【大学新試】日本のカンニング 夏目漱石も正岡子規も不正野郎

 

「その年に感じたことを漢字に託す」ということをコンセプトに、住友生命が2021年の世の中をあらわす「創作四字熟語」を募集した。
その中の50編の1つに選ばれたのが「大学新試」。
2021年に新しい大学入試共通テストが始まったから、「大学新試(だいがくにゅーし)」だと。

でその翌年、ことし2022年1月15日に行われた大学入学共通テストで、試験の最中に受験生が問題を撮影して画像を外部に送信するという、大胆なカンニング行為が発覚して大騒ぎになったのは記憶に新しい。
これは法的には偽計業務妨害容疑になるらしい。

この不正行為にネットではこんな声が。

・実際、試験監督の見回りだけでは無理だよ。
・AO入試のがカンニングよりも
インチキなんだけどなw
・まあ試験場の電波妨害対応するのが1番やな
デバイス側のチェックには限界がある
・今は小さいスパイカメラみたいなのもあるからね
ただ撮影できても外部に連絡する方法はどうするのか
・昔のスパイ映画みたくボタンやベルトにカメラとか?
・共通テストをカンニングしなきゃならないレベルじゃ、二次試験は思いやられるので、無問題。

 

これは結局、19歳の受験生が上着に隠したスマホで問題を撮って、ネットで外部に送っていたことが分かった。
日本の入試は海外に比べてセキュリティーが甘いと思う。
たぶんその分野では世界で最も先をゆく中国なら、こんなカンニングはできなかった。
知人の中国人から、中国では試験会場に入るためには金属探知機のチェックと、厳しい持ち物検査を受けないといけないと聞いた。
だから金属のワイヤーのあるブラジャーまで禁止されて大騒ぎになったとか。

不正に厳しい中国ではドローンを使って受験生を監視をしている。
それだけでなく、外部に無線で連絡がいっていないか電波をチェックしているから、日本人のどんなカンニングの発想もここでは当局の想定内にありそう。

 

 

 

ベルギーでもドローンさんが大活躍中。

 

いつの時代になっても手段を選ばず、とにかく合格したいと思う人はいるから、カンニング行為はなくならない。
でも不正行為に対する見方は、昔はけっこう大らかだったらしい。

明治時代には夏目漱石が東大予備門(いまの東大教養学部)の入試で、隣の受験生と同じ解答を書いて提出した。
「隣の人に見せてもらったのか、それともこっそり見たのか」なんて語る漱石には、カンニングの罪悪感なんて特になし。

漱石の友人だった正岡子規もカンニング野郎だった。
同じく東大予備門の英語の試験で「judiciary」の意味が分からず、隣の受験生に聞いて教えてもらった。
ただ、その受験生が「ほうかん(法官)」と言ったのを子規はカン違いし、解答用紙に「幇間(太鼓持ち)」と書いてしまう。

で結局、カンニングをした夏目漱石と正岡子規が東大に合格して、教えたほうの2人が落ちたという四コマ漫画みたいなオチ。
誠実な人間が報われて、ズルい人間は報いを受ける「信賞必罰」には必ずしもならないのが人の世だ。
でも、ネット時代にそれは許されないということで、2021年に悪質コメントを罰するための法改正や厳罰化が検討されて、「中傷必罰」という創作四字熟語ができた。

いまの有名人なら炎上案件の告白も、明治の偉人ならほのぼのエピソードになる。
「創作四字熟語」には、東京五輪・卓球で金メダルをとった水谷選手と伊藤選手をあらわす「二者卓一」なんてのもあったっけ。
言葉の天才・夏目漱石と正岡子規の二者卓一による「創作四字熟語」を見てみたかった。

 

読売新聞1905年(明治38年)の記事

 

 

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2 件のコメント

  • ネット上の一意見と同様、私も、「スマホが使えないようにする(教室内に電波が届かないようにする)」のが最善だと思いますよ、技術的には簡単にできます。またさらに、使用の可・不可を切替えられるようにするのも簡単で、電波シールドされた室内に有線でアクセスポイントを設置してON/OFFすればいいだけの話。
    見張りを強化して試験監督員の負担を増やすなんて、この人で不足の時代に、ナンセンスじゃないですか。
    それとも、試験監督員としての仕事を「増やす」ことに何かメリットがあるのですかね? 失業対策?

  • 技術的には問題ないそうですが、緊急連絡もできないと困るとか受験生への配慮を考えるとむずかしいらしいです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。