【五輪の日本人】国民性の“ルール厳守”に外国人は感心するが…

 

「What’s the best thing about Japan?」

日本に興味のある外国人さんがネット掲示板に、日本について一番良いと思うことをたずねたところ、こんな答えが寄せられた。

Hard to pick 1! Going to go with food 😊
Nature and cleanliness
The people and their respectfullness 🙂
Discipline
Customer services are the Best in the World 👍🇯🇵💐🛍
Train, Cleanliness, Security, Discipline, Environment, Behaviour = Everything ❤️🥰
Politeness and cleanliness

自然や食べ物、サービス精神のほかの清潔さ・しつけ・振る舞い・礼儀正しさには「ルールを守る」という共通点がある。
日本の良いところについては個人的に興味があって、これまでいろんな外国人に質問したことがある。
結果、ごみのポイ捨てをしないから街がキレイ、日本人はどこでも列をつくる、電車の中で大声で話をしないといった礼儀正しい振る舞いをあげる人が多い。
日本では多くの人が社会のきまりを守って行動することを、「the best thing」と評価する外国人は多い。
だがしかし、ものには限度がある。

いま開催されている東京五輪では随所にそんな日本人の国民性があらわれていて、頭の固い対応に日本人がウンザリする場面もある。

 

まずは飲み物の持ち込みだ。
五輪・大会組織委員会はペットボトル飲料の持ち込みを1人1本、750ml以下で認めている。
で茨城県鹿嶋市で小中学生がサッカーを観戦するさい、それだけでは子どもたちの熱中症が不安だからと学校側は、会場に持ち込める飲み物の量を増やしてほしいと要望したけど、組織委はこれを拒否。

その理由はNHKニュースをどうぞ。(07月16日)

テロ対策などの観点からも飲み物の量を変えることはできないと回答があったということで、市は子どもたち全員に保冷剤を配付するなど、熱中症対策を検討しています。

五輪サッカー観戦 子どもの飲料持ち込み量増加の要望断られる

 

市内の子どもを招待したのに、熱中症対策を理由にあげてもきまりの変更は認めない。
教師に引率されてスポーツ観戦している小中学生が、テロを起こしたという前例があったらぜひ知りたい。
ただその後、大会組織委員会は「参加いただく皆さまに、安心安全に観戦いただけるように調整中です」と言っているから、この規則は変わったかもしれない。
さすがにここまでのルール厳守は非現実的で、もはやバカバカしい。

 

そしてこっちは市民の猛批判があって、きまりが変えられた珍しい事例。

NHKニュース(2021年7月19日)

五輪観戦の小学校 “持ち込む飲み物はスポンサーのもの”文書

上と同じ鹿島市である小学校がサッカー観戦する児童に、持ち込む飲み物は大会スポンサーのコカ・コーラ社ものとするよう呼びかけた。
もしそれ以外の企業の飲み物を持ってくる場合は、ラベルをはがすよう求めたという。

大会規則としては、巨額のスポンサー料を出している以上、他社製品の持ち込みを認めないのは当たり前。
たしか長野五輪のときスタジアムの近くで、地元の人たちが名物料理を販売しようとしたら、組織委員会からダメだしをくらった。
まぁこれは仕方ない。
でもそんなスポンサー企業を優先する原則論を、いろいろな家庭事情のある子どもたちに当てはめていいのかどうか。

このルールをそのまま適用した結果、納得いかない保護者が続出。
SNS上には「なぜここまで忖度しなければいけないのか」、「あきれた」といった不満があふれ、市には批判が殺到。
結局、「学校側の誤解があった」ということで、どのメーカーの飲み物でもいいこととなる。
ただNHKの報道では、「スタジアムで大会組織委員会の担当者から、大会スポンサー以外の飲料を持ち込む際はラベルをはがすよう求められ、参加する市内の学校にそう周知した」ということだから、組織委が学校にルール厳守を要求したのは間違いない。

スポンサー企業への配慮のつもりが、コカ・コーラとしてはイメージダウンで完全な巻き込まれ事故。
組織委とは逆神か。
「こちらで配布するので、持ってこなくてかまいません」とコカ・コーラが言えば好感度はきっと爆上がり。コカ・コーラならこんなガチガチじゃなくて、もっと柔軟な対応をしただろう。

これにネット民の反応は?

・ペプシとドクペは下剋上の好機だぞ
・こんなもん客席をカメラでアップにしても判らねえだろ? ちっちぇなあ。
・ラベルくらい剥がしてやりゃ良いじゃん
商業イベントなんて持ち込み制限あるの普通だぞ
・ペプシのTシャツ着ていく漢はおらんのか?
・ボトルカバー配布したらいい

「一度でも例外を認めるとキリがなくなる」と主張して、規則を動かさないことに人生をかけているような人がたまにいる。何のための規則かを見失うと、判断を誤ってしまう。

 

先週、サッカー「日本 vs 南アフリカ」戦が行われたときのこと。
日本が先制したまま試合終了の時間が近づいて、誰がどう見ても逃げ切る時間帯に入ったのに、日本のボールボーイが高速で南アフリカ選手にボールを渡していた。
それを見ると、日本人の”らしさ”に感心するしかない。

日本人の「ルール厳守」は外国人の言う「the best thing about Japan」につながる美点だけど、でも場面に応じた柔軟性は必要だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。