以前日本の大学に通っていて、いまは母国に戻って日本を恋しがっているドイツ人が知人にいる。
このまえ話をしていたとき、
「こっちにも寿司店はあるよ~。でも、地元のドイツ人を対象とした中国人経営の店だから、日本人からすると『コレジャナイ』と思うような寿司を出してる」
と彼が言っていた。
でも最近は日本だって、ライバル店が多いから回転寿司店はかなり大胆なチャレンジをしていて、「ナンデモアリ」の状態になりつつある。
イベリコ豚やマヨネーズをふんだんに使った創作寿司はもはや当たり前。
デザート分野でも著しい進化をとげていて、スシローが放ったこの一品はもはや寿司店とは思えないクオリティーのようでネットでの人気も高し。
#高貴なマダガスカルショコラのプリンパフェ💖#マダガスカル産カカオ豆 を使用した #テオブロマ 土屋氏こだわりのショコラパフェ!
フルーティな風味と爽やかな香りの #本格チョコレート🍫の味わいが魅力的な逸品です😍#スシローカフェ部が世界的ショコラティエコラボ pic.twitter.com/fD8zS9c8Ra— スシロー (@akindosushiroco) January 23, 2022
古代メキシコでは「神様の食べ物」といわれていて、とんでもなく貴重品だったカカオ。
大航海時代にやって来たヨーロッパ人がこれを見つけて母国へ持ち帰り、「にがっ」と思ったから、唐辛子の代わりに砂糖(かハチミツ)を入れて彼ら好みの甘い味にして、いま世界中にあるチョコレートの原型ができあがった。
*ショコラ(chocolat)とはフランス語でチョコレートのこと。
そんなチョコレートは日本へは江戸時代に伝わって、1797年に日本女性がオランダ人から「しょくらあと六つ」をもらったという記録がある。
(なんかフランス語に近い。)
それからいろいろあって、いまでは寿司店でマダガスカルショコラを食べれる時代になったワケですヨ。
ではこの一品を現地の人はどう思うのか?
「高貴なマダガスカルショコラのプリンパフェ」の写真を見せて、先祖がメリナ王国の貴族だったという高貴なマダガスカル人に聞いてみた。
ちなみにマダガスカルってのは、アフリカ南東部にあるドデカイ島国のこと。
そのマダガスカル人さんはどうやらかなりのお金持ち。
となると強盗のターゲットになりやすいから、窓には鉄格子がしてある。
その人はいま首都アンタナナリボに住んでいる20代の女性で、日本を勉強しているから日常会話レベルならOKだ。
まずマダガスカルのチョコについていうと、これは世界的に「きわめてウマし」と高い評価を受けている。
その理由は、マダガスカルの土壌や気候が良質なカカオを育てるのに最適だったことと、植民地時代にフランス人がチョコレート作りの基礎を築いたことにある。
上質な素材とフランス人のお菓子作りのノウハウが融合し、マダガスカル人がさらにそれを進化させて、現在のマダガスカルショコラを完成させた。
くわしいことはこの記事を。
マダガスカルがフランスの植民地になったことを表す絵
旗をさしているポイントが、たぶんいまの首都アンタナナリボ
マダガスカル人の中では日本について詳しい元貴族の彼女に、スシローの「高貴なマダガスカルショコラのプリンパフェ」の写真を見せて感想を見いてみた。
するとまず、「これがお寿司屋さんにあるの?」ということにビックリ。
ですよねー。
でも、「わたしとしては、これはとてもうれしいし誇らしい」とのこと。
もともとカカオはアメリカ原産だから、アフリカへそれをもたらしたのはヨーロッパ人で、マダガスカルへはフランス人だろう。イギリス人かもしれない。
コーヒー豆と同じように、同じ品種のカカオでも育てる土壌によって味や香りが変わってくる。
マダガスカルは貧しい国だけど、本当に豊かな自然があって国民はそれを自慢に思っているから、そこでとれる上質なカカオ豆にも自信を持っている。
その地にやって来たフランス人がいろんなお菓子をもたらして、マダガスカルにスイーツ革命を起こした。
(「Tarte au citron meringue」というレモンパイが彼女の大のお気に入りだとか。)
フランス人が築いた基礎をマダガスカル人が発展させたショコラは、いま世界的に称賛されていて、これまで国際的な賞を何度も受賞した。
(これが「唯一無二」のワケか。)
ハッキリいってマダガスカルには自慢できるものが少ない。
でもショコラはその例外で、外国人へのプレゼントでこれを選ぶ人は多い。
マダガスカルショコラのブランドの中では、1940年にフランス人のロバート夫妻が設立した「チョコレートリー・ロバート」が特に有名。
自分や家族はよくこのショコラを食べるし、外国人にもプレゼントする。いまのところ、このチョイスでハズれはない。
マダガスカル人として自国のショコラには誇りと自信を持っているから、日本で「高貴なマダガスカルショコラのプリンパフェ」が人気と聞いたら、ただひたすらうれしい。
ただマダガスカルにはプリンやパフェがないから(これは意外)、自分がこれを食べられないのは本当に残念だ。
なるほど。
ということで高貴なマダガスカル人からみても、「高貴なマダガスカルショコラのプリンパフェ」はかなり好評だ。
ショコラに対するマダガスカル人の思いを知るとそれも納得。
「ナポリタンに怒るイタリア人」みたいなことがなくてヨカッタ。
にしても日本の寿司店で、まさかマダガスカルショコラを食べられる時代がくるとは。
松屋でタイの「マッサマンカレー」が出たときも驚いたけど、 他店乱立で「寿司の戦国時代」にあるなか、生き残りをかけて違いをつくろうとする日本企業の努力は相変わらずすごい。
次はどこの国の何が登場するのか。
ただこうなるともう、中国人経営のドイツの寿司店と変わらなくなるかも。
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