北京オリンピックが先月に開かれて、今月から始まったパラリンピックはきょう3月13日に終了する。
すばらしいパフォーマンスを見せてくれた選手のみなさん、おつかさまでした、ありがとうございます。
だがしかし、「ありがとう」と言うべき人はもう一人いるらしい。
この北京冬季五輪、開催前には「雪」の懸念があったのだ。
競技が行われる地域は2月でも、平均で3cmほどしか雪が積もらないところで、その「雪のなさっぷり」はNASAの衛星写真が明らかにしている。
China winter Olympics: NASA imagery shows huge amounts of artificial snow used in Beijing https://t.co/diWIVR8ziN pic.twitter.com/4WIHqH7bCa
— World News (@Worldnews_Media) February 11, 2022
それでも、ホスト国の中国がメンツを失うわけにはいかない。
大量の造雪機は当然として、雪を降らせるために1月には50発以上の「降雪ミサイル」を発射し、金や技術など持てるものすべてを駆使して、大量の雪を造りだして五輪を開催させたのだ。
五輪をはじめ、日本や世界中のスキー場などで重宝されているこの便利で有能な人工雪。
これを世界で初めてつくり出したのは日本人であることを、どれだけの日本人が知っているのだろうか。
中谷 宇吉郎(なかや うきちろう:1900年 – 1962年)が戦前の1936年、大学の実験室で人工雪の製作に世界で初めて成功したのだった。
*それがきのう3月12日。ちっ、書くのが一日おくれたぜ。
北海道帝国大学に赴任した中谷は雪の結晶の写真を見て、自然が生み出す芸術の繊細な美しさに心を動かされ、これがモチベーションとなって、後に雪の結晶(人工雪)をつくりだすという世界的偉業を成しとげた。
雪の結晶の写真を撮りやすかったという地の利もあったから、「中谷はワシが育てた」と北海道さんなら言っていい。
この功績で中谷は、日本の学術賞としては最高の権威である帝国学士院賞(いまの日本学士院賞)を受賞したり、そのころはまだ雪の研究が進んでいなかったから、これは画期的なコトだと評価されて世界的に権威のあるイギリスの科学雑誌「Nature」で紹介された。
雪の結晶の研究にのめり込んだ中谷は、どんな蒸気や気温などの自然条件の中で、さまざまな模様の雪の結晶がつくり出されるのかを解明し、「ナカヤダイアグラム」を公表する。
これから人工雪を使うすべてのオリンピックで、称えられていいレベルの日本人が中谷 宇吉郎だ。
中谷を魅了した雪の結晶(雪片)
いろいろなカタチがあってそれぞれキレイだね。
製紙法の伝播(西伝) いつ中国から日本・イスラーム圏・ヨーロッパへ?
この人の随筆集読むと、やっぱり理研で寺田門下生だなというのがよく分る。