東京五輪の”真実”:日本のネガティブ報道・外国人選手の高評価

 

コロナのせいで1年延期し、開催するかしないかでもめにもめ、直前になってキーパーソンが次々消えていくミステリアスな事態をも乗りこえて、ようやくきょう2021年7月23日、東京オリンピックの開会式が行われる。
さっきニュースで小池都知事がここまでの道のりを、ビートルズの名曲になぞらえて、
「The Long And Winding Road(長く曲がりくねった道)」と表現してた。

これから始まる熱戦を、全世界に伝えるのがメインプレスセンター(MPC)。
そこでは飲食物の”異常な値段設定”に、海外メディアの外国人が驚いていると東スポの記者が伝える。(7/22)

MPC内の自動販売機およびレストランでは500ミリリットルのコカ・コーラがなんと280円! この強気の値段設定には「最高位のスポンサーなのに…」「これがリアルなぼったくり」との声が飛び交う。

【東京五輪】海外メディアに大不評! コカ・コーラ1本280円に「リアルぼったくり」の声

 

この「ぼったくり」という言葉には、大正時代の主婦の“怨念”が込められている。ということは前回の記事を参照あれ。

ドイツ人・中国人が日本での「ぼったくり」に恐怖と怒り

 

フランス人記者がMPC内で食べた、1600円のハンバーガーはなかなか衝撃的。

 

でもこの投稿には、フランスのホテルかレストランではサンドウィッチ2つと缶ビール1本で約1300円したというリプライがあったし、別の記事で、「こういう場所でこれぐらいは普通。この記者はあまり取材経験がないのでは?」と指摘するジャーナリストもいたから、これが単純に高いかどうかは謎。

 

では、コーラはどうか。
浜松市内にある自販機のコーラは1本160円で、全国的にもこれぐらいだろうから、MPC内のコーラはその1.75倍になる。
これってそんなに高いか?
「リアルなぼったくり」なんて言う海外メディアの記者なんて、ホントにいたのだろうか。

個人的にこれまで行った海外の有名観光地だと、2倍3倍の強気の値段設定は何度もあったから、これが言うほど高いとは思えない。
それに東スポウェブの記事には、コーラの値段に不満を言ったという外国人記者の具体的な情報が一切ない。

いまネットで見たら、富士山にある自販機のペットボトル飲料の値段は高度に比例して、5合目で200円、6合目で300円、7合目では400円、そして頂上では500円という設定。
そこまでの輸送料を考えたらこれは妥当で、市内のディスカウントショップとの比較は無意味。
今回の場合も、MPC内に自販機を設置する条件は市内の自販機とはいろいろ違うはずだ。

では海外のコーラの販売価格を見てみよう。
「コーラ 500ml 海外 値段」で検索すると東南アジアの国では60円、70円ほど、イスラエルでは300円、オーストラリアで400円、ノルウェーやオスロで600円、スイスでは800円という情報がでてくる。

ネットの反応を見ても、これを「ぼったくり」とする見方に疑問をもつ人が多い。

・観光地価格としては普通だろ
・野球場とかスタ飯ってそんなもんだぞ
・海外メディアの人たちが飲むコーラ代は自腹じゃないよw
会社の経費なんだから値段なんてどうでもいいだろうw
・あと弁当の上げ底、サンドイッチの断面のみ具が厚く見せる技術など
日本が培ってきた高度な技術を思い知るがいい
・なぜこの価格設定なのかまで追って書けよ

そういや日本に来たドイツ人が、母国だと2~300円するレストランのミネラルウォーターが日本では無料になるとよろこんでたな。

実際のところ経費で飲む280円のコーラに、「リアルぼったくり」と文句を言う外国人記者が一体どのぐらいいるのか。そもそも実在するのだろうか。
ここまでの「The Long And Winding Road」では東京五輪のネガティブ報道がいくつもあって(確かにお粗末な騒動は多々あったが)、五輪のあら探しをするような記事をよろこぶ人もいるから、この記事もそのひとつだろう。

 

では、選手の視点で見てみよう。

柔道女子のパナマ代表クリスティン・ヒメネス選手は、選手村にある自動販売機にポジティブな意味で驚いた。

 

 

ほしい飲み物のボタンを押して、カードキーを読み込ませるとそれがでてくる。
こんな簡単な手順で、選手は好きなだけ飲み物を手に入れられるという。
コカ・コーラはこうやってアスリートを支えているのだから、どこかでそのしわ寄せがくるのは当たり前。
「大不評! コーラ1本280円にリアルぼったくり」の記事は、あまりに小さな一部を切り取ったネガティブ報道としか思えぬ。

ヒメネス選手は選手村のジムについても、必要なものがすべてそろっていると100点満点と5つ星をつけた。

 

 

ロシアの選手が選手村の部屋や浴室があまりにせまく、「中世のようだ」「選手が気の毒だ」と批判したという記事を見た人は多いと思う。
でも太田雄貴氏が確認したところ、事実はまったく違って本人はこう話している。

デイリースポーツの記事(2021.07.23)

「選手村は快適で素晴らしい。日本のスタッフの親切さにも感謝していると。書いてることと全然違った」と、本人の真逆の思いも合わせて報告した。

太田雄貴氏 「中世のよう」と批判した?「本人に確認したら全然違った」

 

「到着した時にシャワーのヘッドが故障して困った」と言った部分は事実で、それ以外の発言は記事を書いた人の想像(脚色)というからヒドイ。
1600円のハンバーガーのほうが良心的だ。
外国人に大好評の部分を報じると、何か都合の悪いことでもあるのだろうか。
日本にいるのにアウェーの中、選手村で選手を全力でもてなしている人たちはもっと賞賛されていい。

 

 

 

こちらの記事もどうですか?

訪日外国人は「お通し」をどう思う?ぼったくり・日本の文化・・。

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

 

4 件のコメント

  • テレビや冷蔵庫が無いって記事もあったけど日本語解らないのにテレビ?それならwi‐fi環境よくすればいいだけだし無料で飲み物買えるんなら(スポンサーコカ・コーラで察し)冷蔵庫もいらない
    文句言いたいだけの記事って中身ばれたら恥ずかしくないのか

    でもハンバーガー1600円は・・・近くの店で持ち帰りならOKとかできなかったのかな

  • 三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を野獣視し、米鬼撃滅のごとき、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。」

  • 三浦 淳(新潟大学人文学部)
    「外国では受容者=弟子としてペコペコし、逆に国内では輸入品を振りかざして啓蒙家=教師を気どる——これが明治以来、日本の二流知識人が一貫してとってきた行動様式だった。 同じ知識階級でも一流ならこういう莫迦な真似はしない。 日本の欠点は欠点として指摘し、しかし対外的にも言うべきは言う。 考えてみればそれは当然のことだが、この当り前のことが一番難しいのが日本の二流知識人なのである。」

    反捕鯨の病理学 (第1回)
    http://luna.pos.to/whale/jpn_nemo3.html

  • <<<外国人に大好評…

    三浦 淳(新潟大学人文学部) 「外国では受容者=弟子としてペコペコし、逆に国内では輸入品を振りかざして啓蒙家=教師を気どる——これが明治以来、日本の二流知識人が一貫してとってきた行動様式だった。 同じ知識階級でも一流ならこういう莫迦な真似はしない。 日本の欠点は欠点として指摘し、しかし対外的にも言うべきは言う。 考えてみればそれは当然のことだが、この当り前のことが一番難しいのが日本の二流知識人なのである。」

    反捕鯨の病理学 (第1回)
    http://luna.pos.to/whale/jpn_nemo3.html

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。