【日本の消防団】現代は“残念”でも、明治の米国人には“英雄”

 

「消防団で夜警巡回を行います。団員が夜警費の協力依頼のためお伺いさせていただきます」

あるとき近所の消防団からこんな文書が届いたら、火の用心を呼びかける夜警巡回の協力費を払わないといけないのか?
静岡県の伊豆の国市に住む人がそんな疑問を持つ。

静岡 NEWS WEB(03月01日)

【たっぷりリサーチ】消防団の”協力金”っていいの?

答えからいえばNO。
そもそも消防団員の立場は公務員だから、住民からこんなふうにお金を徴収してはいけないのだ。
指摘を受けた市の危機管理課や消防団は、これまでは慣例として続いてきたけど、今年度からは徴収しないことにしたと答える。
そして過去のお金については「金額や用途はわからない」と。
いやいや、夜警巡回の協力金の名目で住民からお金を集めといて、内訳は「ワカリマセン」なんて通じるはずがない。
好きなもの食ったり飲んだりして、消防団員がおいしくいただきましたというオチでしょどうせ。

これにネット民の感想は?

・なあなあでやってたからな田舎は
・うちの消防団
消防団は准公務員だから献金行為は違法と騒ぎになったら
消防団後援会という団体名になってた
無茶苦茶だよ
・うちの町内会は幹部固定メンバーで
主要支出は反省会の費用ばっかりだったなw
・うちの地区も消防団への協力金て取られてるぞ
違法だったのかこれ

東京消防庁のホームページにある「消防団員と消防署員ってどうちがうんですか」を見ると、「消防団員は公務員」として「年間一定の金額が報酬として支給」されていて、さらに災害や訓練に出場した場合にも手当が支給されると書いてある。
このうえさらに、住民から協力金を徴収するなんてことはあり得ない。

 

モース(1838年 – 1925年)

 

現代の消火方法は、消防隊員がホースで大量の水を火にぶっかけて鎮火するやり方が一般的だ。
でも江戸や明治時代は火事場周辺の建物や燃える物を破壊して、延焼を防いで最終的に消火する破壊消防が採用されていたのだ。
ポンプ式放水具の「竜吐水」もあったけど、それは補助的なもの。

江戸時代の火消から現代の消防団への過渡期にある明治時代に、モースというアメリカ人の学者がやって来た。
彼は火災現場と破壊消防を見て、その様子を著書「日本その日その日」にこう書いている。

「これ等の家の大部分は、燃えつつある。低い家屋の長い列の屋根は、英雄の如く働き、屋根瓦をめくり、軽い杮板をシャベルで落し、骨組を引張ったり、切ったりしてバラバラにしている消防夫達で、文字通り覆われ」

火の手が迫る中で何人もの消防夫が大急ぎで家を解体していて、アメリカ人から見るとその様子はまさにヒーロー。
とくにアメリカ人はこういう人たちを尊敬すると思う。
でも当然、こんなリスクがある。

「突然道路に向って崩れ、彼等は燃えさかる木材や熱い瓦の上に音を立てて墜落したが 一人は燃えつつある建物の内部へ墜ちた。勿論私は、この男は助からぬと思った」

彼らの活躍で類焼をまぬがれると、消防隊にはお金が贈られるという。
公務員として報酬や手当をもらっていながら住民から協力金を集めて、金額と使い道を聞かれると「わからない」と言う現代の消防団員は恥を知れ。
明治時代の消防夫と、現代の消防団と消防隊員がそれぞれ違うのは承知。

ちなみに、モースがとても不思議に感じたのはこんなことらしい。

「火事で見受ける最も変なことの一つは、消防夫が火のついた提灯を持っていることである。」

わりとどーでもいい。

 

1869年(明治元年)のアメリカの消火活動の絵を見ると、日本より消火器具が発達していたようだ。

 

 

消防士はアメリカ社会で広く尊敬されていて、80%の国民が名誉ある職業と考えているという。

「Firefighters in America are widely respected, with over 80% of Americans considering firefighting to be a prestigious occupation, in 2018.(Firefighting in the United States)」

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。