明治時代の日本へやってきて、東京大学の教授になったり大森貝塚を発掘したことで有名なアメリカの学者モースは、日本人のこんなところに驚いた。
人力車に乗って田舎を通っている間に、徐々に気がついたのは、垣根や建物を穢なくする記号、ひっかき傷、そのたが全然無いことである。この国には、落書きの痕をさえとどめた建物が一つもない。
「逝きし日の面影 (平凡社) 渡辺 京二」
モース(1838年 – 1925年)
さて、いまネットでステキなニュースを発見。
世界経済フォーラム(WEF)が発表した「旅行・観光開発ランキング」(2021年版)で、日本は交通インフラや文化資源などが高く評価され、初めて世界一に輝いた。
コロナ禍でひん死のダメージを負った観光業界にとっては、明るい今後を感じさせるエヴァンゲリオン(朗報)だ。
ちなみに2位はアメリカ、3位はスペインという順。
日本へきた外国人に感想を聞くと「街が本当にキレイだ!」と感心する人がよくいて、そのワケをたずねると、「路上にゴミが落ちてない!」という答えが多くてもはや聞き秋田。
ただゴミ箱も見つからないから、ゴミをどこに捨てていいか分からず、そのままホテルまで持ち帰ったというリトアニア人もいた。
外国人の目に日本がキレイに見える理由には、このほかにも街中に落書きがないこともある。
もちろんゼロではないけれど、海外の大抵の国に比べると本当に少ない。
知人のアメリカ人は「建物は当たり前で、バスや地下鉄にも落書きが普通にあるよー。で、みんなそれに慣れちゃって、もはや誰も気にしない。」と言うし、「落書きはその地域の治安の目安になる。」とイギリス人が指摘するような状態はいまの日本の普通の都市にはない。
ヨーロッパでは街中にゴミ箱がよくある。
東西ドイツの再統一や冷戦の崩壊を象徴するベルリンの壁。
日本人ならそんな歴史的建造物に勝手に絵を描いたり、その上に落書きをしまくることはしないだろう。
このおっさん同士のキスについてはこの記事を。
日本に住んでるイギリス人女性が最近、SNSにこんなメッセージをした。
「You know what’s something I always find surprising about Japan?
There’s these politician posters EVERYWHERE. And I never see graffiti on them.
If this was back home there would be mustaches and a speech bubble saying “I am a twat” by the end of the day.」
日本について、わたしがいつも驚くことって何かわかる?
政治家のポスターがそこらじゅうにあるのに、落書きを見たことは一度もない。
もしこれがイギリスだったら、その日のうちにヒゲと「私はバカです」という吹き出しがあるはず。
選挙ポスターを見て、落書きをしたくなる気持ちは世界中の人にあるとしても、それはふつうなら違法で、合法の国があったらそのワケを知りたい。
イギリス人に聞いたら、正確には知らないけどきっと違法だろうと。
でも街にある選挙ポスターに、監視員やカメラを設置することなんてできるわけないから、落書きを取り締まることは現実的にはできない。
そうなると、すべて市民のモラルにまかされることになるから、候補者にヒゲやカツラを書き加えて、笑い者にするのがイギリスの日常風景になる。
日本なら歴史教科書の偉人にするようなコトを、イギリスでは大人が街でやっているらしい。
ただ、ヒゲや「わたしはバカです」ぐらいならノープロブレムでも、ナチスのかぎ十字になると犯人の捜査が始まるかもしれないとのこと。
たしかにこれはイタズラでは済まされない。
ごみのポイ捨てや落書きをしないといった日本人の“民度”によって、いまのところ街の美観は保たれている。これも「旅行・観光開発ランキング」のプラス要素になっているはずだ。
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
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