【欧米のダブタ】日本のイルカ漁に反対するイギリス人の意見

 

日本は世界の中でわりと評判がいい。
というか、正直かなりの好印象をもたれている。
世界各国を対象にした世論調査を見ると、トップ10に入っていることがよくある。

例えばイギリスBBCが発表した「世界に良い影響を与えている国」ランキングで、日本は2006年から14年まで10位以内にいて、12年には1位を獲得した。
また国家のブランド力を測定するアンホルト国家ブランド指数(NBI)では、日本はきょねん初めて2位になっている。
ちなみにこれが「国家ブランドランキング2018」の上位三か国だ。

1位:ドイツ
2位:日本
3位:イギリス

日本に住んでいる外国人に話を聞いても、日本は公衆トイレさえ清潔だし、人びとはルールや礼儀を守るから良い印象を持っている。
日本にいるからといって、その外国人がはじめから日本を好きということはない。
「金のため」と割り切って生活している外国人もわりといる。

日本にいる外国人に日本の嫌なところを聞くと、「日本人がイルカを食べること」と言う人がよくいる。
とくに欧米人が多くて、ほとんどの人がこの食文化を嫌う。
いままでにアメリカ人・ドイツ人・フランス人・イギリス人・ノルウェー人などに、「イルカとゴキブリのどちらかを、どうしても食べないといけないとしたら、どっちを食べる?」と聞いたら、全員がゴキブリを選んだ。

「ゴキブリはただ気持ち悪いだけで、心が痛むことがない。でもイルカの肉を食べたら、一生後悔する」とあるアメリカ人が言っていたけど、ほかの欧米人も同じ理由だろう。
ボクだったらイルカを選ぶけど、日本人の過半数もそうだと思う。
日本人にとって、ゴキブリというハードルはあまりに高いから。

 

話を聞いたドイツ人はイルカの追い込み漁で、海が真っ赤になる光景をテレビで見て背筋が震えたという。

 

ただ欧米には二重基準なところがあって、日本にはNOといっても、別のところには反対のことを言うケースがある。
例えばイギリスは2015年に、日本で行われる追い込み漁には反対を表明したけど、デンマーク領のフェロー諸島には手のひらを返した。

一方、2月19日には、フェロー諸島の追い込み漁 (Grindadráp) を妨害する環境テロリストの渡航者に対し、「現地の法や慣習を尊重せねばならない」とする警告書を発した。

イルカ追い込み漁・イギリス

赤いところがフェロー諸島

 

まえも「日本は好きだけど、イルカ漁には全力で反対する」というイギリス人と話したときに、「じゃあ、カナダの先住民イヌイットはどうなのか?」と聞いてみた。
イヌイットは日本人と同じくクジラをとって食べている。

くわしいことはここをクリック。

鯨肉・エスキモーによる利用の歴史

 

クジラとイルカは欧米では同一視されていて、その2つを食べることは同じように嫌われているのだ。
「イルカはいいけどクジラはダメ」という意見を聞いたことがない。

そのイギリス人にフェロー諸島やイヌイットのことを持ち出して、欧米のダブルスタンダードを指摘してみた。
「現地の法や慣習を尊重せねばならない」というのは日本に対してもするべきでは?

「たしかにフェロー諸島の人やイヌイットはイルカやクジラを食べている。でも、だからといって日本のイルカ漁が認められるわけではない」と言いやがる。
ちなみにカナダはイギリス連邦の加盟国だから、イギリスとのつながりは深い。

イギリス人はそうしたところと日本とは比較できないと主張する。
まず日本がとるイルカやクジラは多すぎる。
それに日本は先進国で世界での評価も高い。
先述したように日本は、「世界に良い影響を与えている国」や「国家ブランドランキング2018」の上位常連国だ。たしかにフェロー諸島とは違う。

そんな影響力のある国がイルカをとって食べるべきではない。
そうするとイルカ漁が正当化されて、ほかの国もイルカ漁を始めるかもしれない。
なんだかんだ言って、そのイギリス人も欧米には二重基準があることは認めた。
でもやっぱり、日本人はイルカを食べるべきではないと言う。

個人的にイルカ漁に思い入れはないしイギリス人とケンカをする理由もないから、この話はここで終わり。
結局、感情的に認められないから、いろんな理屈を持ち出しているだけのような気がした。

ちなみにこれがイルカ漁を認める和歌山県の立場

鯨やイルカは当地域の食文化になくてはならないものです。鯨やイルカに関する伝統的な文化行事が年中行われ、イルカ漁は地域経済に欠かせない産業となっています。

太地町でのイルカ漁業に対する和歌山県の公式見解

 

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4 件のコメント

  • だって肉じゃん。 牛も豚も鳥も肉! そもそも欧州人こそが地球上のクジラのほとんどを絶滅させたくせに何を言うかっ!と腹がたって仕方ない。
    しかも知能があるからというその脳の脂をとるためだけにだ! 日本は余すところなく使う上に弔いまでする!
    時代やところが変わればですよね。
    まあ私も~給食でクジラ肉が出ていたんですが美味しいと思ったことがないので捕鯨はやめてもいいと思う派です。

  • クジラ漁や人種差別もかつて自分たちがやっていて反省しているからほかの国にもそれを求める、みたいなとことがあると思います。
    いま欧米があってなくても、それも二重基準のような。
    それとクジラやイルカには知能があって、、痛みを感じるから牛や豚とは違うという意見もあります。
    個人的には日本の食文化は大事にするべきと思うけど、クジラもイルカも食べないから「絶対に守るべき」とまでは思いせん。

  • 山間部ですが、近場に伝統的なクジラ食を売り出したい地方公共団体があります
    別な日には、外国人観光客を誘致したいとも言ってました
    コレ、無理でしょう、相反してる
    私個人もむか〜し昔、給食のクジラを食べられず、5時間目の授業が始まったのがトラウマなのに、学生時代にクジラベーコン美味しと思ったのも相反してる
    今は居酒屋でも食べたいとは思えませんが、周囲のクジラ食は許容する、コレも多分、欧米人的には相反してる
    外国人観光客を今後も増やしたいのか、一部偏った伝統的な食文化を残すのか…

  • >クジラ食を売り出したい
    >外国人観光客を誘致したい

    これはむずかしいですね。ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものですから。
    クジラを食べる国もありますけど、本当に少ないし、その層をターゲットにして誘致活動をしても成功するのかな?
    ボクもクジラ肉は学校給食で食べただけで、大人になってからはほとんどないですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。