高台寺のアンドロイド観音と、ロボット・サイボーグの違い

 

高台寺は京都・清水寺のすぐ近くにある。
日本庭園が有名なこのお寺に韓国人を連れて行ったところ、「ここは本当にキレイですね!お寺の中を歩けるのもいいです」と絶賛しまくり。

でも実はここは豊臣秀吉の妻・北政所(ねね)が秀吉の冥福を祈るために建てられた寺だと知ったら、韓国人としては素直に美を鑑賞できなかったかも。
仏教寺院だけに知らぬが仏。

 

 

アトムやドラえもんの母国である日本では、ロボットや機械に親しみを感じる人は多いといわれる。
だからペッパー君を生み出した日本が仏教の教えを説く、人型ロボットの「アンドロイド観音」をつくり出すことはもはや必然だった。

それにしても歴史に由緒、それに全国的な知名度のある高台寺がまさか「アンドロイド観音」を公開するとは!
この「マインダー」は般若心経のや人間について、分かりやすく説明してくれるらしい。

 

 

「仏教と接点のない人にも興味を持ってもらいたい」、「多くの人に来てもらって、仏教について考える機会になれば」という高台寺の願いに対して、ネットの反応はわりと冷たかった。

・ねね「勝手な事するなボケ」
・ロボットに説教されるのか
・ペッパーの般若心経で送られたくはないなあ
もう実用化されてるんだよね?
・それなら葬式のお経はCDで良くない?
・お布施は電子マネーでポイント還元

しかし、アンドロイド観音というパワーワードが持つ破壊力はかなりのもの。

 

さてことし2021年は、「ロボット」という言葉が生まれてからちょうど100年になる。
この言葉はチェコ語とスロバキア語の造語で、「強制労働者」というネガティブなニュアンスがある。ということは、まえにこの記事で書きますた。

【ロボット100周年】便利で危険なヤツラの活用法・問題点

いまはホテルで昼は客の応対、夜は警備員の仕事をする人工知能(AI)ロボットの導入が進んでいるから、アンドロイド観音も夜間は警備ロボになるったりして。
うす暗いところで、アレがひたすら読経してたら誰でもビビる。

 

ネットのコメントを見ると、このアンドロイド観音を「ロボット」と表現する人がたくさんいた。
それは間違いとは言えないけれど、やっぱりこの場合は「アンドロイド」が正解。
ロボット・アンドロイドに、サイボーグを加えるともはやカオスという人が続出すると思うので、この3つの違いを簡単に説明しよう。
ただこの3つには重なる部分もあるから、これはあくまで目安と思ってほしい。

・ロボットは人間に代わって労働をする機械。
言ってみれば奴隷の代用品で、人の形をしているかどうかは関係ない。だからガンダムやドラえもん、ペッパー君にルンバはロボットだ。
ただ現代では意味が拡大して、労働を目的としない「ペットロボット」もあり。

・アンドロイドは「andro(人、男)」と「ido(のようなもの)」でこれは人造人間のこと。
人間の仕事をする点ではロボットと同じ役割を持っているが、アンドロイドは人型ロボットで人間の姿に近い。さっきの観音は首から下は機械でも上の部分は人とそっくりだから、これはアンドロイドになる。

・サイボーグはサイバネティック・オーガニズム(人工的な生命体)の略で、人や動物などの生き物と機械の融合を指す。
だからペースメーカーなどの人工臓器や、義手・義足などの人工物のある人間は「サイボーグ」になる。
これは「改造人間」のことだから、人権に配慮してこの言葉を使わないといけない。
ロボットとアンドロイドに人権なんてない。
仮面ライダー、サイボーグ009、ロボコップがこれになる。

 

アンドロイド(人型ロボット)

 

サイボーグ(のコスプレ)
画像はBruno Girin 

 

 

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1 個のコメント

  • この中で一番難しい用語は、「サイボーグ」でしょうね。ただ、日本では「サイボーグ009」の影響が大きかったことから、もっぱら「人工的に改造強化された人間」という、世界でも珍しくほぼ正確な意味で使われています。たとえば、ハリウッド映画の「ロボコップ」なんかは、人間を(その大部分を)改造して作られているので、ロボットでもアンドロイドでもなくて、サイボーグに最も近いと言えます。「仮面ライダー」も改造人間ですから、サイボーグでしょう。

    ですが、そのような「サイボーグ」の定義は、必ずしも全世界に完全共通じゃありません。
    その語源である「サイバネティック・オーガニズム」をそのまま日本語に翻訳すると「人工頭脳・制御系を備えた有機生命体」です。つまり、単なる「強化人間」よりはもう少し意味が広いのです。
    やはりハリウッド映画の「ターミネーター1(T2の前の作品)」では、シュワルツネッガー演じるT-800ターミネーターのことを、「サイボーグだ!」と未来人が言うシーンがあります。ターミネーターは強化人間ではないのに? でも、これも必ずしも間違いじゃないんです。
    なぜなら、ターミネーターの中身は完全に人工的な頭脳・骨格であり、それに有機系の人工皮膚を被せたものであることが映画の中で示されています。つまり、外面だけは有機体であり、中身は完全人工物です。これを一種の「人工生命体」とみなす(T2で主人公の男の子がそう考えたように)のであれば、「人工頭脳・制御系を備えた有機生命体」すなわち「サイボーグ」であると、言えないこともないのです。

    生命体であるのかないのか? 自分で考えて行動しているのかいないのか? 我々は実はコンピューター(を使う存在)に操られているのではないか? 現代社会では、そのような区別が次第に曖昧になりつつあるように思えます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。