【下手すりゃ絶交】日本人と韓国人の“ユーモア感覚”の違い

 

日本のバラエティー番組で、もうすぐこういうシーンは亡くなりそうだ。
(もう消えてる?)

 

画像はAg0w

 

NHKニュース(2021年8月25日)

“出演者が痛がる様子を笑いにする番組演出” BPOが審議へ

テレビの芸人のイジリは学校や社会でのイジメや差別を助長させている、という議論は前々からあった。
相手を蹴ったりたたいたり、バットなどの道具で引っぱたいて、出演者が痛がる様子で笑いをとるバラエティー番組を「不快に思う」という声もずっと前からあった。
そういう声が大きくなったことでBPO(放送倫理・番組向上機構)が動き出し、バラエティー番組の演出について「青少年に与える影響の重大性を考慮して審議することを決めました」という。
でも、BPOが審議すると明言した時点で、テレビ局側はもうこういう演出を自粛するはず。

ネットを見るとこのニュースに価値観や考え方の変化、昭和の終わりを感じる人が多そうだ。

・人叩いて笑えた時代の終わりや
・デデーン
BPO、アウトー!
・こんなん禁止されたら、テレビ出禁になる芸人ばかりになるじゃん
・ガキ使は笑ってはいけないっていってるからセーフ
・ゴムパッチン、ネズミ取りはアウト
熱湯風呂も同類だからアウト
バラエティー番組の終焉だな
・昨日の水ダウか
・こうやってどんどんテレビがつまらなくなっていくわだな

これからはテレビでは安全運転、過激なことをやりたかったらユーチューブで、という傾向がますます強くなるはず。

 

笑いやユーモアの感覚というと、まえに知人の韓国人が言っていたことを思い出す。
ダウンタウンとかの芸人が大好きで、日本のお笑い番組がきっかけで日本語を学び始めた韓国人(いまは30代の)が、「日本のお笑いは最高です!でも、アレだけはどうしても笑えません」と言う。
それが、「なんでやねん!」とか言って相手の後頭部を手でぶったたくやつ。
韓国では頭をたたく行為はタブー。
だからそういう場面を見ると、韓国人の感覚では「やり過ぎ…」とドン引きするらしい。

文化庁ホームページで大学教授もこう言う。

日本に来た韓国人が嫌がることの一つは頭をたたかれることです。学生同士だと結構冗談で頭たたくんですね。韓国で頭をたたくっていうのは絶対しない。

日本語教育研究協議会 第1分科会

 

大学生が親しみを込めて「おいっ」と頭をたたくのは日本人にはOKでも、韓国人に対しては失礼で侮辱的な行為になる。
韓国では親でも子どもの頭をたたくマネはしない。
だからこの教授は日本人学生に韓国人との付き合い方として、「その辺はちょっと注意点としてあげておきます」と言う。

当然この逆もあって、韓国人のユーモア・センスが日本人には通じないこともある。
あるとき大学で記念写真を撮ることになって、学生らがいすに座っていると、韓国人の男子留学生が日本人の女子学生に近づいてこんなことをした。

「いやあ,こんなブスにはね,こうしなくちゃ」と言いながら,撮影のために用意した国旗を彼女の鼻先に広げて彼女の顔を隠すまねをした。それに対して女子学生は怒っちゃった。

 

「いや、冗談冗談」と言う韓国人学生に対して、まわりの日本人学生も「それは冗談にならない、ひどい」と言って険悪な雰囲気になったという。
韓国ではこれは許容範囲、本当に冗談として通用するらしい。
といっても若い人たちで、親しい間だけのことだろうけど
でも日本人には一切通じないから、この一件で女子学生と韓国人学生との縁は切れた。
日韓のユーモア感覚の違いから、「結構これは後々まで人間関係悪くしてしまいますね」と教授は指摘する。

韓国人の男女の大学生と京都旅行をしたときに、ボクもこれに近い経験をしたことがある。
女の子がレンタルの着物を着てボクが一眼レフカメラでその写真を撮ったあと、一緒に夕食を食べているなかでこの話が出てきて、「君も写真がほしい?」と男子学生に聞くと、「いりませんよ!こんなブスの写真なんてほしいワケないじゃないですか!」と言う。
「それは言い過ぎでは…」と思ったけど、彼らの中でこれはOKで、女の子はその学生を笑顔でたたいて終わり。
「親しき中にも礼儀あり」の日本では、女の子に面と向かって「こんなブス」はユーモアでは済まされない。

笑いや親しみの感覚なんて文化によって違うから、このへんは相手の価値観やマナーを知らないうちは「安全運転」がいい。でないと、一瞬で絶交することもある。

 

 

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2 件のコメント

  • いまどきの若い人達って、そんなに平気で親しい人の頭を叩くんですか? 昔はそんなことなかったけどなぁ。どちらかというと、外国人に比べて日本人は「人前での身体的接触を極度に嫌う」傾向だったと思います(それも数十年前の話ですが)。親しい相手の後頭部を気軽に叩くとしたら、おそらく、少し前に流行った「欧米か!」という漫才コンビの真似じゃないですかね。
    あの手の笑いだけでなく、「言葉で他人をいじる」タイプのお笑い芸なんかも、日本人以外には理解が難しいでしょうね。外国だったら、「ボケ・突込み」どころか、おそらく本当に喧嘩のネタになってしまうとしか思えない。だけど日本の漫才で喧嘩にならないのは、「何を言っても言葉の裏の意味まで完全に相手(および観客)に伝わり、両者の立場が完全に平等」という外国では非常に難しい社会的前提条件が成立しているからこそです。いわば一種の「八百長試合」みたいなものです。
    だから海外には「掛け合い漫才」なんて芸はほとんど存在しないのですよ。コメディアンという職業は、普通、一人でギャグを演じるもの。また、日本の漫才コンビでも、2人の考え方にズレが生じると解散になったりしますよね。

    しかし、その日本人女子学生を「馬鹿にした」韓国人は、よく「険悪な雰囲気になりその後は疎遠に」程度のことで済みましたね。もしも若い頃の私だったら、自分の知人の女の子がそんな目に会わされたとしたら、カッとなって、下手すると暴力に訴えていたかもしれません。
    自分を抑えられる自信がないです。

  • わたしは昭和生まれですが、頭をたたくことはありましたね。
    地域や個人によって差異はあると思いますが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。