それからウジ虫が発生する。
そして大量のウジ虫がチーズを柔らかく、そして発酵させることで独特の味わいが生まれる。
あとはあなたのお好きのように。
ウジ虫を取り除いて食べる人もいれば、一緒に食べる人もいる。(ぎゃ~)
ただ後者を選択するなら、この虫は15センチメートルほど飛び跳ねることがあるから、目に入ってこないよう注意する必要がある。
先ほどのリトアニア人はさすがに「with ウジ虫」は無理だったので、それなしのカース・マルツゥを味わった。
おいしくて強烈なにおいのする、かなり印象に残る一品だったらしい。
現在では衛生面で問題があるということで、イタリアで販売が禁止されている。
はずなのに、なんだかんだ言って食べることはできるようだ。
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生きたウジ虫入りのチーズ「カース・マルツゥ」を、パンに付けて食べるイタリア人もいるという話をリトアニア人から聞いた。
日本ではありえないイタリアンで、ゲテものとしても最高レベルにある。
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日本では、ウジ虫もカビも「食肉ほか食べ物が腐った証」であるとして、非常に嫌悪されるのが一般的です。ただしこれは、日本の気候が(ヨーロッパに比べて)高温多湿で、腐りやすかったからではないでしょうか。
日本ほど高温多湿ではないヨーロッパでは、意外と、「食べ物が腐った」状態を目にすることが少ないのです。彼らにとって「ウジ虫」と言えば、まず連想するのは、食べ物ではなく人間や動物の「遺体」でしょうね。火葬も行わないですし。カビなんて、日本に比べて本当に目立たないですよ。それに比べて日本では、梅雨など季節の変化も大きいので、少し雨天が続くとあっという間にそこら中カビが生えてしまう(のが目に見える)。また生活に根付いた「発酵食品」なんかも多いですし。
普段目にすることが少ないからこそ、「ウジ虫や青カビをチーズにまとわせてより美味しくする」なんて考え方もあるんじゃないですかね?