アフガニスタンの首都カブールで、米軍兵士13人を含むアフガン市民ら約200人が殺害されるテロがあったのはきっとご存じのとおり。
自国の兵士を殺されて、アメリカ政府が「きわめて遺憾」なんて寝言を言うわけない。
「絶対許さない」「追い詰め代償払わせる」と激怒したバイデン大統領はさっそく有言実行、テロに関与した人物2人を殺害した。
テロ犯が報いを受けるのは仕方ないとして、注目すべきはそのやり方だ。
米メディア・ウォールストリートジャーナル紙の記事(2021年8月30日)
米軍、IS勢力への攻撃に「忍者爆弾」使用か
アメリカは無人機の軍用ドローンを使い、それから爆薬を搭載しない特殊な「ヘルファイア」ミサイルを発射し敵を始末した。
通常の「ヘルファイア」ミサイルには弾薬があるから着弾すると爆発して、半径数メートル、数十メートルにいる関係ない人まで死ぬこともある。
でも弾薬のないこのミサイルは爆発することもなく、ミサイルにある6枚のブレード(刃)によってターゲットを切り刻んで殺害する。
これなら標的をピンポイントで攻撃し、民間人の犠牲を極力減らすことが可能だ。
通常の弾薬付き「ヘルファイア」ミサイルなら、爆発を起こして戦車をも破壊することができる。対してこの特殊な「ヘルファイア」は人を対象とした暗殺用のミサイルだ。
爆発なしで刃で静かにターゲットの命を奪うこのミサイルは、アメリカ人のイメージするニンジャにピッタリ。
ということで「‘ninja’ bomb(忍者爆弾)」と呼ばれているという。
下にその動画があるんだが、かなりエグい兵器で忍者への風評被害が心配になるレベル。
ネットでもそんな人は多い。
・えげつないでござる
・さすがニンジャ汚ない!
・アメリカ人は忍者をなんだと思ってるのか・・・
・日本人が思ってるよりも神風と忍者は知名度ある
・米軍には忍者の登録商標代1発につき50万円払って頂きやしょう
・NINJYAやべーな
・「忍者って残酷な人たちなんですね」
・ブレードランナーにしたほうがカッコ良くね
知人のアメリカ人の話では、アメリカで一番有名な日本のアイコンは「忍者」だ。
サクラやキモノを知らないアメリカ人はいても、ニンジャを知らない人は考えられないと言う。
忍者がアメリカで絶大な知名度を獲得したのは、何と言ってもアニメ『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』(Teenage Mutant Ninja Turtles)の影響がデカい。
日本では『忍者タートルズ』なんて言われる。
ニューヨークの下水道の中に住んでいる4匹の忍者タートルズは、犯罪者やエイリアンと戦うヒーローだという物語で、キャラはのろまなカメと素早く動く忍者のミスマッチが絶妙。
このアニメ番組が爆発的なヒットを記録して、これとともに「ニンジャ」も全米で有名になった。
*さっきネットで偶然、「Americans only know [Naruto] and [Ninja Turtles] 😆🙈」という外国人の書き込みを見た。
出典:Mirage Covers
そのアメリカ人とイギリス人と一緒にご飯を食べていたとき、このアニメが話題になる。
『忍者タートルズ』を見たことあって、内容も知っていたイギリス人が本家のアメリカと違うところがあると言う。
それはタイトルだ。
アメリカの『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』とは違い、イギリスでは『Teenage Mutant Hero Turtles』になっていた。
なんでニンジャがヒーローになったのか?
これはアメリカ人も初耳で、さっぱり理由がわからない。
ネタバレすると、イギリスで「ニンジャ」には暴力的で残酷なイメージがあるから、子供が見るアニメ番組のタイトルにふさわしくないと判断されて、ヒーローに変えられたという。
英語版ウィキペディアにも英BBC(日本でいうNHK)が、忍者という言葉は子供のテレビ番組には過度に暴力的な意味があると判断したことで「ヒーロー」へ変えられたとある。
the name was changed to “Teenage Mutant Hero Turtles” (or TMHT, for short) because the BBC deemed the word ninja to have excessively violent connotations for a children’s program.Consequently, everything related to the Turtles (comic books, video games, toys, etc.) was renamed before being released in the UK as well as various other European countries.
それで『忍者タートルズ』の漫画、ビデオゲーム、おもちゃなどすべてが、イギリスやヨーロッパ各国で発売される前に「ヒーロー」に変更された。
そんな話を聞いたアメリカ人は、ニンジャという言葉が子供に悪影響を与えるなんてことは考えられない、それがNGワードになるイギリス基準は理解できないと言う。
忍者に対するイギリスのネガティブなイメージは、1970~80年代のハリウッドの影響を受けたと思われ。
ハリウッドが描く忍者は反社会的で残酷な殺し屋であり、映画の舞台は現代の欧米で主人公は白人であり、日本の忍者とは異なるものだった。
でもこのときのイギリス人が言うには、それはひと昔前の話で、いまは忍者に対するイメージはきっとアメリカ人と変わらない。
なのに「‘ninja’ bomb」なんてエグイ武器が世界的に有名になっちゃうと、また忍者に残酷とか暴力的とかいう風評被害が生まれそう。
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