「芸能人が大麻所持で捕まった!」となると日本ではその芸能人に批判が殺到し、出演していたドラマや映画はタブーになって闇に封じられる。
すると今度は、「これは個人の問題で作品に罪はないのでは?それが理由で、素晴らしい作品が見れなくなるのはおかしい」といった声がわき上がる。
本人の“ケガレ”はどこまで広がるのか、そんな議論はこれからもあるはず。
さてきょう6月10日は、1865年にリヒャルト・ワーグナーの歌劇『トリスタンとイゾルデ』がミュンヘンで初演された日だ。
ワーグナーは「トリスタンとイゾルデ」、「ワルキューレ」、「ジークフリート」などの作品をつくった、19世紀のドイツが生んだ世界的な作曲家、指揮者、思想家で、日本では音楽や世界史の授業でならう超有名人。
そんな偉大な音楽家について、4年前にこんな出来事があり。
AFPの記事(2018年9月3日)
イスラエル公共ラジオ、「タブー」のワーグナーの曲放送し謝罪
なんでイスラエルでワーグナーは忌み嫌われているのか?
トリスタンとイゾルデ
ワーグナーが一部で憎悪の対象になっているのは、彼がユダヤ人に対して言った(書いた)こんな言葉をみれば分かる。
「(ユダヤ人は)人類の退廃の化身であるデーモン」
「(ユダヤ人種は)人類ならびに高貴なるものに対する生来の敵」
「ドイツ人がユダヤ人によって滅ぼされるのは確実である」
「人類がユダヤ人によって滅ぶことだけはどうしても受け入れがたい恥辱である」
その一方で、ドイツ人についてはこう語る。
「人類の救済者は純血を保った人種から現れるし、ドイツ人は中世以来そうした種族であった」
こんなに“リッパで高潔な種族”が「ユダヤ人の侵入によって衰退させられた」、「宮廷ユダヤ人にドイツ人の誇りが担保に入れられて、慢心や貪欲と交換されてしまった」とワーグナーは言う。
おわかりいただけただろうか。
ワーグナーはユダヤ人を蔑視・差別する「反ユダヤ主義」の人間だったのだ。
そんなワーグナーの音楽に心酔する人たち、ワグネリアンの中にアドルフ・ヒトラーがいた。
そんなことから、彼の作品はナチスのプロパガンダに利用されることとなり、ワーグナーとナチスは「セット」になっていく。
さらにワーグナーの義理の娘も熱心なナチスの信奉者で、ヒトラーとも親しい関係にあった。
本人は反ユダヤ主義でヒトラーがその作品を愛し、ナチスの宣伝に使われていたことから、イスラエルではワーグナーの作品はタブー視されるようになった。
法的に禁止されてはないけど、ホロコースト生存者への配慮から、イスラエルではオーケストラや会場側がワーグナー作品の演奏をひかえている。
それで4年前、ワーグナーの曲がラジオで放送されて局側は「ミス」だったと謝罪した。
ただこのへん考え方は人それぞれで、ワーグナーの思想ではなくて、優れた音楽を楽しむことは問題なく、聴きたくない人はラジオのスイッチを切ればいいと指摘する人もいた。
母国ドイツではワーグナーの作品を演奏したり、それを賞賛することはOKだけど、彼の反ユダヤ思想を賞賛することは許されない。
この理論を採用するなら、大麻の使用や所持はダメだけど、それをした芸能人の出演した作品を楽しむことはOKということになる。
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> 母国ドイツではワーグナーの作品を演奏したり、それを賞賛することはOKだけど、彼の反ユダヤ思想を賞賛することは許されない。
> この理論を採用するなら、大麻の使用や所持はダメだけど、それをした芸能人の出演した作品を楽しむことはOKということになる。
???はぁ、何ですかその奇妙な理屈は。
ワーグナーは第二次世界大戦の時に全盛期だった人であり、既に故人ですよ。それに対して、大麻の使用や所持したことが問題となっている芸能人は、ほとんど今でも存命ですよね。存命ということは、その芸能人が出演している作品を鑑賞すれば、それなりに対価が彼らに渡るかもしれないということです。
そもそも、ワーグナーは確かにユダヤ人排撃主義者だったかもしれないですが、それはあくまで口で主張しただけ。実際にユダヤ人を自ら殺戮したわけじゃありません。
でも大麻で罪に問われた芸能人は、自ら大麻を所持し、吸引し、他の人に勧めた人さえいるんです。
両者は全然違いますよ。
そもそもタバコはあれほど嫌がるくせに、マリファナを吸引するのは許容範囲って、どういう理屈? 納得できる説明がほしいですね。
なお、私は今ではどちらもやりません。昔はタバコを吸ってましたけどね。
今でも他人のタバコの煙は別に苦にならない。でも女房が嫌がるので、吸うことはありません。
ワーグナーと芸能人ではなく、作品の扱いのことです。
そもそも論ではあるんですが、ワーグナー自身は反ユダヤ主義だとが言っていたにもかかわらず、ユダヤ人の弟子も多かったし、友人も多かった。なんなら、ワグネリアンにもユダヤ人とされている人は大量にいるわけでしてな、こんな時代遅れの、それこそナチズムじみたことやってるのはイスラエルだけという話なわけで。
ワーグナーはパルジファルの初演指揮者にユダヤ人を選んでいるし、現代の指揮者でワーグナーを大得意としているバレンボイムもユダヤ人。当時反ユダヤ的言辞は知識層の中にも大勢いてワーグナーの反ユダヤ的言辞なんて普通。彼とその作品があまりにも有名だから、その言葉も後世にのこっていて、他の連中の反ユダヤ言辞は忘れ去られ残っていない。それだけ。
ワーグナーの作品がヒトラーに愛されてしまったことも大きいですね。