【朝鮮神宮】いまは韓国で“屈辱の象徴”。でも檀君だったら…

 

韓国旅行に行ったときのこと。
ソウルでお世話になった日本語ガイド(50代・性別はオッサン)に、「あした南山タワー(いまのNソウルタワー)に行こうと思ってます。どんな行き方がいいですか?」ときいてみた。
高さ243mの南山に236.7mのタワーがあるから、そこに上れば約500mの高さからソウルの街並みを一望することができる。

するとガイドが「明洞からゆっくり歩いて行くのがオススメです。あそこからの夜景は本当にキレイですよ」と言ったあと、「あそこには昔、何があったか知ってますか?」と逆に質問をした。

いやしらんけど。あの山になんかあったっけ?
ボクが首をひねると、ガイドは「日本の植民地時代、あそこには『朝鮮神宮』があったんです。日本が韓国人に参拝を強制させたところなんです」という話をしやがりました。
日韓の「ゆずれない戦い」への導火線になる、こういうセンシティブな歴史の話をよく客に向かって平気でするな、と内心で驚いた。
でも特に悪意はないようで、日本人が南山タワーからソウルの景色を楽しむことはまったくいいのだけど、韓国人としてはヒトコト言わせてほしい気持ちがあったらしい。

 

 

いまからおよそ100年前、1925(大正14)年のきょう10月15日、「京城」と呼ばれていたソウルで朝鮮神宮が創建された。(上の写真)
それ以来、「皇民化政策」のひとつとして朝鮮総督府は朝鮮人に神社の参拝を奨励する。
それがいまの韓国社会では「強制」、「民族性の抹殺」と忌み嫌われているのはガイドの話からも分かる。

ソウル市内を見下ろすようなところに、天皇家の先祖神である天照大神(アマテラス)を祀る神社があったのだから、当時の朝鮮人としては気持ちがよかったはずない。
朝鮮神宮はいまの韓国社会で「植民地時代の屈辱のシンボル」と憎悪されているから、その跡地にはこんな”聖像”が建てられた。

ハンギョレ新聞の記事(2019-08-12)

南山の朝鮮神宮跡に韓・中・フィリピンが手を取り合う「少女像」設置

「慰安婦被害者の苦痛と闘争、勇気を賛える」というこの像は韓国、中国、フィリピンの3人の少女が手を取り合っているという。
それはいいんだが(いやよくないけど)、主張や像の設置を始める前に、まずは当時の慰安婦に中学生ほどの少女がいたという根拠を示してほしい。
根拠がなければ事実じゃないのだから。
根拠不明で、どこに向かっているのかよくわからない像だけど、ここは有名な観光スポットだから、これを見た外国人から世界へ誤解が広がっていくのだろう。

朝鮮神宮があったこの場所についてソウル市は、

「辛い歴史を記憶した場所であり、市民が多く訪れる日常的空間なので、そこに銅像を設置することにした」

と説明し、像を建てた側は、

「ソウルの記念碑は、サンフランシスコの記念碑とともに人身売買と性暴力の根絶を呼び覚ます象徴物であり、後世代の人権意識を向上させ歴史の教訓を再確認することに貢献するだろう」

と強調するから頭痛はノンストップ。

 

朝鮮神宮

 

歴史の「タラれば定食」を言い出したらキリがないんだが、朝鮮神宮は、いまのような憎悪や屈辱の対象にならずにすんだ可能性があったのだ。

日本政府が朝鮮神宮について「祭神を天照大神・明治天皇とする」と発表すると、宗教界(神社人)からそれに反対する声が上がる。

神道では昔からその土地の神や偉人を祀り、その土地の様式を入れた神社を建ててきた。
天照大神は日本の神社(伊勢神宮)とその系列のものだから、ソウルに建てる朝鮮神宮には朝鮮の偉人を祀って、朝鮮の様式で建物をつくるべき、そしてその神職は朝鮮の名家にまかせるべきだと主張する。

このとき神社人の間では、古代朝鮮を建国したという伝説上の人物・檀君(だんくん)を「朝鮮国魂神」として朝鮮神宮の神にするという案が出た。が、政府はその主張を拒否して、予定通りに天照大神と明治天皇を祭神とする「朝鮮神社」が建てられた。

「もし~だったら、れば」にはキリがないけど、朝鮮人の共通先祖ともいわれる檀君を主神とする神社だったら、いまになって「人身売買と性暴力の根絶を呼び覚ます象徴物」なんてモノが設置されることはなかったと思う。
ガイドにチクリと言われることも。

 

 

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3 件のコメント

  • 慶北 浦項に “日本人街”という所があります。
    日帝時代の家屋と通りが比較的良く保存されている場所で、浦項市で観光地として造成したところです。
    そこに行ってとても複雑な心情に陥りました。和風の家屋や街を観光地にすることで税収を上げることまでは良かったのですが、本来の姿に傷をつけ、韓国民族のプライドをかぶせる作業に取り組むことで、日本でもないし、韓国でもないゴミの場所を作ってしまいました。碑石に書かれた日本の文字をセメントで塗ってしまい、とんでもない韓国の忠魂閣という建物を横にした姿は、現在の韓国人の心情を物語っています。
    ソウルの旧朝鮮総督府の建物を解体してしまった韓国人です。朝鮮総督府の建物は韓国人にとって日本による植民地時代の屈辱を象徴することもできますが、大韓民国建国の歴史を共に歩んでいく場所でもあります。
    日本の建物が取り壊されたところで歴史が消えるわけではありません。
    過去の屈辱を克服し、健全で新しい時代を切り開くためには、歴史をありのままに見て、二度とそのような歴史を繰り返さないために自分にむち打たなければなりません。
    https://blog.naver.com/blackmore62/221903762779

  • 檀君を祀ったとしても、独立門と同じように、意味を忘れて日本製?ということで、結局同じ結果になったような気がしますけどね^^;

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。