バーバリアンとバイエルン・日本語の“ドイツ”の由来

 

きょう10月13日は1825年に、ルートヴィヒ1世バイエルン王国の王に即位した日。
日本ではソーセージの商品名として有名な「バイエルン」とは、ドイツにあった王国(公国)でいまではバイエルン州になっている。

フランスで生まれた彼は名付け親のフランス国王ルイ16世から、王の名を取って「ルイ(Louis)」という名前をもらった。
フランス語のルイはドイツ語だと「ルートヴィヒ(Ludwig)」になるからややこしい。
これが英語だとカールルイス(昭和っ)の「ルイス(Lewis)」、イタリア語なら「ルイージ」になる。
「マリオ」もイタリア人男性によくある名前だ。
ルートヴィヒは「名高い戦士」という意味の古代ゲルマン(ドイツのあたり)の言葉が起源で、欧米の各地で現地化されてこうなった。

人名だけじゃなくて、地名にも現地読みと英語読みがあるから、日本人にとっては激しくややこしい。
バイエルン出身のドイツ人と英語で話をしていると、彼が「バーバリアン」と言うから、「なんで突然、barbarian(野蛮人)が出てくるのか?」と話は見えなくなる。
チョットマッテと話を止めて確認すると、それは「Bavarian(バイエルンの、バイエルン人)」という英語だったことが判明。
バイエルンの英語読みは「Bavaria(バヴァリア)」で、彼の言う「Bavarian」はボクの耳には「バーバリアン」に聞こえた。
ネットを見ると同じように、バイエルンの英語を聞いて「野蛮人」とカン違いした日本人はいる。
だから彼の言う「Bavarian beer」を「野蛮人どものビール」と理解してしまい、話が分からなくなったのだけど、実は「バイエルンのビール」だった。

ドイツ語の「Bayern」の読み方は「バイアーン」で、これが日本語ではバイエルンと表記されるのだ。
ドイツのサッカークラブ、バイエルン・ミュンヘンを日本では「バイヤン」と呼ぶ人もいる。
知人のドイツ人の発音を聞いても、「バイアーン」より「バイヤン」に近い。

ちなみに、バイエルンをフランス語読みしたのがスイーツの「ババロア」だ。

日本人の身近にあるバイエルン:食べ物・スイーツ・自動車

 

上のドイツ人と話をしていると、今度は「ミューニク」という謎単語を使ったから、また話がロストした。
これはバイエルン州の中心都市ミュンヘンのことで、英語読みすると「ミューニク」といった発音になる。
ミュンヘンはもちろんドイツ語読みだ。

そもそもドイツという国名も英語だと「ジャーマニー」で、ドイツ語では「ドイチュランド(Deutschland)」になる。
江戸時代にオランダ人がドイツを「ダウツ」と言っていたことから、日本人もそう言うようになり、いつしか現在の「ドイツ」になったという。
ジャーマニーは「ゲルマン人の地」に由来する英語で、イタリア語だと「ジェルマニア」になる。
ゲルマン人の一派である「アレマン人の地」に由来して、フランス語の「アルマーニュ」ができた。

 

日本では現地の読み方を基本にしている。
だから外国人と英語で会話をするときは、ドイツではなくて「ジャーマニー」、バイエルンなら「バヴァリア」、ミュンヘンは「ミューニク」、「ベルリン」は「バーリン」と脳内変換したほうがいい。
この法則は他の都市にも有効だ。
オーストリアの首都なら「ウィーン」ではなく英語の「ヴィエナ」、チェコの首都ならプラハを「プラーグ」と言うべし。
英語で話をするなら、すべて英語にしたほうが相手には分かりやすいが、慣れないと日本人には面倒くさし。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。