海外に行くと、わりと謎な日本語と出くわすことがよくある。
たとえばこれは、タイの首都バンコクにあるショッピングモールで見たもの。
何を、何のために?
この元となったタイ語の文章を知りたい。
何かを外国語で表現したところ実は大誤訳で、ネイティブから失笑を買ってしまう失敗例は世界中である。
かつてイギリスに支配されていて、国民の多くが英語を話せるインドでもそんなミスをしてしまう。
インドのスポーツウェア会社が「Spunk(スパンク)」というブランド名で新しいウェアを売り出した。
スパンクとは「勇敢」「勇気ある」といった意味だから、「運動の才能があり、周りのリズムに夢中になれる人」というウェアのテーマにぴったりの言葉だ。
でも消費者心理を考えれば、「Spunk」が成功するのは難しいらしい。
少なくとも英国市場でそれは、史上最悪レベルのブランド名という。
BBCの記事(2015年12月18日)
というのも、この言葉の「勇敢」や「勇気」といった本来の意味が、英国では「精液」という俗語の意味にほぼ完全に置き換わっているからだ(spunkのこの意味が初めてオックスフォード英語辞典に載ったのは1890年)。
なぜそんな名前に……忘れようにも強烈すぎるブランド名
看板にはサングラスをかけて、ドヤ顔できめてるモデルの横に「SPUNK(精液)」と書いてある。
誇らしげなブランド名を見て、このイギリス人記者は思わず吹き出してしまったという。
言葉を間違えるにしても、下品なシモネタや性的な意味になってしまうと、ブランドイメージとしては致命的ダメージとなる。
2020年には日本マクドナルドの商品を見て、英語ネイティブが大爆笑した。
そして2021年の大誤訳がこれ。
What the hell is going on here…. pic.twitter.com/w3TOG7GfR8
— Kansai & Beyond (🎮SWTOR) (@virtualslowking) May 4, 2021
「suck」は基本的には「吸う、しゃぶる」といった意味で、口語表現だと「ヒドイ、最悪」という意味になる。
だから「This game sucks!」だと「このゲームは最悪だ!(クソゲーだ!)」になる。
さらに俗語にはとても卑猥な、ここでは書けないようなお下劣な意味があるのだ。
「吸う」という行為を性的な意味で考えてほしい。
それでも思いつかなかったら、ここでは書けないから辞書を見てみよう。
つまり「SELF – SUCKING CORNER」だと、自分でそのワイセツ行為をするコーナーになってしまう。
ちなみにこの店は関東で展開している、「プロも納得の品ぞろえで、「こだわりをカタチに」をお約束いたします」という大型ホームセンターのジョイフル本田だ。
ネイティブスピーカーとしては、こんな英文を見せられたら「What the hell is going on here」(いったいここで何が起こっているんだ?)とか突っ込まずにはいられない。
これはネットの反応。
・Really?
・Omg, that’s embarrassing 🙈
(オーマイガー、あれは恥ずかしい)
・How in the hell do you suck yourself? You must be super flexible to do that.
(いったいどうやったら自分のを吸えるんだ?体がめちゃくちゃ柔らかくないと無理だ)
・Only few have that talent.
(そんな才能を持ってる人はほとんどいないだろうね)
・What a thoughtful country.
(なんて思いやりのある国なんだろう)
・But why do they write the same in katakana too?
(でもなんで、カタカナで同じことが書いてあるんだ?)
ここは買った商品を袋に入れる台(コーナー)で、店側は「ご自身で袋に入れてください」と言いたかったらしい。
「sack」には「~を買い物袋に入れる」という意味があるから、それを使おうとしたら、なぜか「suck」という最悪のミスをしてしまったようだ。
でもそもそも「self sacking」という英語も間違いだし、オマケに「セルフサッキンコーナー」というカタカナも意味不明。
ボクは一瞬、「殺菌」と思ってしまった。
これは外国人にも日本人にも分からないという、英誤訳の中でもかなりひどいミス、 まさに「sucks!」だ。
こちらの記事もいかがですか?
日本と外国(イギリス&アメリカ)の台風の話。語源や名前など。
> でもそもそも「self sacking」という英語も間違いだし
あのー、sack は「袋」という意味であり、俗語では特に、避妊具として用いる薄いゴム製の袋のことを指すと思います。したがって、self sacking と言うと、「自分でコ◯ドームを装着すること」という意味になるのでは?
クリームパイは日本で言うところの尺八的変化(見た目がにてる)なのでわかるけど勇敢が精液に代わる過程が知りたい
あのー、NETで調べてみたところ、Spunk の意味は「 (点火用の)つけ木、勇気、気力、精液」だそうです。たとえば spirits が「魂、霊魂」の意味の他にも「蒸留酒」つまり「口から火が出そうな強い酒」を意味するのと同じように、「勇気や勇敢さをもたらす燃料でありエキスである」という連想から、そのような意味が加わったのでは?
以上、本日の英俗語講座でした。知らんけど。
なるほど。
ありがとうございます。
わたしも「男尊女卑」的な観点からそんな意味になったのかなと思いました。
そう言えば、ブログ主さんの「英誤」という単語も、なかなかいい得て妙ですね。
ありがとうございます。笑