秋の味覚といえば栗やカボチャが有名で、いまレストランに行けばこれを使った特別メニューを楽しめる。
でも、洋梨の「おフランス」ではなくてラ・フランスの旬もこの季節だ。
日本でいえば幕末の1865年ごろ、フランス人のクロード・ブランシェ (Claude Blanchet) がこの品種を発見し、日本へは明治時代にやってきた。
*ほかの洋ナシの品種は以前からヨーロッパで栽培されていた。
「ラ・フランス」は日本独自のネーミングで、母国フランスでこの洋ナシは発見者にちなんで「Claude Blanchet」で呼ばれている。
いや、「いた」と言った方が正解かも。
というのは、お菓子やジュースにも使われていて、日本ではわりとポピュラーなこの果物は、実はフランスからはすでに消えてもう栽培されていないから。
ウェザーニュースの記事(2021年10月25日)
他の洋梨に比べて実を付ける期間が1か月ほど長いうえに、病気にかかりやすく栽培に手間がかかるため、1900年代初頭にはフランスでは絶滅してしまいました。
栽培は世界中で日本だけ ラ・フランスの意外な事実
本家フランスでは“用なし”となったラ・フランス、これを栽培するのはいまや世界で日本のみ。
となると「ル・ジャポン」と改名していいかも。
*フランスは女性名詞の国だから「la France」、日本は男性名詞の国だから「le Japon」。
国内では(=世界で)約8割が山形県で栽培されているというから、「ラ・ヤマガータ」と呼んでもいいけど、イメージが変わるからこれは危険な冒険だ。
このニュースにネット民の声は?
・日本人の果物にかける情熱って凄いよね。海外旅行いっても日本で作れる果物は日本の方が美味しいし。
・福建省にはもはや存在しないペナン島の福建麺みたいなもんか
・海外フルーツは質より安さだからな
・日本の梨はNashi pearらしいよ
・A pair of pears
・味が濃厚で皮が薄いからそのまま食べられるのがいい
ラ・フランスが日本で生き残ったのは“偶然”だ。
この栽培を始めたころ、実った果実を食べても石のように硬くてまずいから、「こんなもん食えるか!」と捨てられてしまった。
でも、「時間が経って黄ばんで香りがしてきた。拾って食べるとおいしく、収穫後に熟させることに初めて気づいた」という記録があると、山形県農林水産部のホームページで紹介されている。
だから、このとき拾って食べなかったら、地球上から絶滅していたかもしれなかったのだ。
山形にラ・フランスがあれば、新潟には別の洋ナシの品種「ル レクチエ」がある。
これもフランス原産で明治時代にやってきたけど、本国ではラ・フランス同様いまでは栽培されていないらしい。
<<<ラ・フランス、栽培は世界で日本だけ。フランスでは絶滅の衝撃事実
日本文化を研究することは、"かつて海外が持っていた心と物"を発見するのと同じかも。
そうですね。
母国ではなくなった文化が日本に残っていて、驚く中国人がたまにいます。