【日韓併合】韓国で最も嫌われる男・李完用の“もう一つの顔”

 

「韓国併合は合意の上に形成されたもので、日本だけでなく韓国側にも責任がある。」

2022年のいま文部科学大臣がこんな発言をしたら、炎上騒ぎになるのは必至として、その後どうなってしまうのか?
36年前、昭和の時代なら一発アウトだ。
1986年のきょう9月8日、こんな発言をした藤尾正行(まさゆき)文部大臣が中曽根康弘首相から罷免された。
これは歴史的事実よりも、政治家としての表現の問題だろう。

日本は韓国に戦争をしかけて武力で制圧し、主権を奪って統治を始めたワケじゃない。
両国の代表者が1910年に、「韓国皇帝が大韓帝国の一切の統治権を完全かつ永久に日本国皇帝(天皇)に譲与する」といった内容の 韓国併合ニ関スル条約を結んで、韓国は併合されることになった。
韓国側の代表だった総理大臣の李完用(り かんよう:イ・ワニョン)は現在の韓国では、祖国を日本へ差し出した最悪の売国奴といったムゴイ扱いを受けている。
もっとも当時も李完用は刃物で刺されたり、家を焼かれたりと相当な怨みを買っていた。

李完用を含めて、韓国を日本の保護国とすることを定めた1905年の第二次日韓協約に賛同した5人の閣僚は「乙巳五賊(いっしごぞく)」と呼ばれ、韓国社会ではいつも石を投げられている。
でも現代の韓国人の歴史観からすると、それは当然らしい。
全国紙のハンギョレ新聞にはこんなインタビュー記事がある。(2015-08-16)

チャン氏は「独立活動家の子孫は70年間ひっそりと過ごした反面、親日民族反逆行為者の子孫らは既得権を享受してきた。彼らは再び李完用になりうる」と話した。

[インタビュー]親日民族反逆行為者の子孫らが社会を掌握

 

「親日民族反逆行為者」のラスボスが李完用だ。
韓国の歴史教育の目的のひとつに、第二の李完用を出さないということがある。

 

李 完用(1856年 – 1926年)

 

でも李完用はそこまで、全国民にののしられるような超絶的な悪なのか?
いまの韓国では「親日(=裏切り者)」と呼ばれているが、彼は決して日本語を使わなかったし、日本とは距離を置いていた。
それに愛国者の気配もある。
併合条約を結ぶとき李完用は日本に対して、旧皇帝を「王」と呼ぶことや韓国を「朝鮮」という昔の名称にすることを要求し認めさせた。
国を失ったとしても名は残して、最低限の名誉を守ろうとしたのでは?
純度100%の売国奴なら、皇室や国の名前なんてどーでもいいはずだ。

当時も併合反対派からは、諸悪の根源と非難されていたものの、李完用の葬列には多くの参列者が集まったことから、共感する人も多かったことがわかる。
それにあの時点ではもう誰が総理大臣でも、韓国が日本に統治される運命を変えることはできなかった。
日本による韓国併合の動きが進んでいたとき、韓国が国際社会に日本の不当性を訴えても、韓国の外交権が日本にあることなどを理由に欧米列強は相手にしなかった。

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韓国の歴史で最も愛国的な人物でも李完用の立場だったら、韓国併合ニ関スル条約を結んでいただろう。
あの時代のあの状況で、一体どうやってそれを阻止できたのか?
すべての憎悪を一身に受けて亡くなった李完用は「ルルーシュ」に似ている。
韓国社会で李完用について、「親日民族反逆行為者」とは違う視点を持つことが許されるようになれば、日本への見方や日韓関係も変わるのに。

 

では、最後にあの発言について。
「韓国併合は合意の上に形成されたもので、日本だけでなく韓国側にも責任がある」という藤尾氏の言葉は以上のことを指しているはずだ。
日本は韓国併合を国際法上、合法だったと考えていて、韓国はこれを違法だったと主張しているから意見は分かれる。
国際的には日本の見方が主流だ。

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藤尾氏が「合法だった」と言ったのなら、それは政府見解と同じだから炎上は必至だけどセーフだったと思う。
条約を結んだことを踏まえて、歴史家やジャーナリストが「合意の上」、「韓国側にも責任がある」と言うのはいいとしても、外交問題になることは目に見えているのだから、政治家があえてそれを言うのはセンス無さすぎ。
1910年の日韓併合条約は、1965年に日韓両政府が「もはや無効」と確認しているのだから、いまになって政治家がこれを蒸し返さなくていい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。