世界有数の火山国・日本:外国人に「大涌谷」が魅力的なワケ

 

一年で最も寒い時期の「大寒」がきょうから始まる。
なのにこれ以上なく季節ハズレで恐縮しごくなんだが、世界最高気温はいったい何度で、それはどこかご存知だろうか。

答えはアメリカのデスヴァレー(Death Valley)。
この死の谷で、1913年7月10日に56.7°Cを記録した。
この気温は5・6・7と覚えやすい。

で、日本の「死の谷」というと箱根の大涌谷が思い浮かぶ。
箱根火山の爆発や火砕流によってできた大涌谷では、今でも火山活動があって、地面からはモクモクと白い煙(火山性ガス)が立ちのぼっている。
緑がまるでない荒涼とした大地に、いくつもの噴煙が立ち込めていて硫黄のきついニオイが鼻をさす。
日本でここしかないような独特の景観から、江戸時代には「地獄谷」「大地獄」と呼ばれていた。
まさに日本のデスヴァレー。
でも、明治時代に天皇・皇后がここに来ることがきまると、「天皇陛下を地獄にお連れするわけにはいかない」ということで、大涌谷に改称されたという。

地熱を利用し、硫黄と鉄分による硫化鉄を付着させた「黒玉子」がこの地獄の名物で、これを1つ個食べると7年寿命が延びるといわれる。グリコキャラメルかな。
そういえばある日本人がフランス語の授業で、仏人の先生が硫黄のニオイの例として大涌谷の話をしたと言っていたっけ。

実際のようすは動画を見てもらうのが一番だ。

 

 

さて、きょねんバングラデシュ人2人とインド人2人と一緒に精進湖へ行ったときのこと。
3カ月ぐらい前に大涌谷に行ったというバングラデシュ人が、「あそこは信じられないほど良かった!大地が生きているということが実感できる!」と、箱根町観光協会さまから粗品をもらえそうなほど絶賛すると、スマホでその写真を見せてもらったインド人も「こんなところは見たことない。アメージングだ」と感嘆の声をあげる。

前にも大涌谷の魅力を熱く語っていたインド人がいた。
そのワケを聞くと、広大なインドには雪山も砂漠もジャングルもいろんな自然があるけれど、大涌谷のような活火山を見て体験できる場所はないからだと。

その話を思い出したんで精進湖のインド人(なんか表現が変)に聞いても、やっぱりインドに活火山はないらしい。
1人のインド人は地理の授業で、活火山についてならっているときに富士山が出てきたと話す。
日本人兼静岡県民の自分としては「日本のシンボル」ではなくて、活火山の例として紹介されているというのはやや意外。

ひょっとしたら、海外に活火山って少ないのでは?
日本に多すぎるのでは?

そう思って調べてみるとやっぱりビンゴ、内閣府HPの「世界の火山」によると、世界中にあるおよそ1500の活火山のなかで日本にはその約1割がある。それで日本は「世界有数の火山国といえます」とある。
活火山数の世界ランクで日本は4位。(と日経新聞の記事に書いてあった)
ちなみに国内をみると1位は東京都(21活火山)、2位は北海道(18)、3位は鹿児島(10)という順だ。
活火山のほとんどは環太平洋地帯にあって(上のリンクに地図あり)、ヨーロッパではイタリアとギリシャのあたり、アメリカでは西海岸に集中していて、欧米ではそれ以外に活火山はほぼない。
インドには微妙なものが1つあるだけで、全体的には皆無と言ってよし。

 

 

海外ではレアな地形っぽい大涌谷を見て、外国人はどう思うのか?
トリップアドバイザーの口コミを見てみると、活火山のアクティブさや躍動感に興奮している人が多かった。

・You can observe the dynamic activity of the volcano such as boiling water cauldrons and fumarolic gas blowing up white smoke.
沸騰している大釜や白煙を吹き上げる噴気ガスなど、火山のダイナミックな活動を観察することができます。

・The smell of sulfur was strong but not unbearable.
硫黄のニオイは強かったのですが、我慢できないほどではありません。

A must visit. The place reeks of sulphur and is a truly lunar landscape!
絶対に行くべき。
硫黄のニオイがして、まさに月世界のような風景です!

・Great place: You can stand almost in the crater of the active volcano.
素晴らしい場所です。活火山の火口のすぐ近くに立つことができます。

 

日本人と火山には古代から付き合いがあって、神話では、スサノオノミコトについて火山を連想される記述が多いという。
でも活火山の数は世界中で1500ほどしかなく、しかも一定のところに集中しているから、外国人にはこれ自体がめずらしいと思う人も多いはず。
なかでも白煙やニオイ、熱を感じて活火山を間近で感じることができる大涌谷は、世界的には超激レアな場所なのでは。「with 富士山」となると地球上でもここしかない。
静岡にある日本語学校で日本語を教えている先生から、遠足で大涌谷に行くと聞いたことがある。
そのときは何とも思わなかったけど、外国人を連れて行くならこれはベストチョイスだ。

 

おまけ

温泉とか大涌谷ぐらいならいいけど、自然は人間の手に負えるものじゃない。
このまえ汤加で、おっとトンガで火山の大爆発があって、街が火山灰で覆われてしまって緑がなくなった。
これは空前絶後のスケールとしても、日本にもこの危険は常にある。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 非公式だとジブチの71.5度が最高でしたっけ?
    猿の惑星のロケ地でもありましたけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。