きょう5月26日は、1897年に小説『ヴァンパイア』が発刊された日。
…という文を読んで「いやいや、ヴァンパイアじゃなくてドラキュラだから」って、ツッコんでいただけただろうか。
どちらも「吸血鬼」なんだが、ヴァンパイアとドラキュラは違う。
日本では、どっちも知らない人がいないほど有名なわりには、区別がつかない人が多くて、知恵袋ではこんな質問が絶えない。
ということで今回はその違いを知っていこう。
この死体はポーランドで発見された発見されたもの。
これを埋めた人たちは「吸血鬼」と信じて、死者が復活できないように首の上に刃物を設置したという。
西洋由来のモノや概念が日本へ入ってくると、いろんなものがごっちゃになって、よくワカランくなることがある。
デビル、サタン、メフィスト(メフィストフェレス)、ベルゼブブは日本語ではすべて「悪魔」になるけど、それぞれ別のキャラだ。
同じ悪魔でも、いろんな種類がいるってこと。
『鬼滅の刃』でいえば、鬼舞辻無惨、十二鬼月、手鬼といった悪い鬼もいれば、珠世や愈史郎みたいに炭治郎を助けたイイ鬼もいる。
話を戻すと、吸血鬼の伝説は世界各地にある。
『東京喰種』に出てきた人肉を食べる喰種(グール)の元ネタになった、死体を食べるアラブ世界の化物「グール」や中国の「キョンシー」も吸血鬼に分類される。
人間の血を吸って、それを栄養源にする吸血鬼を西洋では「ヴァパイア」という。
そのヴァンパイアには、19世紀のホラー小説に出てくるキャラの「カーミラ」や、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』のドラキュラがいる。
つまり、ドラキュラは数ある吸血鬼(ヴァンパイア)のひとつで、すべての吸血鬼をドラキュラと言うわけではない。
小説のドラキュラのキャラ設定はこんな感じだ。
・血を吸ったり、自分の血を分け与えた者を吸血鬼に変えることができる。
・塵(チリ)になって空を飛んだり、狼やコウモリに変身できる。
・影が無くて、鏡に映らない。
・十字架やニンニクに弱い。
・こうした力を発揮できるのは夜だけだから、夜間に活動する。(でも日光を浴びても死なない。)
これはドラキュラの設定で、他のヴァンパイア(吸血鬼)にはそれぞれの別の設定があるのだが、この小説が有名になり過ぎて、ドラキュラがヴァンパイアの定義のようになってしまった。
ヴァンパイアのイメージを決定づけたドラキュラ
「カーミラ」は女のヴァンパイアだ。
日本で生まれたヴァンパイアもいる。
「鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼」で「怪異の王」ともいわれる、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは日本発のヴァンパイア(吸血鬼)だ。
もちろんドラキュラではない。
吸血鬼の「ドラキュラ」も「カーミラ」も、人名(でいいのか?)であり固有名詞ですよね。
なお小説の主人公「ドラキュラ」には、そのモデルとなった実在の人物がいました。15世紀のルーマニア公「ブラド三世」は、「ブラド・ドラキュラ」とも呼ばれ、またその名を自称していたそうです。実在のドラキュラ公も若き処女の生血を吸ったのでしょうか?
手塚治虫の70年代連載マンガ「ドン・ドラキュラ」には、吸血鬼ドラキュラもカーミラ(ドラキュラ伯爵の離婚した元妻という設定)も登場します。高度経済成長時代の世に対する風刺の効いた、なかなか面白い作品でした。