江戸時代の会津藩には「什(じゅう)」という教育組織があって、そこにはこんな掟(おきて)があった。
・虚言(ウソ)を言ってはいけません。
・卑怯な振る舞いをしてはいけません。
・弱い者をいじめてはいけません。
そして「什の掟」の最後には「ならぬことはならぬものです」という言葉がある。
ダメなものはダメですと、き然とした態度で一線を引くことは人間教育でも国家間の外交でも必要だ。
来週20日に開かれる国連総会に出席するために、岸田首相がニューヨークを訪問することが発表された。
NHKや朝日新聞などの日本のメディアを見ると、岸田首相のこんな意欲を伝えている。
「国際社会が直面する課題に対するわが国の考え方を積極的に発信する」
「日本ならではの貢献をしていきたい」
各国との連携を確認することも今回の外遊の大きな目的だという。
一方、同じく大統領がNYを訪問する予定の韓国では、いま大きな関心と注目が集まっているのはコレだ。
中央日報(2022.09.13)
尹大統領、米ニューヨークで岸田首相と首脳会談を推進
最悪となっている日韓関係を打開するのは無理だとしても、そのための手がかりぐらいはつかみたい。そんな韓国としては、この絶好の機会を逃すわけにはいかない。
それでいま韓国側は二者首脳会談になるか略式会合か、どんな形式になるかは分からないけど、日韓首脳会談の実現に向けて全集中している。
対して日本は、“熱”が無いというか素っ気ない。
日本経済新聞の報道によると、韓国側は尹(ユン)大統領と岸田首相との初会談を希望しているが、日本は「元徴用工訴訟への韓国政府の対応を見極めたうえで判断する」と距離を置く。
対応を見極めるというのはつまりこういうコト。
ハンギョレ新聞の記事(2022-09-14)
日本、韓国が強制動員の解決策示さない限り首脳会談は行わない方針
日本も韓国もいまの両国関係が、戦後最悪というほど悪化しているという認識では一致している。
そしてその最大の原因は、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工問題にあることでも日韓の見方は同じだ。
しかし、同意できるのはここまで。
この問題は1965年の請求権協定で「完全かつ最終的に解決」され、今後は「いかなる主張もすることはできない」と日韓両政府が約束をして、それがこれまでの日韓関係の基礎となってきた。
その大事な合意を2018年に韓国最高裁がひっくり返したから、「いかなる主張もすることはできない」はずなのに賠償を命じたから、韓国を見る日本の目は一気に変わった。
その後も、これによって生じた問題を解決するよう日本が求めても、文前政権はそれに応えず、この状態を放置してきたから、日本の韓国に対する信用と信頼は消失する。
だから約束を破って問題を起こした韓国側に、いま日本は納得のできる解決策の提示を要求しているところ。
対して韓国側は解決策をまとめるというハードが高すぎて、もはや飛ぶ気があるかどうかもアヤシイ。
まあブン政権に比べて、ユン政権は真剣に取り組んでいるのだけど。
だからその提示はなしで、韓国は無条件で日本と首脳会談を行いたい。
しかし日本はそれに応じず、「これまでの一貫した立場に基づいて韓国側と意思疎通を図っていく」と述べるというループをここ数年くり返している。
ちなみに最後に正式な会談があったのは2019年だ。
この件に関しては、「国と国との約束は守ってほしい」とい日本の主張が正しい。
韓国側がその責任を取らないでトップ会談を求めてきても、「ならぬことはならぬものです」と言うしかない。
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韓国の尹大統領の立場は非常に困難なことでしょう。日本との関係改善はしなければならず、徴用工問題に対して韓国最高裁の判決も尊重しなければならない矛盾があるためです。
尹大統領自身も韓国最高裁の判決が正しいと考えているかもしれません。韓国の左派が長い間反日感情の鼓吹に邁進してきたし、左派に掌握された韓国メディアも反日扇動の先頭に立ってきたため、ユン氏だけでなく、ほとんどの韓国人が最高裁の判決が正しいと考えていますから。
韓国人の韓日近代史に対する認識が直らなければ、韓日関係の完全な回復は不可能です。
徴用工訴訟の原告側の反発はとても大きいです。
解決案をまとめるのは、ユン政権にはとても負担が大きいでしょうね。
それでも早く解決させたい気持ちの強いせいで、NYで日韓首脳会談の開催を一方的に発表して、「まだ何も決まっていない」と日本に否定されました。
ユン政権は急ぎ過ぎている印象です。