ブラジルでつい先日、ある先住民グループの唯一の生き残りだった男性が亡くなった。
ということでまずは「R.I.P」。(Rest in peace:ご冥福をお祈りします)
彼は外部の人間との接触を一切避けて、約26年もの間たった1人で暮らしていたという。
ブラジルの国立先住民保護財団が1996年に、ジャングルで生活するこの男性を初めて見つけてから、男性の安全を守るために定期的なパトロールをすることになり、今回彼の死に気がついた。
この人物はミステリアスで、どんな言語を使っていたのかも分かっていない。
だから名前もナゾで、深い穴を掘っていたことから「穴の男」と呼ばれたり、こう表現されたりしていた。
英のBBC記事(2022年8月31日)
「世界一孤独な男」の貴重映像 ブラジル先住部族最後の1人が死亡
さて、これは台湾のお正月風景を写した一枚だ。
これは平和や安全を意味するメデタイ言葉で、日本でもむかし首都の名称に採用された。
台湾と日本には漢字という共通点があるから、口での会話は無理でも筆談でなら、けっこうコミュニケーションをとることができて割と楽しい。
かつて日本は台湾を統治していて日本語教育をおこなっていたから、台湾にいる言葉の違う少数民族は共通語である日本語で会話をすることもあった。
知人の台湾人にそんな話をすると、「へー、それは初耳です!」とビックリした顔をする。
ちなみにいまの台湾人の約2%が先住民で、約98%が中国大陸からやってきた漢民族が占めている。この台湾人は漢民族だ。
日本語を話せる彼女と漢字を交えた筆談でやり取りをしていて、違和感を感じたのが「原住民」の文字。
個人的に「原住民」という言葉には、上から目線で差別的なニュアンスがあるように感じる。
それで日本では「先住民」を使っていると言うと、「え?そのほうが侮辱的じゃないですか?」と意外そうな顔をされたの巻。
先住民よりも原住民と言ったほうが敬意がある、だと?
説明されると余計わからないから、ウィキペディアを見るとこう書いてあった。
中国語の「先」には「既になくなってしまった」という意味が含まれてかえって差別的にとられる背景から、中国語を使う台湾では「(台湾)原住民」という表現が一般的である。
京都人が「先の大戦」というと応仁の乱を指すように、「先」にはいまは存在しない過去の意味がある。
それに昔の人や亡くなった人を「先人」と言うし、「先」にはネガティブなイメージがあるから、台湾では先住民より原住民のほうが適切な言葉と考えられているのか?
*ちなみに先住民を表す英語「Native」はやや差別的ということで、最近では「indigenous people」や「First Nation」を使うことが多い。
台湾旅行をあつかう旅行会社のHPには、
「台湾少数民族(先住民。台湾では「原住民」と表記)」
と両方を使っている。
中国人にメールで聞くとこんな返事がきた。
「漢字の意味からすると大体同じです。
インバウンドと違って、もともといた住民だから”原”を選んで言うではないかと。
原・先の違いはおそらく政治がらみですね。」
なるほど。
「先住民」を使うと主要民族である漢民族が、自分たちはインバウンド(外から入ってくる)の人間であることが強調されてしまう。
そんな政治的な理由から、台湾では「原住民」を使っている。
その可能性はあるかも。
どっちにしても「穴の男」よりは100倍マシな件。
コメントを残す