「真夜中以上に、夜が更(ふ)けることはない」
こんなことわざがミャンマーにあるらしい。
真夜中は最も暗いから「これ以上暗く(悪く)なることはない」という意味になる。
日本にも「夜明け前が一番暗い」という言葉があって、最も苦しいのはそれが終わる直前(=それを乗り越えれば好転する)という意味。
で話は2018年に、韓国最高裁が元徴用工裁判で日本企業に賠償を命じてから、ずっと真夜中が続いている日韓関係だ。
さらにこのあと、韓国の裁判所は慰安婦訴訟でも日本政府に賠償を命じて、真夜中がさらく暗くなってしまった。
早くこんな暗黒状態を終わりにさせて、晴れ晴れする気持ちになりたいのは日韓のどちらも同じ。
でもこれは、韓国側が1965年の日韓請求権協定や、2015年の慰安婦合意をひっくり返したことが原因だから、まずは韓国政府がこの状態を是正する解決案を提示する必要がある。
にもかかわらず、文政権にはその意思がないようだ。
自分たちの責任を棚に上げて、日本との話し合い、つまり日本が韓国に譲ることでこの問題の解決を図ろうとする。
だがしかし、日本はそれを一切認めない。
日本が納得できる解決策を提示するまで、韓国側とは話もしないし会わない方針だから、ここ最近は「日韓関係」と書いて「へいこうせん」とか「ぜったいぜつめい」と読む状態が続いている。
このこう着状態を打破する立場にいるのが両国の外務大臣で、今月初めにイギリスで行われた会議で、接点を持って言葉を交わすことができた。
でもその結果は、「ですよねー」ってなもの。
チョン・ウィヨン外相は慰安婦・元徴用工問題について、「対話を通じて解決していかなければならない」と韓国政府の立場を伝える。
対して林外相は韓国側に「適切な対応」を強く求めた。つまり、早く解決案を出すよう要求した。
いまの日韓は互いの立場を言い合うだけで、「話し合いでは話にならない」という不毛状態がここ数年、ずっと続いている。
今回のイギリスでも、また一つそれを繰り返して終わり。
これまでの過程から、韓国側がお土産ナシで会おうとしたら、こうなることは誰だってわかる。
ただ、適切な対応を強く求めた日本に「友好的な雰囲気」を感じるとか、そのポジティブ・マインドは相変わらずさすが。
ハンギョレ新聞の記事によると、韓国外交部(外務省)はチョン外相が夕食会で林外相と「自然な形で会い、友好的な雰囲気の中であいさつを交わし、歓談した」という。 (12/13)
韓日外相、G7外相会合機に「短時間の立ち話」…隔たりを再確認
でも日本での報道だと、例えば時事通信は「韓国側から声を掛けてきた」となっている。(12/12)
元徴用工、慰安婦で平行線 日韓外相が初対面
「健全な関係に戻す」というゴールは同じなのに、日韓が会って話をしても平行線をたどって、歩み寄りは不可能ですねと確認して終わり。
今回の報道ではこの立ち話がどう実現したかでさえ、日韓では見方がまるで違う。
つまり、両国が会っても合うことはないのだ。
韓国政府は日本に対して「上か下か」の立ち位置をすごく気するから、「韓国側から声を掛けてきた」ということが、まるで「負け」になるようで受け入れられない。
それでマッチングアプリみたいなことを言う。
こんなちょっとした表現でさえも韓国は上下優劣にこだわり、常に「上・優」の立場をキープしようとするから、気づけば両国関係はこの3年間、ずっと氷河期だ。
でも、知人の韓国人は「韓国人はメンツを失うと死んでしまいます」と言う。
だから文政権にとってこれは譲れないし、「日本に解決案を出さないといけない」という構図も認められない。
半年前にイギリスで主要7カ国首脳会議が開かれたときも、こんな認識のズレがあってもめた。
中央日報(2021.06.17)
会談不発に関連して韓国政府は「日本が一方的にキャンセルした」と主張していて、日本は「そのような事実はない」と対抗して真実攻防に広がった状態だ。
