エヴァでドイツ人が好きなシーン/日本でドイツの印象は?

 

きのう11月7日は第一次世界大戦で行われた戦闘のひとつ、「青島の戦い」が終わった日。
1914(大正3)年10月31日、ドイツが支配していた中国の青島(チンタオ)に日本・イギリス連合軍が攻撃を開始し、一週間後にはドイツ軍守備隊を降伏させてしまった。
作戦を指揮した神尾 光臣(かみお みつおみ)中将は、「圧倒的じゃないか、我が軍は」とニヤリとしたかもネ。

このとき青島でお菓子職人をしていたドイツ人のユーハイムが日本軍に捕まる。
そのあと日本へ連行された彼が、ドイツの伝統的な菓子・バウムクーヘンを日本人に初めて紹介し、絶賛されることをこのときはまだ誰も知らなかった。
くわしいことはこの記事を。

【バウムクーヘンの日】ドイツ人ユーハイムと日本の関係

 

日本人がよく使うドイツ語といえばアレルギー、イデオロギー、エネルギーなど「ギー系」の言葉があるけど、やっぱりアルバイトとバウムクーヘンの2つがぶっちぎりの気がする。

まえに日本のアニメが好きなドイツ人と話をしていたら、彼が「『新世紀エヴァンゲリオン』で、すっごくおもしろかった場面がある!」と言い出す。
それはシンジがアスカと一緒に、ドイツ語によって起動するエヴァ弐号機に乗り込んだときのこと。
頭の中で日本語を思い浮かべるシンジに、「ドイツ語で考えなさいよ!」とアスカが怒り、「バ・・・バームクーヘン?」とシンジが答えたらアスカがブチギレた。
『ドラえもん』に「バームクーヘンマン」が登場したことがあるけど、そんなキャラを知ってる日本人なんて、サードインパクト後に生き残る人類より少ないはずだ。
日本のアニメで、バウムクーヘンについて一番有名な場面は『エヴァ』のこのシーン以外出てこない。

知人のドイツ人はこの場面で爆笑して、「日本人に『知ってるドイツ語を言って』といえば、やっぱりこのお菓子が出てくるんだなーって思った」という。
ちなみにアスカが母親とドイツ語で話すシーンは、ネイティブの彼からするとたどたどしくて、セリフを棒読みしているように聞こえて生の会話とは思えなかった。
アニメの完成度が高いぶんその場面で興ざめしたから、「ぜんぶ日本語で話してほしかった」とのこと。
「でもなんでエヴァ弐号機は英語でもフランス語でもなくて、ドイツ語で起動するという設定だったのか?」という彼の質問には誰がしるかと。

 

 

日本のアニメでは言葉やキャラクター、舞台などでドイツがちょくちょく出てくる。
ドイツ人の彼にはそれが面白いし嬉しいとも思うけど、どうしてそういう設定になったかの「基準」を知りたいという。
これには、日本人のドイツに対するイメージが表れているはずだけど、アニメを見れば見るほど、「ドイツの使われ方」の共通性がよく分からなくなる。

「考えるな、感じろ」と言いたいところなんだが、個人的には第一次・第二次世界大戦のドイツ軍のイメージが強くあると思う。
普仏戦争(1870年~1871年)でドイツがフランスに勝利してから、旧日本陸軍はプロイセン(ドイツ)陸軍から学ぶようになり、メッケル参謀少佐を陸軍大学の教授に招き、その助言を受けて大山巌らが陸軍の改革を進めた。
この影響から、「ドイツ=戦争、軍隊」というイメージが日本人に定着したのだろう。
『幼女戦記』なんて「青島の戦い」が行われたころのヨーロッパ、第一次世界大戦でのドイツ帝国とフランス共和国との戦いが元ネタになっているはずだ。

ところで今日11月8日は、1895年のこの日にドイツの物理学者・レントゲンがX線を発見したことから「レントゲンの日」になっている。
たしかにドイツ人は日本にバウムクーヘンを伝えたくれた。
でも、日本でスイーツといえばフランスやイタリアで、ドイツに対しては高い技術力があり、優れた自動車や航空機をつくり出す国という印象があると思う。

『エヴァブラウン』でドイツ語が選ばれた理由にも、プロイセン軍や技術力といったドイツへのイメージが根底にあったのでは。

 

これを見たら、第一次世界大戦での塹壕戦を思い出すしかない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。