表現の自由と規制 全世界を変えた米ドラマの自殺シーン

 

人を殺すシーンは描いていいのに、タバコを吸うシーンには文句を言う人がいる。

ある漫画家がツイッターでそんな疑問をつぶやいて、ネットで話題になった。
なので便乗して記事を書きました。

【世界の目】マンガで、“殺人OK/タバコNG”も仕方ない理由

 

視聴者は影響を受けやすいから表現には規制が必要で、マンガやアニメの世界では「殺人OK、喫煙NG」という現象が起こる。
そんな話をアメリカ人にしたら、『名探偵コナン』の大ファンの彼女が「でも、殺人の描写も穏やかなものへ変わっていると思う。『コナン』でも衝撃的なシーンが無くなった」と言う。
そう言えば以前は、首が切断されて「ブシュウウ」と血が噴水のように吹き出る絵とか、縄で体を縛られて、背中に包丁が刺さったまま目を見開いている死体の描写があったけど、最近はそんなトラウマレベルの表現は消えたような?
ただ『コナン』には昔から、子どもを事件の被害者にさせないという配慮があるらしい。

 

殺人や喫煙シーンよりも、そのアメリカ人が言うにはいますごく配慮が必要なのは自殺の場面だ。
2017年にドラマ『13の理由』が放送されると、衝撃的なシーンがあってアメリカで大問題になる。
自殺をする10代の少女がその理由を録音して、自分が死んだ後に友人に聞かせるという設定。
お風呂に入った状態でその少女が刃物に手首を当ててスッと引くと、血が吹き出でバスタブの水が真っ赤に染まる。
そのシーンが強烈すぎて放送後、これは表現の自由の範囲内にあるかどうか、すぐにアメリカ社会で大議論となる。
批判に対し、制作側はこう説明した。

「実際の自殺がどのようなものかを見せる絶好の機会だと思いました。眠るように眠るという神話を打ち消し、視聴者に現実を直視して欲しいと思いました。」

でも現実では、むしろ助長してしまったらしい。
この後アメリカで、若者の自殺が約3割も増加したという報告書が公表された。

アメリカ児童青年精神医学会(AACAP)は雑誌に、シーズン1の公開後の4月に10代の自殺が急増したとする調査を掲載した。また、配信直後から、自殺シーンに対する批判が相次いでいた。

13の理由

 

激しい批判を受けて、結局この自殺シーンは削除される。
アメリカの世界へ与える影響はデカい。
これは国内だけの問題にはとどまらず、世界保健機関(WHO)が動き出して、全世界のテレビ・映画の制作者向けに初めて「自殺予防の指針」を策定した。

すると今度は「表現の自由」が阻害されるのでは? という批判が上がる。
読売新聞(2020/02/22)

WHO指針「自殺シーンやめて」に賛否…ドラマ「13の理由」は自主削除[#しんどい君へ]

でも流れは止まらない。
WHOの指針を受けて、厚生労働省はHPで「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」を公開した。
全人類がネットフリックスを楽しむいま、表現を国際標準に合わせるのはアタリマエ。
世界的には殺人や喫煙よりも、いまは自殺シーンに注目や関心が集まっているはずだ。
となると、マネすることの難しい「ハラキリ」の時代くるか?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。