戦争の対価としては当然かもしれない。
にしても、世界中の「ロシア排除」の流れはすさまじい。
イギリスの石油大手BPとシェルはロシア事業からの撤退を発表し、ドイツのダイムラートラックはロシア企業との提携を解消した。
アメリカのアップルやナイキはロシア国内での商品販売を止めることにして、ディズニーは映画を公開しないいときめた。
さらにクレジットカード会社のVISAとマスターはロシアでのカード決済を停止。
長い列に並んで銀行で現金を手に入れた人たちは、ルーブルの価値の下落っぷりに衝撃を受けるかも。
ロシアを“キックアウト”する動きはスポーツ界でも拡大中だ。
北京冬季パラリンピックで国際パラリンピック委員会(IPC)は当初、ロシア選手を個人資格の「中立」の立場で出場を認めると発表したけど、これに各国が猛反発して大会がボイコットされる恐れがあったため、開会前日にロシアを大会から除外すると発表した。
国際サッカー連盟(FIFA)がロシア代表の大会参加を認めないと発表したことで、ロシアはカタールW杯に出場することができなくなった。
フィギュアスケートや卓球などでもロシア選手の排除が進んでいる。
まさに地球規模での村八分。
フィギュアスケート女子・銀メダリストのメドベージェワさんは、自身のインスタに「悪い夢のように、一刻も早く全てが終わることを願っています」というメッセージを投稿する。
ロシアがウクライナに侵攻したら世界が敵に回って団結し、国民がサイフと心に大ダメージを負ったというのが現状だ。
ただこうなると、どうしても「反ロシア」感情が高まるから、日本ではこんな情けない事件が発生した。
時事通信(2022年03月04日)
ロシア専門店に嫌がらせか 識者「国家と個人の区別を」
東京・銀座にあるロシア食品専門店「赤の広場」では、何者かが看板を傷つけて、「お店と政治につながりはありません。私たちは日本とウクライナ、ロシア、その他の国々との懸け橋になりたいという気持ちで働いています」と店の人を意気消沈させる。
でもこんなことをした人間は、店の外に「ロシアン・ショップ」、「赤の広場」と書いてあるが、経営しているのはウクライナ人という事実をきっと知らない。
スタッフもウクライナ人やウズベキスタン人というから、戦争の被害者が理不尽なもらい事故を受けてしまったことになる。
店は警察に被害を相談したというから、犯人は震えて眠るがいい。
これにはネットでも怒りやあきれの声が続出だ。
・正義マンはほんと度し難いな
・直接文句言えないヘタレのくせに
・あー海外は野蛮だなぁ
…日本の話??
・テレビで見たけど店の女の人泣いてたよ
・坊主憎けりゃみたいな奴は何なん?馬鹿なの?
なかには「ロシア人ザマア」とか言ってる人もいたけど、いま多くの日本人がそんなアホの埋め合わせをしている。
何人ものお客様から花束をいただき、大変感激しております。
ご来店くださるお客様の暖かいお言葉や、ご支援の数々が私たちスタッフの励みになります。
本当にありがとうございます。 pic.twitter.com/y7wBpB8clu— ロシア食品専門店 “VictoriaShop” (@victoriashop_ru) March 2, 2022
「国家がやっていることと、その国の国籍を持つ人は明確に区別すべき」というまともな指摘を無視して、(日本人経営の)ロシア料理店に悪意満載の口コミを書き込んで評価を下げるなど、いま日本で「ロシア」が理由としか考えられないような嫌がらせ行為が起きている。
この傾向は海外も同じだ。
ロシア軍の攻撃を受けて街が破壊され、身内を殺されたウクライナの人たちの涙を見ると、どうしても「反ロシア」感情が高まっていてしまう。
そしてその敵意は国内の関係ないロシア人へと向けられる。
国内に多くのロシア人が住んでいて、もしウクライナが陥落したら次に狙われるのはここかもしれない、という国がリトアニアだ。
この国は20年ほど前にソ連と戦って独立したから、もともと「反ロシア」の意識は強かった。
リトアニア人にいまの雰囲気を聞くとこんな返事がくる。
「It’s 50/50, some Russians are faking stories about being bullied, and some are being bullied for real, but not a critical number, but it’s bad. Politicians in ltu tells people that Russian citizens living in ltu is not responsible for Putin’s action, etc.」
それは「半々」ですね。
いじめられたという話を作っているロシア人もいれば、本当にそんな目にあったロシア人もいる。
リトアニア(ltu)の政治家は、国内に住むロシア国民にプーチンの行動の責任はない、と人々に言っている。
ドイツ人に話を聞いても同じだ。
国内で高まるロシアへの反感を抑えるため、最近テレビでは「ロシアの戦争」という言い方を止めて、「プーチンの戦争」と強調することが多くなったという。
彼の見方ではこう報じることによって、この戦争の責任はプーチン大統領だけにあって、一般人にはないことを国の内外にアピールして、この戦争で苦しむロシア国民の「反プーチン」感情を高める狙いがある。
ドイツにとって最も理想的な展開は、カードも使えなくなったロシア国民が団結してプーチン政権を倒すことだから、これも多分そこにつながっている。
そうなったら世界中が歓喜するのは必至だけど、まぁ現実的にはハードルが高すぎるかな。
とにかく「ロシア排除」は政治・経済・スポーツ界にまかせるとして、近所のお店はむしろ「反ロシア」感情の空気から守らないと、日本の恥が今度は世界へ伝えられることになってしまう。
「ロシア人ザマア」とか言ってる場合じゃない。
明治時代の日露戦争で日本軍の将兵に配給された「征露丸」は、戦争が終わるといまの「正露丸」に変更された。
いまも心に「征」のある人は、早く「正」に変えた方がいいですよ。
これはウクライナとの友好をアピールする、カナダのロシア風アイスクリーム(?)の店
命の“選別”・トリアージとは?その歴史や日本での訴訟事例など
コメントを残す