外国人からみた日本「治安は良いけど、安全じゃない」

 

「日本はIT化が遅れている」、「排他的な社会だ」なんて外国人に批判されたら反発する日本人は多いだろうけど、「平和ボケ」と指摘されたらどうか?
これには反論することができず、「ぐうの音も出ない」という状態になるのでは。
海外に比べて、それほど日本は安全だというほめ言葉の裏返しだから。

浜松市に住んでいたアメリカ人女性に日本の生活の良いところを聞くと、

「ニューヨークでは夜に一人で街を歩くとき、ワンブロックごとに後ろをふり返って、誰かアヤシイ人がいないか確認していた。でも、日本ではそんな心配がないがないからステキ」

と言う。
治安の良さは特に女性にとって重要だ。

ときどきネットにある「世界の安全な国ランキング」を見ると、日本はたいてい上位にランクされているけど、ある要素で足を引っ張っられていることが多い。
それは自然災害。
地震・津波・洪水などの災害が日本ではよく発生して多くの死傷者も出るから、これが「安全ランキング」ではかなりのマイナスになる。

そんな日本ではきょう9月1日は「防災の日」だ。
1923年のこの日、関東大震災が発生して東京は壊滅状態になり、10万人以上の死者・行方不明者を出す。
被害金額を考えれば、空前絶後と言っていい大災害。
5千人以上の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風の翌年1960年に、9月1日を「防災の日」にすることが閣議決定された。
日本では国民が台風や地震などについての認識を深めて、災害への対応を改めて確認する日が年に一度は必要だ。

ちなみにさっきのアメリカ人は学校で防災訓練をしたことがない。
代わりに(になるかしらんけど)、テロ事件発生を想定した訓練なら中学校でしていたという。

 

関東大震災のときの浅草のようす

 

「日本はとても治安が良い」と同時に、「でも安全とは言えない。」という外国人の声はよく聞く。
横浜に住んでいたアメリカ人は市内のカフェで、テーブルの上にノートパソコンを出しっぱなしにしたまま、トイレに行く日本人を見て驚いた。
インド人とケンタッキーに行ったとき、バッグで席をキープしているのを見て、彼は「無人のテーブル」の意味が分からなかった。
インドだったらこれで盗まれても誰も同情しないし、全員一致で「おまえが悪い」とあきれられるという。

話を横浜のアメリカ人に話を戻そう。
彼がアパートで寝てると部屋がとつぜん揺れて、「地震だっ」と着の身着のまま素足で外へ飛び出したら、辺りには誰もいなかった。
アニメなら「ワオーン」という遠吠えが聞こえるところ。
翌日、職場の日本人に聞いたら、「爆睡してて気づかなかった」「おまえも早く慣れろ」と言われてあ然とした。

日本語学校に通っていたタイ人やインドネシア人からはこんな話を聞いた。
授業中に地震が起きて、教室が揺れてみんな恐怖で顔が真っ青になったのに、先生は「震度は2か3ですね。これならたぶん大丈夫です。」と言って、揺れがおさまると「では始めますよー」と平然と授業を続けた。
放課後、生徒の外国人らは「あれは信じられない!」「だよねー」と話していた。

でも日本では盗難や強盗などの犯罪は本当に少ないし、身近に感じないから、治安の良さはどの外国人も「素晴らしい」「世界トップレベル」と絶賛する。
こんなふうに日本について、治安は良いけど安全じゃないという見方を持つ外国人はよくいると思う。

 

おまけ

アメリカではカリフォルニア州で、日本の防災訓練をモデルにしたという「シェイクアウト」という防災訓練があって、いまでは”逆輸入”され日本に導入しようとする動きもある。

 

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。