最近、あるお笑いコンビが、日本人と外国人とのハーフをネタにした動画をユーチューブで公開したところ、軽い致命傷を負った。
ネット情報によるとそれは、一人が金髪のカツラをかぶって黒い線で鼻のラインを強調し、神奈川生まれで白人と日本人の「英語の話せないハーフ」になって、それをもう一人がイジルという動画だったらしい。
そんな設定とサムネにあった「間抜けなハーフ」の文字から、「これは人種差別だ!」といった批判が殺到し、すぐに「この動画は非公開です」となった。
これにネット民の感想は?
・窮屈な世の中になったもんだ
・アントニーとかデニス植野とかのエピソードトークがおもろいから、やってまったんだろな
・何でもクレーム付けられる時代だから他人を弄る(攻撃する)ネタは格好の餌食になるわな
・これはまたあれでしょ?
ハーフの人は誰も怒ってないんでしょ?
・このネタは昔からある
岩井俊二の映画で「こんな顔だけど日本語しか喋れない俺ってナニ?」と延々自虐してたやつとか
いまの時代、金髪になって白人のマネをした時点でもうアウト。
2014年に全日空(ANA)が流したCMの中で、お笑い芸人が金髪のかつらと付け鼻をして白人になるという演出があったことから、人種差別の指摘を受けてANAが謝罪した。
日本人が顔を黒く塗って、黒人になる「ブラックフェイス」もダメだ。
これに加えて今回は英語の話せないハーフを「間抜け」とバカにしたから、炎上→非公開の流れは避けられない。
ハーフ本人がこのネタをしていたら、ギリセーフだった気がする。
日本人と外国人を親に持つ人を、どう表現するのかはむずかしい。
「ハーフ」「ダブル」「ミックスルーツ」といった言葉があるけど、それぞれ微妙にネガティブなイメージがあるらしく、いまのところ絶対的な正解はない。
私がどれだけミックスに関する質問を受けているか、そしてそれにうんざりしているかというと、こんなカードを作って常に定期入れに携帯しているくらいです。 pic.twitter.com/lEPMf9shH6
— あんな anna (@annaPHd9pj) June 16, 2020
以前、日本が大好きなマダガスカル人(東アフリカの国)と話をしていて、彼女がベタホメするから「日本の悪い印象」についてたずねると、「日本ではハーフがいじめられている」と話す。
どこでそんなコトを知ったのかと思ったら、やっぱりそれかーのユーチューブ。
彼女はフランス語がわかるし、マダガスカル語の動画は少ないから、よくフランス語のユーチューブ動画を見ている。
すると日本関連のもので、そんな内容の動画がちょくちょくあるという。
「日本にいるハーフは偏見に苦しめられている」と複数の人間が同じことを言っているから、そのマダガスカル人は日本人にはそういう排他的なところがあると思うようになった。
それを上回る美点があるから、全体的には日本人を大好きでいる。
きょねんドイツ人と話をしていた時も、似たような話を聞かされたでござる。
彼も日本人についてヨーロッパでは、「ハーフに対して差別的」というネガティブな印象があると言う。
その情報源はまたもユーチューブ。
「黒い目と髪、それに黄色い(白い)肌というビジュアルでないと、日本人とは認めない」という日本人が多くて、ハーフの人たちが傷ついているといった動画を彼は何度も見た。
それにその内容を支持するコメントも多いから、彼もそれを日本人のもつ暗黒面と考えるようになる。
アフリカとヨーロッパ、マダガスカル人とドイツ人という、言語も住んでるエリアもまったく違う2人が同じことを言うからこれは印象的だった。
ユーチューブ動画という根拠や真実性で問題があるものではなくて、海外の有名メディアも「ハーフに対する日本人の冷たい視線」をよく取り上げる。
たとえばこのアメリカCNNの記事(September 23, 2020)には、日本人とガーナ人の親をもつ矢野 デイビットさんの話が載っている。
見た目が違うという理由で、子どものころは学校でいじめられだ。
大人になって文化コメンテーターとしてテレビ番組に出演するようになると、エージェントから「黒人は面白い」という日本人のステレオタイプのイメージに乗っかって、コメディアンとして成功することを勧められたという。
Yano says he was bullied for looking different at school. When he started appearing as a cultural commentator on TV, his agents recommended he play into the stereotypes of Black people as being funny and try to make it as a comedian.
「黒人は明るくてユーモアのセンスがある」とか「ハーフは英語が上手」といったステレオタイプのイメージは、悪意はなくても差別につながりやすい。
まあ、「ハーフに対して日本人は冷たい」とう印象もステレオタイプのイメージではあるけど。
とにかく令和のいまこの手の人種差別的なミスをして、そういう印象が付いてしまうと、長い目で見ると致命傷になってしまうこともあるから要注意だ。
人種と民族の違い。黒人の日本人(民族)がいて「ふつう」の時代
<<<2014年に全日空(ANA)が流したCMの中で、お笑い芸人が金髪のかつらと付け鼻をして白人になるという演出があったことから、人種差別の指摘を受けてANAが謝罪した。
三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治(建国)初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を野獣視し、米鬼撃滅のごとき、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。
外国人と自然な態度で付き合うということが、日本人にはもっともむつかしいものらしい。 これが(日教組や野党などに代表される)都市のインテリほどむつかしいので、農村や漁村では、かえって気楽にめづらしがって、外国人を迎え入れます。」
出典:「不道徳教育講座」(1960年)