日本に手を差し出したが背を向けた…文大統領側近「小児病的」「癖を直さなければ」
韓国から日本と話す機会をつくった(日本に手を差し出した)のに、菅首相は「意図的に避けた」からそれができなかった。
といっても、中身をみるとそれはかなりアヤシイ。
文大統領の「腹心」というユン・ゴンヨン議員が「(韓日首脳)ミーティングをすることにしたのはファクトのようだ」とぼかした言い方をしているから、韓国が何かあいまいなアクションを起こして、一方的に「成立した!」と思い込んだだけらしい。
でも日本にそんな認識はカケラもなかったから、「そのような事実はない」と氷のように言う。
これでプライドを傷つけられた韓国側は怒り心頭、ユン議員は日本に対して、
「日本のやることがふさわしくなく小児病的だとしても、度量が大きく大胆に先に手を差し出したほうが勝つ」
「今回の機会に断固として(不参加を通じて)癖を直し、われわれが緻密に準備をして癖を直しておくのも必要だと考える」
と怒りをぶちまけるの巻。
後で「小児病的」、「(悪い)癖を直す」とか言われるのがイヤだから、林外相は今回、立ち話に応じたのかもしれない。
このユン議員の言葉もうそうだけど、日本との「勝った/負けた」は関係ないし、判断基準を日本より「上か下か」、「先か後か」に設定するのはやめたほうがいい。
そもそも日本は気にしていない。
日韓で真夜中や夜明け前が3年間も続いている原因は、文政権がこの意識にとらわれ過ぎて動きづらくなっている、自縄自縛の状態におちいっていることがあるはずだ。
オマケに書くと、こういうことも日本と比べないで、韓国は韓国のペースで進めればいい。
中央日報(2021.03.16)
バイデン-菅はすでに2度接触…韓米とあまりにも比較される日米密着
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韓国の反日、東南アジアの反ヨーロッパ感情が違う理由(植民地)
韓国の学校歴史教科書は、韓国の歴史を教えるために作られたものではなく、反日感情を助長するために作られたものと言えるほど、韓国の左派たちは日本を意識しています。
韓国のインターネット新聞のスポーツ欄を見ても日本選手のニュース(しかもBad newsのみ)が欠かせません。
例えば、”菅野が年俸が大幅に削減される屈辱を受けた”とか、山口がメジャーから追い出されて日本に帰ったとかのような日本選手の悪いニュースを大きく報道します。しかし、韓国選手たちの活躍は大げさに膨らまして報道します。金(キム)の活躍に地元ファンが歓呼したり、柳(リュウ)のサイ·ヤング賞受賞の可能性が高まっているなどと大げさに報道しています。
スポーツでも韓国が日本を圧倒していると報道してこそ、読者が喜ぶと思うからです。実際にそんなニュースを見て読者たちが”いいね”ボタンをたくさん押しています。
各国間の国境はますます低くなっているが、韓国人の心の中に存在する日本との壁はますます高くなる様相です。
> 知人の韓国人は「韓国人はメンツを失うと死んでしまいます」と言う。
本当に重要なのは、他人との比較に耐えるための「メンツ(面子)」ではなくて、自分が努力した証として得られる「自尊心」なんですけどね。
そんな中、またもや「韓国が日本に勝利!」という韓国メディアのニュースが。
> 「東京よりソウル」…日本を抜いた「高級韓国」 100年以上続くのか
12/18(土) 12:41配信 中央日報日本語版
ちょっと信じられない(内容が、ではなくてこんなニュースをわざわざ日本語版で流すところが)ですね。
何をそれほど強がってみせる必要があるのかな?
もしも日本のメディアが同じような報道を(韓国が、ではなくて「日本が勝利!」という内容で)したら、国民から馬鹿にされて総スカンでしょうね。