【日韓あるある】江華島事件、歴史の見方の圧倒的な違い

 

1875(明治8)年のきのう9月20日、日本と朝鮮との間で重大な出来事が発生した。
江華島事件だ。
朝鮮の漢城(いまのソウル)の西にある江華島の近くで、測量をしていた日本の軍艦「雲揚号」が朝鮮軍から攻撃を受けて武力衝突に発展。
*日本の軍艦名から「雲揚号事件」ともいう。

結果、日本側で1名、朝鮮側で35名の戦死者を出す。

この江華島事件も「日韓あるある」の1つで、日本と韓国では見方がまるで違ってパラレルワールドの状態になっている。
では、これからそのパラレルっぷりを見ていこう。

 

江華島事件で朝鮮軍と戦う日本兵

 

まず韓国の中学生用の歴史教科書「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」を見ると、このとき日本が「破壊と略奪、殺人を引きおこした」とある。
でも日本語版ウィキペディアには、「日本側にて、敵の負傷者及び婦人等の身柄を保護し、安全な場所へ誘導して解放する」と真逆のことが書いてある。
まさにパラレル。
戦闘員の死亡は仕方ないという国際常識からすると、これは民間人のことだろう。
ちなみに日本が攻撃したのは砲台(永宗城)で市街地ではない。
でも、韓国の教科書には「破壊と略奪、殺人」の具体的な記述が無いから、日本には“とにかく悪いヤツ”という印象しか残らない。

この武力衝突はすぐに終わって、両国は話し合いのテーブルに着く。
その様子について韓国の歴史教科書にはこんな説明が。

この事件に対して謝罪と賠償を要求し、再発防止を確約させなければならないのはわたしたちだった。だが事態は逆に動いた。日本は「条約を結びたくなければ戦争を選べ」とむしろ横車を押した。「まず侵略し、責任をなすりつけた後で条約を強要」したのである。

「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」

 

江華島事件で最初に攻撃を受けたのは日本で間違いない。
だから日本は朝鮮に明確な謝罪を求める。
それに対して鎖国政策をとっていた朝鮮は、日清以外の船(西洋船)がきた場合は武力で打ち払うこともあると説明し、こう話したとウィキペディアにある。

「事件は日本船を西洋船だと誤認したことによって発生した不幸な事故であることは明白である。」
「日本船と認識していたのなら攻撃などするはずが無い。」

日本が「戦争を選べ」と高圧的に出たという記述はどこにも無い。
もし日本が朝鮮との戦争を望んでいたら「事件」で終わらせずに、武力衝突をチャンスと考えてその状態へ移行したはず。
ただ、そもそも日本が戦争をする目的やメリットが見えない。
だからこの点、「開戦回避という一点において日朝両政府の意図は合致していた」というウィキペディアの記述のほうが正しいように見える。
実際のところこれは朝鮮側の言うとおり、誤解から始まる不幸な事故だろう。

こうした話し合いで、「日本公館が存在する釜山以外に2港を選び開港すること」、「通商については、各々の人民に任せ、自由貿易を行うこと」といった内容の日朝修好条規を結んで江華島事件は終わった。
開戦ではなく、日本が最初から開港と貿易をねらって、朝鮮軍が攻撃をしかけるよう「雲揚号」を動かしたという見方ならあり得る。

この江華島事件は朝鮮に大きな衝撃を与えて、徐々に開国へ動き出し、1882年にアメリカと米朝修好通商条約を結び完全開国となった。
結果的にアメリカ(ペリー)が日本にしたことと、同じことを日本は韓国にしたことになる。
それにしてもまったく同じ出来事であるにもかかわらず、日韓で認識が正反対というほど違うのは、韓国では当時の日本に「侵略・破壊・略奪・殺人・戦争」といったダークなイメージがつきまとっているからだろう。
対して日本は明治日本を“悪の帝国”とは見ていない。
これが両国の認識の差、「日韓あるある」の前提になっている。

 

 

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2 件のコメント

  • 韓国社会には「聖域」というフレーム(FRAME)がいくつかあります。
    批判しては絶対にいけない聖域です。そのいくつかを列挙するとこうです。
    – セウォル(歳月)号事件
    – 光州(KWANGJU)民主化運動
    – 日本軍慰安婦問題
    – 3.1運動 —-などです。

    日帝時代と関連したことと民主化運動関連イシューが大部分です。
    特に、日帝時代に対して少しでも肯定的な話をすると、直ちに「売国奴」、「親日派」、「土着倭寇」という非難を受けることになります。学校の歴史教科書が韓日近代史を反日的な視点で教育しており、社会に出ても文化界、芸術界、そしてマスコミが反日思想を注入しているからです。韓国で事実に基づいた韓日近代史教育が実施されてこそ、上記本文での誤解は解消されるでしょう。

  • 韓国の歴史教科書を見ると、「なんで日本を好きな人がたくさんいるんだろう?」逆に不思議になります。
    日韓で歴史認識の違いがあるのは仕方ないですが、どちらかに合わせようとするのはダメです。
    これをすると必ずケンカになります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。