【日韓関係】1907年のハーグ密使事件/2019年の告げ口外交

 

日本が先月、韓国に対して輸出管理の強化を発表すると、あちらは大激怒する。
つい先日もフランスで行われるG7首脳会議にあわせて、韓国の外交関係者がヨーロッパの地で世界の主要国に「日本の不当性」を訴えた。

聯合ニュースの記事(2019.08.21)

外交部の尹淳九(ユン・スング)次官補がイタリアとドイツ、同部の尹ガン鉉(ユン・ガンヒョン)経済外交調整官がフランス、英国を訪問し、韓日間の対立状況に対する政府の立場を説明した。

「日本の対韓輸出規制は不当」 G7前に韓国高官が世界各地で説明

 

韓国としては正しい主張で、これは必要な対応なのだけど、日本では「告げ口外交」と言われていて評判はきわめて悪い。

韓国としては新しい外交手段である。日本に影響力を持つ第三国において韓国に味方する世論を強くすることで、韓国直接の圧力ではなく第三国経由で日本に要求をのませ、または妥協的な姿勢に転換させようとする方法であった。

告げ口外交

 

「告げ口外交」は日本の造語で、野田佳彦元総理大臣が「女学生のような言いつけ外交をやって日本を批判している」と非難したことが始まりだとか。
当時のパク大統領が慰安婦問題について、日本の「悪口」を世界各国に告げていて、野党の岡田克也氏も怒り、朴槿恵(パククネ)大統領の補佐官にこう言ったという。

「どうして第三国に行って日本の悪口を言うのか。そういうことが日本人の感情を非常に傷つけている。言うなら直接会って言われたらどうか」

ソースは朝日新聞のこの記事(2014年5月11日)

「日本の悪口、なぜ第三国で言うか」 岡田・民主元代表

 

時が変わっても韓国は変わらない。
5年後のいまも、「日本は不当なことをしている」と韓国高官が世界各地で説明しているのだから。

でも、「告げ口外交」が成功したという話を聞いたことがないし、今回も世界は韓国に残酷だったようだ。

FNNニュース(2019/8/26)

「文大統領 信用できない」 トランプ大統領 G7の席で

G7の首脳でおこなっていた会議の場で、トランプ大統領は文大統領を「信用できない」と批判し、夕食会でも「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と発言してまわりの首脳らを驚かせたいたという。
韓国高官が世界各地してきた努力は一瞬で消し飛んだ。

韓国のいう「日本の不当な貿易規制」は、韓国が日本との信頼関係を回復したら解決する問題なのだけど、文政権はそれを拒否して告げ口外交にいそしむ。
先月7月にはスイスのジュネーブで開かれた世界貿易機関理事会でも、日本の不当性を国際社会にアピールしたけど、韓国の主張に賛同する国はなかった。

世界に韓国の立場を伝えて理解や共感を得て、日本を圧迫して自分の要求をのませようとする。
こんな告げ口外交の「原点」は約100年前にさかのぼる。

それが高校世界史でならう「ハーグ密使事件」。
日露戦争の勝利によって日本による韓国併合の動きが進んでいたこのとき、危機感をおぼえた韓国側が世界に日本の不当性を訴えたが、結果は残念無念。

しかし会議に出席していた列強は、大韓帝国の外交権が大日本帝国にあること、大韓帝国の利益は条約によって大日本帝国政府が代表していることなどを理由に、三人の密使の会議出席を拒絶した。

ハーグ密使事件

 

欧米列強に相手にされなかったばかりか、これが日本を怒らせて「韓国内政の支配権が確立し、韓国軍隊は解散させられた(世界史用語集)」という状態を招来する。
この3年後、韓国は日本に併合された。

 

世界を巻き込む韓国の対日外交姿勢はいまも変わらない。
きょうの朝日新聞の記事でイ・ナギョン首相がこう言っている。(2019/8/28)

「不当な経済報復措置をただすために世界貿易機関(WTO)への提訴を滞りなく進める」とも言及し、対話の要求と並行して国際社会を巻き込んで日本に圧力を加える考えも重ねて示した。

韓国首相、「関係修復へ対話を」 WTO提訴も示唆

 

今月8月に開かれた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合でも、韓国側が日本の輸出管理を批判しはじめた。

共同通信の記事(2019/8/28)

日韓の輸出管理は、RCEPのような多国間の貿易交渉とは本来、関係がない問題だ。貿易管理上の優遇国の指定は、それぞれの国の判断に委ねられている。

貿易交渉で日韓応酬 参加国は介入せず

「介入せず」というのは「無視した」と解釈していい。
ほかの国にはどうでもいいことだから。

 

韓国はもう告げ口外交なんてやめて、日本との約束と国際法を守るべきだ。
そうしたら関係修復は自然についてくる。
「過去を直視して、歴史に学べ」と日本に言うのなら、まずは韓国がその範を示さないと。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。