【表現の不自由】マンガに見る、日本と海外のNG基準の違い

 

いま海外でマンガやアニメは大人気で、日本を代表する文化にひとつになった。
「オタク」というややネガティブ日本語は、いつの間にか「otaku」という世界語になっている。
世界三大博物館がひとつ、大英博物館でも3年前に、海外では最大規模となる「大マンガ展」を開催して話題になった。

【クールジャパン】大英博物館で最大規模のマンガ展はじまる

ただ日本と海外では価値観や考え方が違う。
社会的にOK/NGの基準も変わってくるから、日本のマンガやアニメの表現を外国でそのまま再現することができないケースがある。
日本人に見せるぶんにはまったく問題ない描写が外国では、「限界突破してます。無理ですね」とその部分がカットされたり、モザイクがかけられるといった“表現の自由問題”が起こる。
最近もそんな事案が発生した。

スクウェア・エニックスが数年前に漫画アプリ「マンガUP!」の配信を始めたところ、外国でもイケそうな手ごたえを感じたようで、つい最近、海外版の「Manga UP!」の配信を開始した。
これは特定の国に限定したものではなくて、どの国でも見られる共通のもので、「日本以外の世界で許される表現の自由」に基準を置いたところ、修正しないといけない画がいくつも見つかった。
でも、時間がなかったらしい。
違和感なくその部分をカットするとか、海外基準を満たした画に描き換えるといった余裕がなかようで、その部分をシンプルに黒塗りしただけ。
結果、四角いのり弁当みたいな箇所がいくつもできてしまい、ユーザーから批判やいろんな意見が上がったことから、海外メディアがこの修正騒動を取り上げた。

 

 

海外では全体的に性的描写に厳しい。
だから女性の胸を強調する日本マンガのサービスはNGで、女性の股間や谷間の微妙な陰影も不可らしい。
まあそれは分からんでもないが、「少年のひざ小僧」まで黒塗りされるのはナゼ?
ツイッターのツッコミどころもそこ(knee)で、「Also RIP knee !」(Rest in peace=ご冥福をお祈りします)と言う。

これに日本のネット民の感想は?

・逆にエロくなっててワロタ
・この程度で黒塗りしなきゃなのか…
・これがゲームになると全く逆になるから不思議だよな
・中国だったらちゃんとその部分描き直すぞ
・画像見た限り俺には海外が狂ってるようにしか見えん
・今までの日本がやりたい放題で野放し過ぎたんだよ
胸とか股の筋とか書き方がエロ漫画じゃん…

外国人のコメントを見ると、ひざ小僧がNGになってることには理解できないという人が多く、AIなど人間以外のものが検閲した結果だとみている。

・膝を検閲するわけがない🤣。
・検閲が必要な部分を特定するために、コンピュータープログラムを使用したのだと思います。
・検閲のために何か特別なソフトを使ってるのか?そうでなければ、なぜ膝を検閲するのだろう?
・完全に服を着た股間に検閲…
・AIが小さなピンクの部分を乳首と解釈している。

検閲がいかに不合理かを人びとに感じさせ、「これでは10倍悪くなるのでは?」と疑問を持つ外国人もいた。
これはスクエニが外国人に「”修正なし”を見たい!」と思わせて、本家「マンガUP!」に誘導させるという戦略ではないはずだ。
国際基準からすると、日本のマンガの胸や股間の描写はダメということだろう。
市民団体の開示請求に応じて、しぶしぶ公開した役所の公文書のような黒塗りがそれを示している。
海外に比べると、日本ではマンガにおける表現の自由はかなり高いらしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。